飯森&山響 モーツァルトシンフォニーサイクル
   「アマデウスへの旅」 第8年(完結)
   交響曲全曲演奏 定期演奏会 Vol.24


 


  
2015.02.14(土) 山形テルサホール
指 揮:飯森範親
コンサートミストレス:犬伏亜里
ソプラノ:小林沙羅 アルト:富岡明子
テノール:安保克則 バ ス:与那城敬
合唱:山響アマデウスコア

交響曲 第1番 変ホ長調 K.16
交響曲 ニ長調 K.97(第47番)
------(休憩)-----
レクイエム ニ短調 K.626


何だかんだ言ってもこの日が最後のモーツァルト定期、この八年を考えてみると公私ともに感慨深いものがあります。
全24回全て鑑賞出来た人も結構いたようでしたが、自分は一回だけ欠席しました。もちろん八年間全てのチケットは確保してあったのですが…
来年度に二回だけ再演希望の多い曲を取り上げた演奏会をやる予定のようですが、皆さんの気に入った曲はどんなものなのか興味がありまする。
個人的には第一回目にやった交響曲第39番をもう一度聴いてみたいと思っているのですが…

毎年この時期の公演は気象条件が厳しく、庄内から日帰りするのが億劫なので、市内に宿を取ることにしています。(この日の112号は雪崩のため通行止め)
演奏会が終わってからそのまま適当な店に入り、ゆっくり食事を取りながら晩酌をやって宿に入る。すぐに暖かいお風呂に浸かりながらまったりして感慨にふけるのが、貧乏人にはせめてもの贅沢なのです。ただちょっと下世話な話ですが、懐具合がさらに寂しくなるのが玉に瑕ですがね。
前日までは大荒れの天気でしたが、この日の日中は思いの外天気が良くて予定より早く着いてしまい、チェックイン出来なくて霞城セントラルあたりで少し暇つぶしをしました。

会場はほぼ満員、前売り券も完売だったみたいで当日券を求めて並ぶ人も居たみたいです。
この日は運良く二階席の最前列をゲット出来ました。音楽監督のプレトークが始まります。
いつもなら楽曲の解説がメインなのにこの日は蔵王でスキーをしたことから、何でも偶然幼稚園のクラスメートの女性と再会したそうです。そして何故かその人のフルネームまで覚えていたそうで、さすが暗譜の飯森と異名を取っただけあって、記憶力は常人とかけ離れたものを持っているんだなと感心していたら、何のことはない、要するにその人がとっても可愛かったからなんだそうです。
やれやれ…

演奏が始まります。1曲目の交響曲1番は前回の酒田公演(2015.01.31)でも演奏しました。
この日の配置は弦が(8-5-6-8-3)の対向配置でFg-1,Temb-1,Hr-2,Ob-2となります。酒田公演時よりVlaと2Vlnが1人ずつ増えました。そしてチェンバロが入りますが音的にはやはりかなり違って聞こえました。
あまり聴く機会のない曲ですが二回目ともなると少しは覚えているのでした。
全3楽章形式で第1楽章はやはりとても美しいメロディラインでしたが、第2楽章はどうしても眠くなるのですよこれが…(笑)
Tembが入った分よりバロック調が増しましたね。

そして2曲目の47番、これは最後の交響曲である「ジュピター」41番の後に作曲されたものではなく、後年研究者によって発見された楽曲を便宜上42番から順番に番号付けされたものだと言います。
配置は1曲目にTp-2,Timp-1が加わりました。この曲はもちろん初めて聴きましたが全4楽章形式です。ほどよくまとまった印象を持ちましたが、正直眠かったです(汗)
ホールの二階からオケを俯瞰していましたら、一生懸命演奏している奏者には申し訳ないですが、日本の縮図を見ているようだなと変なことを思いました(汗)


休憩後にこの日のメイン、そしてシリーズの最終曲でもあるレクイエムが始まります。
まずは合唱団である山響アマデウスコアのメンバーが粛々と後列に並びます。弦楽器郡は変わりませんが配置が少しだけ違いました。管はCl-2,Fg-2,Tp-2,Tb-3となります。チェンバロからオルガンに変わり、Timp-1はそのままです。
まずはこの壮大な名曲を山形で聴けることを感謝申し上げます。知っての通りアマデウスはこの曲を書き終える前に亡くなりました。解説によればこの日の演奏はジュスマイヤー版だそうですが、アマデウスは前半の2/3程しか作曲できなかったそうで、残り1/3は弟子達が残されたスケッチを元に作曲したものだそうです。
そして弟子の1人であったジュスマイヤー無くしてこの曲は後世に伝わらなかったと言われております。

映画「アマデウス」では悲劇的な使われ方をしているように感じますが、それも一つの考え方に過ぎません。CDなどの音源でしか聴く機会の無かったこの曲は、自分の中ではあまり良い印象を持つことが出来ませんでしたが、演奏が始まった瞬間にそんなものはどこかにはじけ飛んでしまいました。
改めて人間の歌唱の素晴らしさに感動しました。合唱団である山響アマデウスコアの圧倒的迫力とキレ、そして響きは後ほど音楽監督が絶賛したとおり、日本ではトップクラスなのでしょう。実に素晴らしい合唱でした。

圧倒的音の波が客席を一瞬で感動の渦の中にのみ込みます。私の人生でもこんな素晴らしい体験は滅多にありません。いやあ、実に素晴らしかったです。後は夢の中の出来事のような時間がただ過ぎていくだけ、などと言っている場合ではありません。オケの奏者も負けてはいません。90人?もの大音量に圧倒されてなどいません。弦でも管でも打でもみな楽曲の中に無くてはならない確固たる足場を築いて演奏しています。素晴らしいです。
そしてソリスト達、どこからそんなに大きく響く声が出るのか不思議なほどホールに響き渡る美声…
いやあ、参りました。一瞬にして固まってしまい瞬き一つ出来ない状態が暫く続きました。
カーテンコールが鳴り止みません。指揮者とソリストが何度も何度もステージを往復します。

レクイエムは生で聴くに限ります。そして実際に音を肌で感じてみることで、たぶん何かが変わります。人によって様々でしょうが…
またこの楽曲についてあれこれ書くことなんて出来ません。時空を超えて様々な人たちの想いが詰まった音楽は偉大です。私のような者が綴るちんけな言葉の羅列なんて何の意味がありませんから…

今後の山響には八年で培った財産が残ります。「モーツァルトを聴くなら山響で!!」
と言うフレーズが定着することを願ってやみません。


この企画は全ての曲がオクタヴィアレコードにより録音されており、後日全11枚に及ぶCDが発売される予定のようです。
日本国内はもとより世界的にも例のない録音でありとても意義のあることだと思います。

最後にメモリアルアルバムを勝手に作ってみました。
興味のある方はご覧下さい。
素材は全て山響のHPから引用しました(汗)
お許しください。