飯森&山響 モーツァルトシンフォニーサイクル
   「アマデウスへの旅」 第7年
   交響曲全曲演奏 定期演奏会 Vol.20


 
  
2013.10.05(土) 山形テルサホール
指 揮: 飯森範親
スザンナ: 中川恵美里
フィガロ: 森 雅史
ケルビーノ: 村松 稔之
伯 爵: 萩原 潤
伯爵:夫人 安藤赴美子
合 唱: 山響アマデウスコア
コンサートマスター:田尻順(客演)
語 り:青山友紀
交響曲第32番ト長調 K.318

------(休憩)-----

歌劇「フィガロの結婚」K.492(演奏会形式 抜粋)


黄金色に染まった稲田の刈取もあと少しで終わろうとしている。季節が慌ただしげに移ろい景色も確実に変化していく。全ての生き物が過ぎ去る季節から何を感じるのか、通い慣れた道を何度か間違いながら考えても分かるはずもない。
我が家の田んぼは稲刈りは好天に恵まれ順調に終了したが、精米袋詰め作業と後片付けが残っており、貧乏性の身にとっては落ち着かないのが正直なところ、さっさと決まりよく終わらせたいのだが、いろんな野暮用が次から次へと… いやいやよそう、愚痴になる。

今回の公演はメインがフィガロの結婚、1曲目が交響曲32番である。音楽監督が仰るには、この曲は本当にアマデウスが書いたものなのか半信半疑だということだ。と言うのも他の交響曲では決してみられない独特の書き方なのだという。強弱の表現も過激でVla首席の成田さんも同じような意見を持っていたそうである。曲自体は全3楽章形式なれど非常に短く8分ほどで終了、ん…??? と思っている内に終了しホールの照明が明るくなり15分休憩のアナウンスが…

休憩時間中にさらっとパンフを読む。恥ずかしながらフィガロの結婚は序曲ぐらいしか聴いたことがないのだ。もちろんストーリーも全然知らないからイタリア語で歌唱されても意味なんてこれっぽちもわからない。オペラというものをCDで聴くことに抵抗を覚えていた時期があり、私はオペラについてははっきり言って何も知らず無知を通り越している。
折角一生懸命演奏してくださる奏者や歌手の方々には申し訳ないことではあるが…
田舎に住んでいるとオペラを鑑賞する機会なんてほとんどないので仕方がないと言えばそれまでなのだが、少しは勉強して鑑賞するべきだったと今は反省している。

この日の山響はゲストコンマスに田尻順氏を迎えての演奏だ。後で調べたら田尻氏は東京交響楽団のアシスタントコンサートマスターを務めている方で、多分、飯森さんのご指名なのではないかと思われた。ソリストの面々も素晴らしい方揃いで、テノールの萩原さんは、去年だったか酒田でマーラーの少年の魔法の角笛でもその美声を聴かせていただいた。
ソプラノの安藤さんは昨年、美里町での第九で、バリトンの森さんは現在ドイツを拠点に活躍しているとのこと。ソプラノの中川さんは今春芸大を卒業されたばかりで、これから留学されるそうで、その合間を縫っての出演とのこと、飯森音楽監督が大抜擢しての出演だそうだ。カウンターテナーの村松さんの役は通常女性のメゾソプラノ歌手がやるものだそうだが、これも飯森さんの解釈での起用だそうで私自身、生カウンターテナーは初めて聴いた。

今回の公演は演奏会形式の抜粋で上演され、合間に解説を含めたアナウンスが入り、私のような素人にも非常にわかりやすくとても楽しめました。YBCの青山アナウンサーご苦労様でした。彼女も飯森&山響ファンらしく、何度も客席で目にしたことがあります。NHKの山田アナウンサーもよく見かけますがね(笑)
演奏自体は素晴らしいものでして私如きが感想などとても書けるものではありませんが、いろいろな意味で勉強になりました。
やはり人間の歌唱に敵う楽器はありませんというのが正直な感想で、ソリストはもちろん合唱も素晴らしかったです。

モーツァルトがオペラを書いたのはこの曲を含めて何曲あるか知りませんが、中でも「フィガロ」は特に名の知れた作でしょうが、作曲も含めての創作を一人でやったのだと思うと何ともいえない不思議な感覚に陥りました。
私のような凡人にも恥ずかしながらアイディアらしきものが希に浮かぶときがあります。が、1時間もしないうちに失念するのが常です。創作の断片をコツコツと繋ぎながら積み上げ推敲し、切り離して再構築していく根気のいる膨大な作業を、デジタル化した現代でやるのも大変なことなのでしょうが、当時の環境下での作品が現代まで生き残り、その時代のマエストロ達の努力で洗練されながら、未来永劫生き残っていく作品には一体どんな魅力があるのか考えると、そこに音楽という概念以外の何かを感じるのは私だけでしょうか。

人間という生物に好まれる基本的に共通した「何か」を知っていた過去の偉人達にはそれらを具体的に見ることができ、感じとることができたのでしょう。モーツァルトが35年の短い生涯で残した数多くの作品の中には、今でも譜面の中で生き続けている「何か」が誰かに気付いて欲しくて特殊なオーラを放ち続けているのだと思います。それが作者の魂なのかどうかは別にして、現代に生きる私たちにわかりやすく伝えてくれるマエストロに感謝したいと思います。

この企画もラスト4ステージ、来年度のプログラムも発表されここまで聴き続けられたことを感謝し、また最後まで聴き続けたいと考えています。
ちなみに最終公演はレクイエムとのこと、今から楽しみです。


  
交流会の様子
ヤンネさんのPRもありました


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