【第58回明治ホールコンサート
             福田進一&藤井眞吾ギターコンサート】

                       庄内国際ギターフェスティバル プレコンサートvol-3

デュオ》
・F.ソル:ディヴェルディメント

《藤井眞吾ソロ》
・N.コスト:アンダンテ op.39
・宮城道雄/藤井眞吾編:春の海
・武満徹編曲:オーバー・ザ・レインボー、イエスタディ、シークレット・ラブ
・J.K.メルツ:序奏と華麗なロンド op.11

《福田進一ソロ》
・A.ディアペリ:ソナタ イ長調より メヌエット
・F.ソル:モーツァルト「魔笛」の主題による変奏曲 op.9
・F.タレガ:アルハンブラの思い出
・I.アルベニス:セビリア
・池辺晋一郎:映画「スパイ・ゾルゲ」よりカーチャのテーマ
・禁じられた遊び

《デュオ》
・藤井眞吾:ラプソディー・ジャパン〜日本のメロディー(初演)

《アンコール》
・ブローウェル編:フール・オン・ザ・ヒル
・ラプソディー・ジャパン〜の抜粋曲「ずいずいずっころばし

2008.06.04(水) 

東田川文化記念館 明治ホール

ギター:福田進一
     藤井眞吾



庄内ギターフェスティバルのプレコンサートは今回で三回目、場所は旧藤島町にある明治ホール、私は初めて入る。旧東田川郡会議事堂(県指定有形文化財)で二階部分が通称「明治ホール」として数々のイベントに利用されているらしい。
今回は藤井眞吾氏をゲストに迎えそれぞれソロとデュエットの演奏を破格のお値段(千円)で楽しませていただいた。
フェスティバル本番までもう二ヶ月と少し、お二人が次に庄内入りする時は本番だ。

藤井氏は福田さんが18歳の時に初めて二重奏したお相手だそうで、もっとも古い友人のお一人とのこと、最近は作曲活動も旺盛で今回のラスト演目のラプソディー・ジャパンはフェスティバルのために書かれたそうで、今回福田さんと共に初演された。

藤井氏の選曲は今回日本の作品が多く、宮城道雄や武満徹の作品はクラシックギターでの生演奏はある意味意表をつく新鮮さがあった。
氏の演奏を初めて聴いたが、ハーモニクスが印象的で、作曲や編曲にも多用し藤井氏の好みの奏法との印象を受けた。

続いて福田氏のソロ、今回の選曲は非常に有名な曲をある意味意識しての演奏だったのだろうが・・・
本人弁、映画音楽特集・・・

私は福田氏のギターの音色に惚れ込んでハマってしまった一人だ。有名な曲だから他の人の演奏もメディア等も含めていろんな場所で聴く機会もある。が・・・
今回の演奏は完全に別次元の音色、目を閉じて一つ一つの音に耳を傾けていると、いつものことではあるが涙がとめどなくあふれてきた。

琴線を優しくつま弾くような優しい演奏は、別な見方をすれば福田氏の発する言語でもあろう。
改めて考えてみると、聴き慣れた「禁じられた遊び」の生演奏を初めて聴いた気がする。使用楽器の特性もあるのだろうが、音が明確に情景を描写し完璧に福田氏の術中に填る。

音質ばかりでなく、つま弾かれる音の一つ一つが、明確な意志を込められて放出されるイメージ・・・
何度聴いても福田氏の演奏は、深い感動と音楽への真摯な礼節を感じる。


演奏会自体は、決してマナーが良いとはお世辞にも言えない田舎丸出しの様相・・・

一番良いフレーズでの意図的とも思える落下物の雑音、それも一度や二度ではない・・・

私の前のご老人は音楽を聴きに来たのではなく、まるで見せ物小屋で客間から覗き見するかのような甚だしい上半身の揺さぶり・・・
私は彼の波乱の人生を象徴するかのように寂しい毛髪が漂う頭頂部を、履いていたスリッパで叩こうと本気で思った(苦笑)

その他雑音の嵐々・・・

さすがの福田氏も眉をひそめる一幕もあった(苦々笑)・・・

それでもそこには現代のストレス社会に疲れた身を癒すには十分余りある、人類が全宇宙に誇れる音楽の喜びに満ち溢れた空間が確実に存在するのです。


フェスティバル本番は実に素晴らしいプログラムが聴けそうで、福田氏のお話を聞くだけで身震いした。
8/26(火)〜31(日)まで、実に多彩な演奏会が目白押し、全てのコンサート通しチケットは1万円と超お得(笑)

中でも目玉はなんと言っても28日(木)の、飯森範親音楽監督率いる山響との夢の共演・・・(多分山響は響ホール初見参)

滅多に聴けない非常に凝ったプログラムを用意している模様・・・
チケット発売は6/29開始の予定・・・

もし拙文をご笑覧のお方で、興味がございましたら絶対お薦めです。

世界に誇れるギターフェスティバルをどうぞお見逃しなく。