山形交響楽団第197回定期演奏会 と 「ラ・ボエーム」

2009.05.17(日) 山形テルサホール

指 揮:飯森範親
ヴァイオリン:滝 千春
コンサートマスター:高木和弘
「親しき友への献呈」

ラベル:亡き王女のためのパヴァーヌ 

ラロ:スペイン交響曲ニ短調作品21

---- 休 憩 ---

カリンニコフ:交響曲第2番イ長調

実はこのコンサート完璧に忘れていました。ファン失格ですf(^^;)

ある日移動中ラジオから山形の映画情報でボエーム云々と聞こえてきた。雑用に追われ暫くネット環境から遠ざかっており久々にPCをON…

映画版のラ・ボエームが公開されることは以前から知っていたのだが、山形では山形市内のフォーラムでのみ上映とのこと、調べると16日の19:00から、作品の解説を山大の藤野祐一先生がしてくださり、その後学生さん達がミニ演奏会をして上映すると言う企画が目に飛び込んできた。
これを見逃す手はない。

ついでと言っては失礼だが、山響のHPも開いてみる。
げげっ!!
何と16と17日の二日間197回定期がテルサで…

土曜の夕方早めに山形に向かい、テルサの事務所で17日のチケットを確保(汗)
その後フォーラムで映画鑑賞、去年の3月に酒フィルが希望ホールで演奏した時の感動が蘇ってきた。

映画と言ってもステージでの演奏を撮影したものではなく、当時のパリの街の古い映像をシンクロさせ、各幕の背景をリアルに再現した実写版で、特に第2幕と3幕は、実に見事な映像で見応えがあった。



で、翌日の山響定期…
会場にはNHKのカメラが四台が据えられ何か異様な雰囲気、録音用のマイクもステージに乱立している。


開演前の会場の様子

この日の演奏は、5/31に教育テレビのオーケストラの森で全国放映されると音楽監督から説明があった。またプログラムは、毎年オペラシティーで行われる「さくらんぼコンサート」と同じもので、いつものことではあるが客演が多く大編成(とは言っても山響ですから…)、飛び込み観客の私には、冒頭のラベル以外聴いたことのない曲ばかり…
少々不安もあったが演奏が始まった。

1曲目のラベルの作品はとても有名なもの、作曲者本人の自己評価は悪いそうだが名曲である。
冒頭のホルンソロは、最近首席奏者となられた八木さんの素晴らしい演奏だった。
今日の配置はいつもの対向配置と違いオーソドックスなもの、これは指揮者が弦楽器の曲に対する特性を考えてのことだろう。コンマスの高木さんが上手く引っ張っていた。

ヴァイオリン独奏の滝さんの演奏は2007年3月に酒田の希望ホールでお聴きしたことがある。とてもお若い方で確か未だ留学中と記憶しているが、小柄な体が大きく見える実に堂々とした熱演であった。

ラロのスペイン交響曲はサラサーテに献呈されたとても有名な曲であるらしいが、恥ずかしながら初めて聴く。全五楽章は聴き応え十分で超絶技巧の連続である。交響曲と名付けられているが、実際には協奏曲なのだろう。終曲後の余韻がフライングの拍手もなく実に素敵であった。

休憩後にメインのカリンニコフ、この曲はプロの団員さん達も聴いたことがないと言うほど珍しい曲で、演奏される機会も非常に少ないとのこと。
カリンニコフはわずか35年で夭折、生涯2曲の交響曲を残したが生前その演奏を聴くことは無かったという。交響曲1番は以前山響定期でも演奏されたそうだ。

事前の飯森さんの説明では、非常に奇麗で印象に残るメロディーラインが特徴で、チャイコフスキーにもその才能を認められた非常に優秀な作曲家だったと言う。
なお、演奏はすでに前日に録音され、CD発売される予定とのこと。
演奏が始まるとすぐにビビッ!と何かが走る。

第一楽章の主題は弦楽器全体のユニゾンで、それから徐々に発展していく。
第二楽章の演奏が始まるとステージの雰囲気と言うか、明るさがぱっと開けた感じ、非常に奇麗で透明感のある音に正直びっくりする。

斎藤さんのイングリッシュホルンのソロが素晴らしく流麗に流れていく。
もうこの辺から夢心地で完璧に曲に没頭する。
この日の弦は実に素晴らしく、これぞ山響なり…
スンゴイ集中力を感じた。

少し前にとあるオケ(プロです)の演奏を聴く機会があった。演奏中に無意識のうちに山響の音と比較している自分に気付き一人苦笑した。
そのオケの演奏は、文句の付けようの無い程完璧なものであったのだが、僭越ながら私の心の中のある一部を刺激する何かが足りないように感じていて、フラストレーションに似た感情を持ったことを憶えている。

私のような素人が聴き比べなど出来る筈もないが、山響への身びいきを十分承知の上で申し上げるが、この日の演奏を聴いてはたと気付いたのは、気合いの違いだ!!
でも、気合いという表現しかできないもどかしさがある。
モチベーションはもちろん大事だが、それとも少し違う感じ…
送り手と受け手双方が共有するいわゆる「気合い」なのだf(^^;) 。

初めて聴く曲を予習することなくいきなり会場で聴くことは、一生懸命練習に励まれた団員さん達に申し訳ないと個人的に思っている。それでもそんな素人にも十分伝わる感動は、言葉に出来ない伝達波のの存在を証明するには十分だと思う。

交流会でMCを努めるS竹嬢も申しておりましたが、非常にクオリティーの高い演奏でした。
次回、花の東京(古いなぁ)で、6/20に行われる公演の成功を確信させるスゴイ演奏でした。


終演後の何回かのカーテンコールで、突然コンマスの高木さんが拍手を手で制し、ハッピーバースデーの独演、その後オケ全体と観客の手拍子で演奏が続いた。
この日は飯森さんの46回目の誕生日とのこと。団員からの予期せぬプレゼントに飯森さんとても嬉しそうでした。


交流会でもサプライズが…
飯森さんのインタビューが終わる頃、コンマスの高木さんと、この日のソリストの滝さんが楽器を持って登場、高木さんの即興的熱唱と二人のヴァイオリン演奏は、またもやハッピーバースデーをアレンジしたもの…
最後はその場に居合わせた観客も含め、全員で歌いマエストロを祝福しました。

これはタイトな練習スケジュールの合間に密かに相談し急遽決めたとのこと、これには飯森さん始め集まったファン達もびっくり仰天、ロウソクが立ったケーキまで準備されイヤハヤ何とも…(笑)
テレビカメラが入っているからか、スタッフの皆さんずいぶん張りきりましたねぇ(笑)

その後CDにサインをいただき大満足で帰路につきました。

   
Happy birthday maestro


交流会での様子