【尾瀬珍道中】その2

第2章 美しさについて


足かけ2年で尾瀬というフィールドを見聞したわけだが、今の日本人は、ここの景色に出会ったら百人中九八人まで「美しい」と言うだろう。後の二人はと言うと、一人は
「こんなもの家の庭から見る景色と同じだ」と言い、もう一人は
「美味しそうな草がはえてるなあ」と言ったそうだ。
この二人に関しては何処の誰かも、地球人か火星人か、あるいは馬か牛かは誰も知らない。ただ一つだけ確かなことは、良い意味で自分の価値観が確立していると言うことだ。

燧ヶ岳の上から眺め下ろした景色は、ある人が箱庭のようだと言ったそうだけど、高い山の上から下界を眺めると言う行為は、誰が見ても小さい箱庭のように見えてしまう。何処の山に登ろうとも見下ろすと言うことは気持ちの良いものだ。背の高い人のことを羨ましく思ったり、小さかった頃大人の視線に興味を持ったことのない人は希有だろう。しかし下界に何があるかは詳細には分からない。例えば、ニッコウキスゲの群落があることは分かっても、その中の一輪の花にミツバチがとまっていて「今年の花には蜜が少ないな」と思っていることは、山の上からは想像すら出来ないことだろうし、どこかの不心得者が尾瀬沼にオシッコをして、奇麗な水面に泡が出来て沼の中のイワナとニジマスが大いに憤慨していることは、燧ヶ岳の上から、いくら高性能の望遠鏡を以てしても見ることも感じることも出来ない。つまり本当の姿を見ることは至難の技、逆の言い方をすれば、細かいところが見えないから奇麗なのかも知れない。もっとも奇麗な景色を目前にして、そんなことを考える人なんてよほどの変人だろうが、、、、、

尾瀬ヶ原は標高1600m程、植生は鳥海の千畳ヶ原にとても類似する所があります。今回僕等は折角今の季節に行くんだからニッコウキスゲの盛期を狙って行った訳だが、狙いはドンピシャだったと思う。ニッコウキスゲと言う花は一夜草、つまりたった一日だけ昼に開いて夜には萎んでしまう花(何となく可哀想な花でしょう)であるからして、何度も来ているハイカーに言わせると、この日が最高の景色だということでした。そう言う意味ではついていたのでしょうがね、、、、、、

尾瀬ヶ原というところは、基本的に緑の草原であってそこに可憐な高山植物の花が映え、所々に池塘が点在し青空が水面に映り、かつ白樺やタケカンバの白い樹皮が緑にアクセントを付け、思いの外大きな流れが所々にあり、清流を住みかとする渓流魚が透明なせせらぎを静かに泳ぎ、小鳥が絶え間なく軽やかにさえずり、爽やかな高原の風が心地良い。まず都会では考えられない環境なのである。そして都会から比較的近距離にあると言う条件が、ここを有名にし人が集まるようになったのだろうが、しかし少し疑問が残る。

うまく表現できないけどつまり、蕎麦の話をしよう。ここには檜枝岐の裁ち蕎麦という名物があるが、何処の蕎麦屋に入っても間違いなく美味しいのだろうか。と言うのは何処の蕎麦屋に入っても同じ味がするかと言うことだ。答えは当然ノーだろう。何を言いたいのかというと、蕎麦の味の善し悪しはその風味と同時に、たれもある程度影響する。せっかく良い風味の蕎麦でも、たれが合わなければ旨いとは感じない。じゃあ、たれはどんな味付けが良いのか、それも千差万別、十人十色、個人の嗜好なんて物差しで計れないものでしょう。ただ僕の好みから言えば、純粋にしょっぱいたれの方が好みに合う。甘いたれは確かに旨いが一口だけである。つまり尾瀬の景色はとても奇麗で感動的だけど、蕎麦のたれが少し甘すぎると言う喩えがはわかるかな?つまりそんな気分になってしまったのですよ。

自分の普段の山歩きのスタイルから見ると、かなり人が多いというのも多分に影響はしているでしょうが(僕は決して人が嫌いなわけではないのだが)そこでしみじみ思うのが、やっぱり比較する対象があまりにもかけ離れていました。僕は漠然とした広大な自然美より、一輪の花や池塘の水面に映った青空や、純白な雲などの単一的な美しさに目を引かれます。

 人間が多く集まると言うことは、それだけで自然が破壊されると言うことなのです。これは個人の意識とは無関係に必然的に、結果として自然破壊が進んでいくという矛盾に満ちた現象です。尾瀬に自然を楽しみに来て、結果的に自然にダメージを与えて帰るというのは、ほとんどの人達の本意ではないと思います。しかしながら結果として、そういう現象が起きると言うことは、ある程度個人の責任があることだと思います。それを修復するのに、どれだけの時間と労力がかかっているかなんて、普通の観光客は考えもしないはずです。極端に言えば責任の一端は観光会社にあると思います。

単に尾瀬という名前に憧れ、何も自然保護の現状について知らない人達を大量に輸送してくる現実。それを生活手段として受け入れざるを得ない地元の現実、現在そういった有名な観光エリアと呼ばれる資産を持った、自治体もしくは保護団体は有料化を模索しています。これは非常に矛盾と疑問に満ちた行為ですが、現状では容認せざるを得ないと僕は考えてます。それだけ尾瀬も他のエリアも深刻な状態だと見てきました。もう原始からの自然が自然でなくなる日が近づいているのが現実です。だから人々は本能的にそれを求めているのかも知れません。しかし尾瀬は本当に素晴らしい所だと思います。機会があったなら無理をしてでも見ておくべき場所だと思います。日本人ならね、、、、、




第3章 ホントに長い一日


僕の前には道がある。僕の後にも道はある。そして僕の中にも道がある。道は必ずどこかに繋がっている。これらの言葉は真理である。誰も疑念を持ち得ない事実である。イエス様やお釈迦様でも文句は言えない。しかし、その日の僕の目の前に広がっていた光景とは、いかようなものかと申しますと、まあ先を急がずに、、、、

僕は早朝のとてもいい気分の尾瀬から、昼過ぎの混雑して閉口した尾瀬を案内したわけですが、ここからが尾瀬の本当の顔、あまり世間には大まかな事しか伝わっていないようですが、油断したのが大きな敗因でありました。と言うのも相棒にほだされてビールにうつつを抜かしているうちに、僕等の回りの状況というものを、的確に判断することが出来なくなっていたのである。

デッドヒートをくりひろげた沼田街道をほぼ先頭でゴールに近づこうとしている僕は、いい気分でして辺りを眺める余裕まで出てきました。相棒は未だ後方にいるらしく姿は見えません。僕の回りは、さっきの人混みが嘘のように静まり返り、まばらな人影が、ぽつぽつと見え、自分の足の速さに自己満足しておりました。

もう急ぐことはないとペースを落とし、峠のピークを越え下りにかかり、口笛など出る余裕が生まれテクテクと歩を進めておりました。最近気に入っている曲が、島倉千代子の「東京だよ、おっかさん」なのでして、♪久しぶりに手を引いて、、、、♪ などとやっていると、気付かぬうちに悦に入ってしまい、大きな声を出して歌っておりました。

終点近くになると丸太を横にした階段が現れまして、それをピョンピョンと飛び移りながら余裕で歩いていたのでしたが、御池から沼山峠の駐車場までは、さっきも書いたけど交通規制が実施されており、一般車は入ってこれません。代替えバスか大型車両(ツアー会社のバス等)しか入ってこれないのです。我々みたいな一般客は、会津バスのおんぼろバスに乗って、車のある御池駐車場まで行くわけです。それの最終が、午後5時と言うことしか頭にありませんでした。まあ余裕で間に合うはずです。

僕の頭の中は、もう檜枝岐のキャンプ場で一風呂浴び、星空の元、冷たいビールで乾杯という図式が鮮明に出来上がっており、軽い足取りで駐車場への最後のカーブを曲がったのでした。やっぱり腐っても尾瀬、それなりに混雑しているんだなと思えるほどの人が見えました。人数にして50人位か、このくらいならバス1台に入るし、こんなもんだなと思いながら歩を進めること暫し足場を確認しながら最後の階段をトントントンと降りて、舗装された駐車場へ到着し、ふと目を上げるとそこには、この世のものとはとても思えぬ異常な光景が僕を襲いました。

沼山峠駐車場は駐車場と言えば聞こえは良いのですが、大型バスが5台も入れば、スタイルのよい女性がが、やっと通り抜けられる程のスペースしか残りません。国立公園の中に、そんなに広い駐車場を造成するのにはかなりの犠牲を必要とするのでしょうし、僕等ビジターが地元にどうこう言う筋合いではありますまい。

その狭い駐車場にどれほどの人が溢れていたかち想像出来ますか?

およそ、およそですよ1000人程の哀れな日本人が、そこに溢れてました。不思議なことに外国の人は全然見えなかったです。先程までは結構顔が見えたのに、不思議としか言いようがありません。これほどの人がバスを待っているとしたら、僕等が乗れるのにどれほどの時間がかかるか想像もつきませんので、ここは早急に情報を収集するしかありません。温泉と冷たいビールが遠のいて行きます。

取りあえず辺りを見回すと、人が殺到している場所がありました。近づいて見ると、小太りの眼鏡をかけたおっちゃんが、ワアワア声をからしてわめいております。どうも会津バスの係員のようです。話をよく聞いてみると、御池駐車場の一般車が満杯で、代替えバスが方向変換する場所にまで車が溢れており、バスが方向変換出来ないので来れないとのことで、およそ1時間以上前から輸送がストップしたままで、いつ復旧するか解らないと繰り返し繰り返し答えている様子。だいたいの様子が解ってきた僕は今後どうしたものかと、もう一度考え彼に聞きました。

「もし御池まで歩いたとしたらどのくらいかかりますか」
彼曰く「さっきから何遍も言ってますが、、、、、9.8Km、大人のふぁしで(足で)2時間半です」彼の声はもう完全にかれています。

正直僕はこの時点で御池まで歩く気になっていました。そのため乗車券も買わずに、相棒を待って舗装の上にどかりと腰を下ろし、辺りの様子を見ていると、いましたいました、会津バスのもう一人の職員が、、、、

こちらは昔の車掌さんが必ず持っていた巨大ながま口をぶら下げた眼鏡をかけたおばさんです。彼女はもう一人の職員とは対照的に飄々と
「いつ来るか分からないものをそんなに泡食ってもしょうがないよ、こんなに混むときに来たんだから諦めて並びな、これも良い記念になるって、必ずいつかはバスがやってくるんだから」
と、まるで焦るとか、申し訳ないとか、そういった感じはいっさい持たない様子でルンルン気分です。まあ、これだけの人が結局はバスに乗るんだから、会社は儲かるし営業成績は上がるし、と言った感じ、もう楽しんでると言って良いと思います。

こういう性格の人は得ですよね。それに憎めません。いいキャラクターをしています。おばさんに試しに
「バスは本当に来るの」と尋ねたら、がま口をブラブラさせながら「いつかは来るって、心配しないで並びなさいよ」だってさ。 

さて僕の相棒は未だ来ません。先程僕が追い抜いた人達が続々やってくるのにどうしたことでしょう。出ていく人がいなくて、やってくる人ばかりなので、ますますおばちゃんは良い機嫌の様子。

待つこと暫し、やっとの事で彼がやってきました。手にしたタオルを大きく振れども彼は気付かず、わき目もふらずにどこかに行こうとしています。彼の行動を目で追いますと、どうもトイレに向かっている様子、しかし人混みのため思うように先に進めないらしく、顔がだんだん青ざめていくのがわかります。かなりせっぱ詰まった様子が、面白おかしくてにやにやしていると、隣のおばさんが僕を見て、気味悪そうに遠のいていきます。彼女の目には僕が変態に映ったのでしょう。まあそれもいいか、、、

相棒はやっとの事でトイレに駆け込み暫し見えなくなりまして、辺りを見回すと先程よりまたまた込み合ってきました。もう嫌になったので、トイレから出て来た相棒を大声で呼ぶと、現状を説明しすぐに出発しようと言いました。けれども彼は絶対バスで行くと言い張ります。じゃあ僕が先に歩いていき、どちらが早く着くか賭をするかと言いますと、絶対バスの方が早いと言い張ります。けれども、いつ来るかわからないものを待つよりも、体を動かして爽快な汗をかき、冷たいビールを飲む方が絶対美味しいからと、彼を説得しましたが、がんとして聞き入れません。それじゃあ仕方ない、別行動を取るかと思い、その前にトイレに行こうと彼に荷物を預け僕はトイレに向かいました。

十分満足し体が軽くなった僕は、御池まで歩く気持ちを固め立派な舎を後にしました。相棒のいた場所を探すと彼の姿が見えません。一体何処に行ったのか探すと、遠くで手招きをする彼の姿が見えます。おお、彼も歩くつもりになってあんな遠くまで行ってしまったではないか、よし、ここは気を入れて歩こう、何ならば軽いジョギングでもしていけば、1時間くらいで着くだろう。相棒の根性を鍛え直すつもりで、ここは厳しく威厳を以て彼を御池まで導こうではないか。と彼の所に向かいます。

「待たせて悪かったね」と言って歩き出すと、彼が僕のザックを引っ張ります。いい加減ふざけるのも大概にせーよ、と振り返ると、彼は手にした紙切れをヒラヒラと振って見せました。何事かと思い尋ねると、何と、いつの間に買ったのやら御池までのバスの乗車券を2枚ヒラヒラさせているのでした。そして僕等がいる場所は確かに駐車場をはずれた道路の上でしたが、何とバスを待つ長い長い列の最後尾だったのです。

 バス待ちの列は6列縦隊、全長150mと言ったところか、バスがやって来たらUターン出来るように駐車場の真ん中をあけて、そこをとりかこむようにJ状に列が出来ていました。よく見ると先程のおばさんがすべて仕切っている様子、呼び子の笛を口に
「ピピピ はい、そこのお客さんこの線からでないでね、出るとバスに轢かれちゃうよ、ピピピ はいはい、そこのお客さんもう少し詰めてください、後ろのおねえさんがはみ出しそうです」などと調子よくやっています。
 準備は良いものの未だバスがやってくる気配はなく、僕は一人でも歩いて行こうしたら彼曰く
「無理に歩く事なんてないよ。多分君が向こうに着く頃にはきっとバスも動いてるって」
そして僕のザックからいつの間に抜き出したのか、財布と車の鍵を手にしておりました。まったくこういう時には頭が回るのですこの馬鹿は、さすがの僕もこうなっては諦めるより仕方がありません。

 また先程の係員が、その辺のイライラした客に捕まり下の様子を聞かれていました。彼の話によると檜枝岐から少し上がった七入の辺まで車が渋滞していて、駐車場の混雑は一向に変わらないとのこと、檜枝岐のはずれで会津バスか観光協会の係員が、今日は満車で駐車場には入れないので、上に上がらせないように車を止めていたのだそうですが、都会のドライバーはそんなことを聞き入れてくれる人が少なく、無理矢理突っ込まれて路上駐車されてしまい大型バスが下れなくなってしまったそうで、それが渋滞を引き起こし、この始末になったといいます。

 しかしこの人達は一体何処から湧いてきたのでしょうか。さっきよりまた増えました。僕等が一番後方でしたが、それにまた列が出来ましてずっと繋がっています。ひょっとして御池まで繋がってしまうのではないかと思いますが、そんなわけないか、、、
 都会の人達はこういうのに慣れているのか、誰も文句を言いません。むしろみんな楽しそうに、グループごとに談笑しています。僕はだんだん不機嫌になってきて、口を開くのも億劫になって荷物を放り投げ舗装に座り込んでいました。もう一気に疲れが出てきて何をするのも嫌になってきました。

僕は座り込んで辺りを観察していましたが、よく見ると人の群はいくつかのグループに別れています。さらによく見ると、そのグループの先頭には旗を持った元気のいいにいちゃん、ねえちゃんが居り、にこやかな笑顔を振りまいております。さらにさらによく見ると、そのグループの腰とか胸とか頭には皆同じマークのバッジが着いておりまして、ああ、これはツアーグループなんだと言うことが一目でわかりました。だいたい50人位のグループでして修学旅行の小学生のようです。

こう言うのを見てると、日本人のオリジナリティーの無さが無性に情けなくなります。ここの駐車場でこんな様子だから、反対側の鳩待峠でもすごいだろうななどと思っていると、「おおお」と言う歓声と共にバスが、「ドドド」と5台ぐらい繋がってやって来ました。これでやっとバスに乗れると思いきや、よく見ると西武観光、港南観光、などというツアー会社のバスが殆どで、我らの恋しい会津バスは1台きり、「ババババ」と、爆音けたたましくやって来たバスは、「ギギギギ」と、Uターンし、ツアー会社の客が、「タタタタタ」と乗り込み、バホッと言う爆音を残し走り去っていきました。それと同時に我々会津バスの長い行列の白い視線は、係員に集中しました。

彼はすかさずハンドマイクで
「ええ、皆様、長らくお待たせしておりましたが、やっとバスがやってきました。台数を増やしておりますので皆様間違いなくご乗車出来ますので、ご心配なさらぬようお願いします」などと下らない説明を始めました。
例のおばさんは、「ピピピピ」と、例の調子で行列の整理とバスの誘導を仕切っておりましてとても楽しそうです。僕は腰を下ろしたかと思うとすぐに、ちょこっと動く行列にウンザリしながらも順番をまっておりました。もうまな板の上の鯉です。どうとでもなりやがれべらぼうめ!

 結局僕等は2時間少し待たされて、やっと車上の人となりました。バスの中から見てわかったのですが、ツアー会社のバスは駐車場まで下らずに途中の道路に、ダダダダっと駐車しており、折角の道路が片側通行の状態なのです。これじゃ混むはずだよね。しかしバスは思いの外順調に進み、御池パーキングに到着したのが4時半、まあ歩いて下ったのとそんなに変わらなかった訳です。そして僕等は急いで車に戻り檜枝岐のキャンプ場を目指します。なぜって5時を過ぎると檜枝岐の農協スーパーが、容赦なく閉まってしまうことを去年の経験で知っていたからです。でも時計は無情にも進み、キリンテの辺りで5時を過ぎてしまいました。僕等は諦めてそこいらの雑貨屋で食材を仕入れることにしました。

看板に導かれ入った店は、案の定ろくなものが置いてありません。僕等はタマネギとピーマン、そして味付きカルビにカップヌードルと言う寂しい食材しか買えませんでした。そして去年に寄った酒屋さんに入り、ワイン2本(1本1200円と言うとてつもなく高いが、さして美味しくもない国産品)と缶ビールを3本買うと氷が売りきれとのことで、クーラーの保冷力をいくらかでも向上させようと、缶ビールの大きいのをもう2〜3本仕入れてキャンプ場を探します。案の定、何処も満員状態で、去年に泊まったところの筋向かいのキャンプ場が何とか開いていたので潜り込みまして、テントの設営、諸々の準備を整え温泉へと向かいました。

檜枝岐には公衆浴場が2つと、去年入ったアルザがあります。アルザは今年値上げして割引券を貰っても一人1200円とのこと、とんでもないと公衆浴場に向かったけど、一軒目は満員御礼で外にも人の行列、どうしても風呂に入りたい欲望に駆られた僕たちは、二件目へと向かいましたが、入口に張り紙が、、、、
「本日清掃につき終了しました」
 事情を話すと館主が特別に入浴を許してくれ何とか昼間の汗を落としさっぱりしました。
「いやあ、山の後の風呂は極楽ですなあ、、、、」と目と目で通じ合い、僕等はキャンプ場に向かいました。

その夜の宴は、焼き肉少々とカップヌードルと言う寂しいものでしたが、尾瀬の全フィールドを一応は踏破したという満足感から気分の良い夜にまりました。そして昨夜の睡眠不足のお陰で早々にテントに潜り込むと、朝まで爆睡と言う結果でして、それにおまけが付いてしまい、僕は風邪を引いてしまいました。何と言っても檜枝岐は標高1000m、夜は冷えるのです。
 お腹を出して寝ていた僕には外の風は冷たすぎました。

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