【NHK交響楽団 第1677回定期公演 Cプログラム】

2010.06.12(土) NHKホール
指揮:ウラディーミル・アシュケナージ
クラリネット:ディミトリ・アシュケナージA B
オルガン:勝山雅世C
ピアノ連弾:金崎美和子 沼田良子C
コンサートマスター:堀 正文
@フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」作品80(17′)
Aフランセ:クラリネット協奏曲(24′)
(アンコール)
Bベーヴァ・コヴァーチェ/マニュエル・ド・ファリャへの讃歌
-----(休憩)-----
Cサンサーンス:交響曲第3番ハ短調作品78(37′)



久々に上京、折角だからとめぼしいコンサートを物色するも皆完売であった。NHKホールは何年振りかな?前音楽監督で今は桂冠指揮者のアシュケナージガ登場するとあって三千人ほど入るホールはほぼ満席であった。

開演45分前からホール2階北側ロビーでプレコンサート、概要を下記に示す。

ドヴィエンヌ/ファゴット四重奏曲 第2番 作品73
佐藤由起(ファゴット)、大宮臨太郎(ヴァイオリン) 御法川雄矢(ヴィオラ)、宮坂拡志(チェロ)


我々がちょうどホールに入ると音合わせしている黒服の集団が目に入ったのだが、チェロ首席の藤森さんがなにやら入念なアドバイスを行っていた。
N響のC定期ではお馴染みのプレコンサート、以前も一度聴いたことがあるが前よりサービスが良くなった気がした。ちゃんと司会者がいて演奏者のプロフィールなどを丁寧に説明してくれたりしてね…。

演奏が終わって座席に着く。今回は急な上京のためあまり良い席が取れなかったが、2階席の右より、目の前にパイプオルガンの太い管が見えた。ステージは遠いが演奏者の顔ぐらいは判別できる(老眼のため遠目は利くのだ)。
この日のコンマスは堀さん、チューニングが終わり指揮者が拍手の中登場する。初めて目にする生アシュケナージは思いの外小柄で少々面食らう。

1曲目のフォーレ作曲「ペレアスとメリザンド」は全3楽章、コンサート最初の曲としてはかなり長い感じと言うか、得した気がした。
この作品は元来ベルギーの劇作家モーリス・メーテルランクが書いた戯曲で、同時代の多くの作曲家がオペラや組曲の題材としているそうで、フォーレの他にシェーンベルク、ドビュッシー、シベリウスなどが同名の作品を書いているという。そう言えば以前どこかで聴いたような気もする。

2曲目のフランセのクラリネット協奏曲は初めて聴く作品、フランセ(1912〜1997)は、フランスの作曲家で実に多作な作曲家であったらしい。また優れたピアニストでもあり作品はピアノ曲が多いという。今回のソリストは指揮者の次男、N響は身内に甘いとどこかの人が言っていたが、まあね…

久々に大きなホールで聴くオーケストラは座席の特性もあろうし、編成も小さかったからかダイナミズムに欠けているような気がした。
と言うか、寝不足と昼酒がたたり眠くてしょうもなかったのが本音、音的にはさすがのN響、隙がない演奏に脱帽する。

休憩時に一服したら少し眠気も飛んだ。
メインであるサンサーンスの交響曲3番の編成は大きく会場に入りびっくりする。二階のパイプオルガンの演奏席にも奏者がいる(あたりまえだ)。
弦5部の編成も大きいが、管楽器の多彩さ、ピアノもあり打楽器も実に多彩である。こんな大編成の曲はやはり大きなオケでしか聴くことが出来ないのだなとつくづく思った。

この曲は知らないで聴いていると全4楽章のように思えるが、第1楽章、第2楽章共に前半と後半に分けられているのだそうで、循環形式で書かれた作品だと言う。これは楽曲全体を通じて進化する主題展開理論に基づき作曲されているのだそうで、友人であり作曲直後に亡くなったフランツ・リストに献呈された作品なのだそうだ。
小難しい話はさておき、演奏が始まると、だんだんアシュケナージの世界に引き込まれていく。

有名な曲ではあるが、初めて聴く私には音楽の魔界に引き込まれていくような恐怖を感じる作品であった。填ってしまうと抜け出せないような錯覚を覚えた。
それでも弦の美しい響きはさすがのN響、コンマスの堀さんがグングン引っ張るのは見ていて気持ちが良い。管楽器もフルートの神田さんの演奏が一際目立っていた。後半のパイプオルガンとピアノの入った演奏は凄い迫力で迫ってきた。パイプオルガンの生音も初めて聴いたのだが、低音の響きが良かったなぁ、圧倒的なエネルギーを保ってコーダへ突入、すぐにブラボーの大合唱と拍手の嵐…
凄い迫力だった。

アシュケナージも興奮冷めやらぬ様子で何度もステージを往復し奏者を讃えていた。パイプオルガンの勝山さんは、拍手の度に何度も椅子の上で腰を支点にして長い足を180度ターンし大変そうだったが、律儀に応えていたのが印象に残った。これは一階席からは見えないものだろう。
久々にN響の演奏を堪能したが、個々の演奏技術の高さはもちろん、全体的なアンサンブルやバランスの良さは素晴らしいと思う。でもどうしても我らが山響と比較してしまうアホが私です。

自慢じゃないが我らが山響だって負けてませんよ。オペラシティーでさくらんぼコンサートを聴いた人なら、私の言わんとすることを少しは理解できるんじゃないかと勝手に思ってます。
そう言う意味では少し不満の残るコンサートでした。

  
突然現れた龍馬像にブルーのユニフォームが…

  
NHKホール(座席から)