飯森&山響 モーツァルトシンフォニーサイクル
   「アマデウスへの旅」 第4年
   交響曲全曲演奏 定期演奏会 Vol.10


2010.06.05(土) 山形テルサホール
指 揮:飯森範親
クラリネット:牧 慎一
コンサートマスター:高木和弘
交響曲 第10番 ト長調 K.74
クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
    ---- 休 憩 ---
交響曲 第34番 ハ長調 K.338

モーツァルト定期も早4年目に突入、全8年計画だからまだまだ先は長い。相方が仕事の都合でキャンセルのためクラシックにはあまり興味のない友人を連れて行ったらほとんど寝ていた様子、それだけ心地良い音の演奏会だったということの証左でもあろう。
庄内から47号で最上川を遡っていくと途中から結構な土砂降り模様、愛車の洗車にちょうど良いとうそぶく。庄内は最近降雨がほとんど無くカラカラ状態、久しぶりに雨の中を走行したら気持ちがしっとりと落ち着いた気がする。

テルサに着いて希望席を言ったら全部ふさがっていた。結局二階の最後列での鑑賞となったがそんなに悪くもない。すぐに飯森さん恒例ののプレトークが始まった。この日のテルサにはテレビカメラが入っており、7/6にNHKのドキュメンタリーで放映予定とのことである。
一曲目の交響曲10番はアマデウス14歳での作曲とのこと、イタリア気風で明るく華やかな曲調で全3楽章の構成である。当時は3楽章形式の方が聴きやすいイメージが聴衆にあったらしい。私はもちろん初めて聴く曲だ。

モーツァルトの初期の作品を生で聴く機会は非常に少なく、我々山形県民はある意味非常に恵まれていると思う。
これまで演奏された初期の交響曲作品は、第2回の4番K.19、第3回の5番K.22、第6回の6番K.40などなど、共に9歳から11歳までの作曲とのことであるが、いつもある意味完成された構成に驚かされる。
またコンサートでは初期から後期までバランス良く配置した構成に感謝である。
10番が始まるとウ〜ンと唸る。やっぱり天才アマデウス、中学生がこんな曲書けるか?

続いてクラリネット協奏曲、アントン・シュタットラーと言うクラリネットの名手であり、バセットクラリネットの発明者でもあった人のために書かれた作品と言われているそうだ。アマデウスが亡くなる2ヶ月前に完成された作品で、彼の短い生涯を凝縮したような作品と音楽監督が解説されていました。
クラリネットソリストは、山響団員の牧さんだ。鶴岡出身で朴訥とした風貌が親しみを感じさせ微笑ましい。

オケの配置は各vlnが3ブルト、ビオラは2ブルト、と全体的にこぢんまりとした編成だ。管はホルン、フルート、ファゴットが入っている。
牧さんは非常に汗っかきだそうで、普段にも増して汗を拭き々しながらの演奏に自然と笑みがこぼれる。
特筆すべきは第二楽章、非常にゆったりとした美しい曲調で、際だった管楽器が入ってない分、クラリネットの音ががうまく調和され素晴らしい仕上がりになっていた。鳥肌ものである。

全体的にゆっくりとしたテンポは飯森さんが意図的に行ったものだろうが、その分、音のクリアさが強調され大変素晴らしい演奏だった。
当然終演後のカーテンコールは鳴りやまず、牧さんは何度も往復、ソリストに慣れていないのか、袖に下がるときは何度も飯森さんに先を譲り観客の笑いを誘っていた。この辺の仕草にも牧さんの人柄が表れていたように思う。
終演後の交流会でもタキシードが汗で濡れてしまい、翌日の鶴岡公演まで乾くか心配だとジョークを飛ばしていたが、やっぱり相当緊張したんでしょうね。

休憩後の34番、ザルツブルグ時代(1780)に書かれた交響曲で、あまり演奏される機会はないそうだが、曲的には威厳に満ちた非常に優れた作品で、大司教とケンカ別れする前にその威圧下で逆境に耐えながら作曲されたという。
配置は通常の弦5部と、管楽器はホルン、オーボエ、ファゴット、トランペットが各2、打楽器がティンパニ、ファゴットとオーボエ以外は古楽器だ。

1楽章は威厳に満ちた出だしで始まる。ティンパニ(バロック)の音が現代のものと違い、パンパンと表現して良いのだろうか?実に気持ちの良い音だ。
2楽章は弦だけでの演奏、これぞ山響と言う実に美しく優しい洗練された演奏であった。いやあ、凄い!!
3楽章は速いパッセージの連続でティンパニのパンパンという小気味の良い音が印象的であった。山響の誇る美女2人のオーボエデュオ、かっこいがったぞ〜!!


  
テルサ最後列から

  
この日のソリスト牧氏