【山形交響楽団 庄内定期演奏会 第22回公演】

   
  
2013.12.15(日) 鶴岡市文化会館
指 揮:大井剛史
コンサートミストレス:犬伏亜里
ヴァイオリン:高木和弘
シューベルト: 歌劇「悪魔の別荘」序曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 
【アンコール】
F.タレガ:アルハンブラの思い出
------(休憩)-----
ドヴォルザーク: 交響曲 第9番 ホ短調 作品95「新世界より」

年の瀬となり庄内もここ二日の降雪で白一色、この日も朝から吹雪模様で氷点下の一日であった。
久しぶりに鶴岡公演に足を運ぶ気になったのは、もちろん高木さんのVlnを堪能したいからに決まっているが、この日の会場である鶴岡市文化会館の見納めでもあるからだ。
年明けから解体工事が始まり新しいホールが建設されるそうだ。県民会館も建て替えが決まったようだし、何年か後には県下主要都市での演奏会はとても素晴らしい環境下での演奏が可能になるはずで今からとても楽しみである。

    
見納めのホール  と  プレトーク



恒例のプレトークが始まる。今回の指揮者である大井剛史氏を拝聴するのは二度目、前回は今年三月の酒田公演であった。今回の選曲、メンデルスゾーンとドヴォルザークは飯森音楽監督が決めたものなので既定路線、1曲目のシューベルトは大井氏の選曲、理由は演奏される機会が非常に少ない曲で、是非紹介したい指揮者こだわりの一曲だという。

世間に余り知られていない曲をなるだけ多くの人たちに紹介したいという指揮者のポリシーは今後非常に楽しみだ。
大井氏と言えばレパートリーの広さには定評があり、これから徐々にその博識を披露してくれる機会が広がることを切に願う。

ドヴォルザークの「新世界より」は、指揮者のこだわりの曲らしく、年に一度は必ず振ることにしているという。今年もこれで三回目と仰っていた。修業時代プラハに渡りチェコフィルのリハーサルを何度も聞いて勉強したという。この日の演奏は本家のアレンジではなく、それを踏まえて山響の良さを前面に引き出した演奏にしたいと抱負を語ってくれました。

会場は前の席を除いて2/3程は埋まっていた。外の強風の影響か時折「ゴォ〜」っと言う不気味な音が響く。暖房が効きすぎているのか上の方の席は暑いくらいだ。
1曲目の演奏が始まる。演奏時間は9分ほどのとても短い曲だが、一粒で二度美味しいとでも申しましょうか… 中身の濃い曲でした。もちろん初めて聴いたのですが指揮者の解釈もオーソドックスに感じました。

終演後の拍手がもどかしく感じるほど待ち望んだ高木さんの登場に大拍手、
「お帰りぃ〜」

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は高木さんが山響と初共演した時の曲だそうで思い入れがあるみたいです。今年3月で契約満了のため退団されて非常に寂しかったのですが、久々に見る顔は元気そうで安心しました。今年9月にダラス室内交響楽団コンサートマスターに就任され、活躍の場を広げられて山形で聴ける機会は激減すると思われますが、一ファンとしてこれからも近場のどこかで聴ける機会があればと切に願っています。

すぐに演奏が始まり誰もが知っているあのメロディーを美しく奏で始めるとすぐにウルウルする軟弱な私でありました。歳を重ねると涙もろくなって困ります(笑)
演奏は慣れ親しんだメンバーの中でも厳しさを感じさせるソロでした。相変わらずの高木節?(笑)に健在どころか進化を感じたのは私だけ?
カデンツァも素晴らしくこみ上げてくる涙を抑えるのに必死でした。

答える山響の演奏も素晴らしく、特にCl、Ob、Fl首席達の連携は、ゴールデントライアングルとでも申しましょうか、素晴らしいアンサンブルでした。
終演後の盛大なカーテンコールに応えてアンコールはタレガの「アルハンブラの思い出」をソロで…

ギターの名曲で誰もが知っているメロディーに会場は静まり返る。以前福田進一さんの演奏会でこの曲の弾き方を解説していただいたことがあって、一台のギターで主旋律と伴奏を同時に弾くには開放弦の使い方にマジックがあり、弾くこと自体はそんなに困難なことではないという話を聴いたことがある。ギターの弦は6本つま弾く指は5本に対して、Vlnでは、4本の弦を弓一本で演奏しなければいけない。素人が考えても大変困難な演奏なのだろうが、高木さんは見事に主旋律と伴奏を奏でている。これを超絶技法と言わず何と言おう…

初めて聴くVlnの音色に堪えていた涙がどっと溢れ出す。す、素晴らしい時間をありがとう。大感激のアンコールでした。高木さんの声に出さない団員さん達と観客への感謝の念にあふれたメッセージに心が熱くなりました。もちろん皆手が痛くなるほどの拍手を惜しみませんでした。


休憩後に本日のメイン「新世界から」
指揮者が一番好きな作曲家と言うだけあって気合いが違います。出だしからノリノリの演奏です。私は生でこの曲を聴いたのがいつだったか記憶にありません。FMなどではしょっちゅう聴いていますが、出だしがVlaとVcだけで静かに始まることを初めて知りました(汗)
第二楽章のイングリッシュホルンの有名な旋律を奏でる斎藤真美さんの熱演も良かったです。楽器を取り替えながら大変そうでしたがね(笑)

Fgの高橋さんとVlaの成田さんは今回ステージに上がりませんでしたが、代役の方々も素晴らしかった。特にVlaトップの倉田さんの熱演良かったです。
さすがの名曲だけあって観客もノリノリで会場もヒートアップし、この素晴らしい時間が終わってしまうのがもったいなくてしょうがありませんでした。
いやあ、今年最後の山響はホントにいい演奏会でした。良い気分で年を越せそうです。


終演後のサイン会



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