飯森&山響 モーツァルトシンフォニーサイクル
   「アマデウスへの旅」 第4年
   交響曲全曲演奏 定期演奏会 Vol.11


2010.10.02(土) 山形テルサホール
指 揮:飯森範親
ヴァイオリン:鈴木 舞
コンサートマスター:高木和弘
交響曲 第9番 ハ長調 K.73
ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218
---- 休 憩 ---
交響曲 第20番 ニ長調 K.133

季節の移ろいは慌ただしい。
アマデウスの旅は年3回公演の8年計画でスタートしたが、もうすぐ半分の折り返しだ。幸運なことに私は今までの演奏会は全て聴かせて貰ったが、山響の進化は著しく特にここ二年位の演奏会の充実ぶりは本当にすごいなあと思う。

恒例の音楽監督のプレトークから。
交響曲第九番は1769年作曲とされているが、実際には1768年に完成されていたと飯森さんは考えているらしい。初期の交響曲は3楽章形式のものが多いが、この作品は4楽章形式で書かれている。これは当時ウィーンで流行りだした影響だと考えられるそうな。
第2楽章はとても美しいものでフルートは立って演奏するスタイルなのだとか。編成は弦5部にOb-2、Fl-2、Hr-2、Tp-2、Timpとなる。

プログラムには載っていないが、Fgの高橋あけみさんも入るのだそうで、これは当時の通奏低音の演奏はCbとVcとFgで受け持つのが通例だからだそうです。

続いてのヴァイオリンコンチェルト4番は、ソリストに鈴木舞さんを迎えての演奏、彼女は現在21歳、東京芸大の3年生とのこと、19歳の時に飯森さんと大阪のオケで共演して以来だそうで、素晴らしい才能を持った方とのこと。
作曲は1775年、編成は独奏Vln、Ob-2、Hr-2、弦5部。

交響曲20番は1772年の作、モーツァルトはこの年に8曲の交響曲を書いているそうで、いくら天才といえどもこれは異常なことらしく、父レオポルトが密かに手伝ったのではないかと思える箇所があちこちあるとのこと。

華やかなドレスに身を包んだ女性団員が拍手の中登場すると、だんだん気分が高揚して来る。今回は少し早く着いたので事前交換で2階バルコニー席をゲット、団員さん達の顔が間近に見えいい感じ、コンマスの高木さん少し髪が伸びたかなぁ〜
9番は何か聴いた感じ、今まで私の中で固まりつつあるモーツァルトのイメージと違った曲想に感じた。宮廷舞曲を意識しすぎたような感じとでも言うのか…

2楽章が始まる前に、フルートの安達さんと竹谷さんが、スクッと譜面台と一緒に立ち上がりそのまま演奏に入った。これは私的にとてもうけてツボにはまりました。
失礼、変な意味ではないですよ…(笑)
ファゴットの音が隠し味のようで、なかなかおいしい曲でありました。

ヴァイオリン協奏曲4番は、純白のドレスがまぶしい鈴木舞さんと飯森さんが盛大な拍手の中登場、っと、なぜか飯森さんが回れ右していなくなったがすぐに笑顔で再登場、指揮棒を忘れたのだろうか?なんかニタニタしていた。
この曲は非常に美しいコンチェルトだ。ソリストの鈴木嬢の演奏は、とてもクリアで花のある音で、ほとんどのおじさん達は、うっとりと鼻の下を伸ばしデレーっと聴き入ったことだろう。カデンツァも申し分ない出来だった。
カーテンコールの拍手が鳴りやまない。

休憩後の20番、華やかに荘厳に開始、2楽章の弦の音が柔らかでとても切ない感じがしてうっとりと聴き入る。この辺になると山響マジックにどっぷりとはまり込んでしまい、身動きできない感じだ。終わりが近づくに従い、寒い朝に暖かい布団から出たくないような心境になってしまう。
ああ、山響って良いなあ〜。

実は今回、2階バルコニー席から聴くのが実に楽しいことであることに気づいた。オーケストラを近距離から俯瞰するので、指揮者や団員の表情がはっきりとわかるのも良いのだが、音の位相が視覚的にもはっきりと知覚できる事の楽しさったら、あ〜た…(ついついおばさん口調になりました(汗))初めて3D映像を見たような感動を味わいました。

特に今回感じたのはヴィオラの音の面白さです。飯森さんの好みなのかどうかは分かりませんが、山響の場合ヴァイオリンは指揮者を挟んで左右に1stと2ndが別れた対向配置、そして中央左側にチェロ、右側にヴィオラ、弦の後ろに管楽器を挟んで、一番奥のセンターにコントラバスが並ぶという配置が、モーツァルト定期では定番となっている。
1階席や2階席でも正面で聴くと私のような素人の耳には、弦楽器の音が重なってしまいどの楽器の音か分からないことの方が圧倒的に多く、もやもやした感情が尾を引くことが多かった。

今回改めて感じたのが、華やかな1stVlnと、それを支える2ndVlnに挟まれたVlaの音は、なんとも言えない味があること、確かに派手さはないが、「社長!良い仕事をしてますなぁ!」と思わず声を掛けたくなるような感じと言えば分かってもらえるかなぁ…

このシリーズが始まった4年前、第1回公演のゲネプロをファンクラブの人達と見る機会があったのだが、鮮明な記憶として残っているのが、各パートのトップの人達が盛んに議論していたこと。特にVla首席の成田さんの熱心さが群を抜いていたのを思い出しながら演奏を聴いていた。

最近の山響弦軍団(笑)の充実振りは、ヴァイオリンはもちろん素晴らしいが、ヴィオラの力もあるんだなと改めて認識した(無知ですいません)次第である。

こういう調整力のいる仕事って、音楽ばかりでなく実社会でも必要不可欠の存在な訳で、良い仕事をする会社や集団には、必ず調整力の優れた裏方のリーダーがいるものです。
某政党のトップの人達には、山響の素晴らしさは理解できないんだろうなぁ…(冷笑)


   
この日のソリスト鈴木舞さん  と  飯森音楽監督
この日の交流会の司会は、トランペットの佐藤裕司さん
とても頭の回転の速い人と思いました。



  
我が家の窓からの朝焼け  と  この日の夕食