飯森&山響 モーツァルトシンフォニーサイクル
   「アマデウスへの旅」 第8年
   交響曲全曲演奏 定期演奏会 Vol.22


 
  
2014.04.14(土) 山形テルサホール
指 揮:飯森範親
ピアノ:永田美穂
コンサートミストレス:犬伏亜里
交響曲 ハ長調 K.96(第46番)
ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467
------(休憩)-----
交響曲 第38番 ニ長調 K.504「プラハ」


月日の経過は長いようで短いものだと言うが、秀逸な音楽に身を委ねる時間は永遠に続くように感じるが終わってみれば短いものだ。
このシリーズも八年目に入り最終年になる。年三回公演の内二回と三回目は10月と翌年の2月にほぼ固定されているが、1回目は毎年6月か7月で4月開催というのは初めてだと思う。
山形市内の桜の蕾はだいぶ赤みを増し開花ももうすぐ、春の息吹が気持ちよいが視線を上げると未だ厚い雪の衣をまどった山々が純白に輝き好天に栄える。

運転中にきょろきょろとよそ見をするのは、親子二代にわたる習性なのでいくら注意を受けても治らない。やれやれ困ったものだ。
庄内から内陸に入ると景色が一変し、ついつい山にばかり視線が行く。こんな天気の良い日に登れたら気持ちいいだろうな…
少し早く着いたので運良くバルコニー席を確保できた。

楽団の公式HPには楽団員募集のテロップがあり、アシスタントコンサートマスターと首席ファゴット奏者を募集しているみたいだ。詳しいことはわからないが、蜂谷さんと高橋さんが退団されるのだろうか。クラリネットの川上さんとフルートの小松崎さんが最近結婚されたとどこかのブログで読んだが、団員さん達にも色々事情があるのでしょうね。

恒例のプレトークでは1曲目のK.96(第46番)は、初期の交響曲の中では珍しい4楽章形式で書かれたもので、荘厳な響きだという。ヨハン・クリスティアン・バッハ(大バッハの末っ子)やハイドンの影響を強く受けた時期だという。この日の演奏はメヌエットをドイツ風の重みのあるテンポで演奏するという。
3曲目はプラハでフィガロの結婚が大ヒットし、自身の指揮によりプラハで初演した作品だそうで、オペラのドンジョバンニの序曲に通じるものがあるそうだ。

団員さん達がステージに登場するとパッと花が咲いたように賑やかになる。いつものことではあるが女性団員たちのドレス姿が華やかで良いですな。
1曲目の配置は通常の弦楽器にHr2、Ob2、Tp2、と通奏低音のためだと思われるFg1とTimp1である。
第1楽章はいかにもモーツァルトが創りましたよという感じで、第2楽章は荘厳で賛美歌のような曲調である。第3楽章は主題と副題がはっきりと分かれた曲調だ。これで踊れるのかなと思うような重い感じのワルツだった。第4楽章も良く盛り上がり、非常に良くできた感じの交響曲です。時間にして12分くらいとマエストロが言ってました。
イタリア旅行からの影響を強く受け、ウキウキするような当時の心境がわかるような作品でした。ただVlnの音が悪い言葉で言えば濁ったように感じたのは何故でしょうかね。

2曲目のPコンの21番は、プレトークによれば1781年に大司教と大喧嘩して、ウィーンへ単身出て行った頃の作品だそうで、心が洗われるような美しい作品だそうです。
ウィーンでのアマデウスはフリーの作曲家として活躍し、予約演奏会の成功で結構な羽振りだったそうです。予約演奏会というのは現在のコンサートのように事前にチケットを売るシステムで、貴族達が見栄でチケットを何枚も買うようなこともあったそうで、一回の公演で現在の通貨で500万円くらいの収入があったそうです。
現代の偉い人たちが買うパーティー券のようなものだったのでしょうかね。

春らしい明るいグリーン(若草色と言うらしい)のドレスに身を包んだ永田さんが盛大な拍手の中登場します。編成は弦とPに、Hr2、Ob2、Fl1、Fg2、Tp2、Timp1となりました。会場を見渡すとほぼ満員です。アシスタントコンサートマスターの蜂谷さんの姿がないことにこの時気がつきました。

第1楽章はVlnの音がいつもの澄んだ音に戻ったのがわかりました。やはり前曲では意識的に作った音なんですな。FlとObとFgの掛け合いが素晴らしいモーツァルトらしい曲調です。
第2楽章はとても有名で美しい曲です。心にスーッとしみ込んでくるような心地よい時間でした。ピアノも素晴らしい。
第3楽章は一転しパワフルな感じで大盛り上がりで終わります。終演と同時に盛大な拍手とブラボーの声が上がりました。永田さんは隣の上山市の出身とのこと、結構身内も聴きに来ていたのではないでしょうか、カーテンコールが延々と続きましたが結局アンコールは無しでした。(笑)

休憩後の3曲目のプラハ、配置は弦にFl2、Ob2、Hr2、Fg2、Tp2、Timp1となります。
第1楽章は特に有名なフレーズです。出だしは非常に、あるいは意識的にでしょうか、ゆっくりとしたテンポです。マエストロの譜面台には閉じたままの赤いスコアが見えます。つまり暗譜で振っているんでしょうね。
曲の進行と比例してテンポも加速するように戻り立体的な音になります。いやあ上手いなあ〜。有里さんの奮闘が光ります。倉田さんの真剣な目線がカッコイイ。

第2楽章でマエストロがスコアを開きました。とてもスローでメローで美しく甘美的な楽章です。心が溶け出しそうなワルツでした。
第3楽章はFgの音が特に心地よく響いてました。ダイナミズムと優しさが同居したような気持ちよさがありましたね。
この交響曲は三大交響曲のようにほぼ完成された感があります。アンサンブルも非常に複雑で奏者は大変でしょうがアマデウスの人生の中で一番光り輝いていた時期での作曲なのでしょう。いくらでもアイデアが湧き出てくるようなイメージがあります。ブラボーでした。


  
交流会の様子


終演後の交流会では色々な宣伝が…(笑)

この企画が終わった後のこともチラホラと…

音楽監督は色々考えているらしいです。

飯森さんは今シーズンから大阪の日本センチュリー交響楽団の首席指揮者も兼務することになったため、10月19日にサントリーホールで山響との合同でマーラーの復活をやるとのことです。

15時開演のため日帰り可能とのことですが…(笑)


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