【山形交響楽団 特別演奏会 「第九」演奏会】

西村 朗: ベートーヴェンの8つの交響曲による小交響曲

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ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付」

《アンコール》
4楽章から全員で「歓喜に寄す」抜粋
2008.12.25(木) 山形県民会館

指揮:飯森典親
ソプラノ:安藤赴美子
アルト:三輪陽子
テノール:青柳素晴
バリトン:青山 貴
合唱:山響「第九」合唱団
合唱指揮:渡辺修身
コンサートミストレス:犬伏亜里


クリスマスと言うのに県都には雪が全然ない。時間が少しあったので久々に蔵王温泉まで足を伸ばしたら、上は吹雪だったのでさっさと退散し、庄司屋で年越しそばをゆっくりいただき、県民会館へ移動する。入口の喫茶コーナーで2vln首席のヤンネさんがコーヒーを飲んでくつろいでいた。

県民会館に入るのは何年振りだろうか。席は真ん中あたり、座席の前後の間隔が小さく膝が前の席につっかえ窮屈だ。メタボ対策を痛感…
ステージの幅は他と変わらないのだろうが、上の反響版が思いの外に低く、ステージが横長に感じて、オケが日劇ダンシングチーム(古いなぁ〜)みたいだ(笑)

恒例の指揮者によるプレトークが始まる。
1曲目の西村朗氏の作品は、初演の時も今回と同じ第九の前に演奏されたそうで、ベートーベンの交響曲1番から8番までの中から、西村氏の解釈で抽出された旋律をデフォルメ、編曲したものだそうで、パロディー的な意味合いもある第九の序曲的作品とのこと…
全11分位の演奏時間だが4楽章の構成からなる。

尚、西村氏は来シーズンより、山響のコンポーザーインレジデンスに就任なされる。


メインの第九は、ベートーベンの作曲当時の心情を飯森氏なりの解釈で表現し演奏するとのこと。
要約すると、第1楽章は確執、第2楽章が戦い、第3楽章が死、ラストの第4楽章がそれら全部を否定した生への賛歌となる。

この作品はベートーベンの聴力がほとんど失われた時期に仕上げられたらしく、ピアノやオケの載ったステージを囓ることにより、歯から頭骨に響く振動で聴覚を補いながら作曲したとの記録もあるそうだ。まさに執念で作曲された代表作であろう。
今回はベーレンライター版でとのこと。

編成はさすがにいつもより大きく客演がかなり…
山形Qの「だちゅさん」が1vlnの最後列に、ヴィオラのトップは先日の酒田公演と同じ倉田さんだ。

私はベートーベンの全交響曲に精通している者ではないのでよく判らなかったが、確かに有名な旋律があちこちに聞こえた。が、すぐに1曲目の演奏は終わってしまった。聴く方にしてみると何かフラストレーションが溜まるが、奏者は大変そうだった。
休憩中に先日発売されたモーツァルト定期のCDを買う。

恥ずかしながら第九の生演奏は初めて聴く。
1及び2楽章はウンウンと納得しながら聴くが、3楽章の出だしの音から心の中の何かが弾けてしまい、背中がゾクゾクした。以後は涙を抑えるのに苦労する(笑)
3楽章終了と共に、飯森氏がわざわざ指揮台を降りて合唱団の入場を見守る姿が素敵だった。

4楽章が始まってから終演までは完全に夢の中…
CDでも合唱が始まるといつもウルウルするのだが、大人数の迫力溢れる合唱は、さすがにスンゴイ…
ソリストの方達も実に伸びやかに唄い上げてくださりブラボーでした。
やっぱり第九は、来る年が明るく伸びやかで希望に満ちた年になることを、多くの人達が祈る年末にやるのが一番似合うなと改めて感じた演奏会でした。

終演後の何度かのカーテンコールの合間に飯森氏が、ブログの約束通りモンテディオ山形のユニフォーム姿に早変わり(笑)
応援団旗を抱えるサポーターを従えアンコールに「歓喜の歌」を全員で合唱・指揮…

ユニフォームがこんなに似合う指揮者は、世界中探したってそうそういないなぁ〜(笑)

さすがのマエストロである。