飯森&山響 モーツァルトシンフォニーサイクル
   「アマデウスへの旅」 第5年
   交響曲全曲演奏 定期演奏会 Vol.14


2011.10.01(土) 山形テルサホール
指 揮:飯森範親
ソプラノ:文屋小百合
アルト:小泉詠子
テノール:松浦 健
バス:谷 友博
コンサートマスター:高木和弘
合唱:山響アマデウスコア
交響曲 第8番 ニ調 K.48
交響曲 第19番 変ホニ長調 K.132 
---- 休 憩 ---
ミサ・ソレムニス ハ短調 「孤児院ミサ」 K.139


十月最初のこの日は肌寒く雨模様で、稲刈りもまだ終わらぬのに秋の長雨か…
天気が安定しないというか、雨が降り始めるとなかなかお日様が顔を出さない。心の中に渦巻くモヤモヤが晴れず、体調も今ひとつよろしくない日が続いている。こんな時は音楽でも聴いて憂さを晴らそうとテルサに向かった。

  
寒々とした秋空  と  暖かな雰囲気のステージ

この日は開演前に下記による弦楽四重奏のプレコンサートがあった。
東日本大震災のチャリティーコンサートである旨をHr首席奏者の八木さんがMCされていた。


音楽監督のプレトークが始まる頃には会場はほぼ満員御礼状態、本日のメインはミサ曲なので二階バルコニーでの鑑賞とした。まずはひととおりの流れを…

一曲目の交響曲第8番は、天然痘が猛威を振るう中のウィーン滞在中、12歳での作曲とのこと。編成はVlnが対向配置の弦5部と2Ob,2Hr,2Tp,Timp,Fg1の編成で全4楽章の構成となる。音楽監督は破天荒、若気の至り、奔放、見よう見まねという言葉を使っていたが…

二曲目の交響曲第19番は、イタリア旅行中の16歳での作曲という。弦5部に2Ob,2Hr,2Tpの編成で全4楽章(イタリア様式では通常3楽章が多い)、スコア上は4Hrであるらしいが、この日は高音域を2Tpでやるそうだ。2楽章がかなりの成熟度であるらしい、4楽章はロンド形式で書かれているとのこと。

メインの孤児院ミサは、前出の8番と繋がっており12歳での作曲、この曲は1768年にアマデウス一家が親しくしていた神父が司る、孤児院の新装なった協会のために書かれたミサ曲とのこと。編成は弦5部に2Ob,4Tp,3Tb,Fg,Timp,Org、独唱SATB、そして山響アマデウスコアの合唱団が入るにぎやかな曲である。音楽監督は合唱の完成度の高さを絶賛していた。
なお、この日も会場は満員御礼状態であった。(このシリーズ人気高いです)

一曲目が始まった。この曲はとてもおとなしく澄んだ音の交響曲であったが、確かにまとまってはいるものの、ある意味ダイナミズムに欠けた、こぢんまりした印象を受けた。誰かが言っていたが、モーツァルトの年齢は2倍にしてみると少しは納得するんだそうだ。

二曲目の2楽章は、とてもたおやかで美しい曲調だった。3楽章は時折、弦パート首席だけの演奏となる。さすがの貫禄十分の音に満足、満足…

そして、休憩後のメインが始まる。まずは合唱団が静かに入場し、オケが入り、指揮者とソリストが最後に入る。これから始まる充実した甘美な時間を連想させるゆったりとした序奏のようでもある。
そして飯森さんが指揮棒を振り下ろした瞬間「キ・リ・エ〜」と、度肝を抜く素晴らしくボリュームたっぷりの鳥肌ものの合唱がホールに響き渡る。
この曲を12歳で作曲した天才アマデウスは、すぐに初演を自ら指揮し大絶賛をはくしたと言われているが…

正直この曲を12歳で作ったと言われても…
知らない人が聞いたらたぶん誰も信じないと思うのは私だけか?
山響と合唱団そしてソリストの見事なコラボレーションが、聴衆を魅了し本当に夢のような時間があっという間に過ぎ去ったというのが偽らざる心境である。

音楽監督は合唱団の指導を佐々木正利氏(岩手大教授)にすべて任されているとのこと、本番前の音合わせも無いに等しく、ぶっつけ本番の感もあるそうだが、見事に揃った演奏でありました。いやはや山形でこのような演奏を聴くことができるのは、本当に素晴らしいことだと思います。

レクイエムを聴ける日が楽しみだなぁ〜。

   


   

ソプラノの文屋さんは山形出身
テノールの松浦氏は体調を崩しての歌唱で、本番前日まで声が出なかったそうだ。