飯森&山響 モーツァルトシンフォニーサイクル
   「アマデウスへの旅」 第1年
   交響曲全曲演奏 定期演奏会 Vol.3

交響曲第5番変ロ長調 K.22
交響曲第26番変ホ長調 K.184
ファゴット協奏曲変ロ長調 K.191

  ---- 休 憩 ---

交響曲第29番イ長調 K.201

2008.02.09(日) 山形テルサホール

指 揮:飯森範親
ファゴット:高橋あけみ
コンサートマスター:高木和弘


今シーズン最後のモーツァルト定期、5時からの座席引換に並んで二階席の最前列をゲット、テルサの二階席は初めて。
入場時に、先日発売になった山響オリジナルCDの、ブルックナー/交響曲第4番「ロマンティック」を買おうと思ったのですが、受付の人手が足りないので休憩時に買ってくださいとのことでした。

開演前に山形交響楽協会の三宅理事長と飯森音楽監督に、山形北ロータリー・クラブから古楽器購入のための支援金の贈呈式がありました。引き続いての恒例のプレトークではフルートの安達さん、トランペットの井上さん、ホルンの八木さんがそれぞれ二つの楽器を持ち登場、古楽器と現代のものとの違いを実際に音を出して紹介してくださいました。


   
贈呈式の様子   と   飯森氏サイン入りCD


素人耳の私にはオーケストラの中から聴き分けることなど不可能ですが、個別に演奏して頂くとなるほどと納得、貴重な体験をしました。
フルートは木製ですが古楽器ではなく、構造上は金属のものと全く同じだそうで、でも聴き比べると明らかに音が違うんですな。グラナディラ材という材質だそうです。N響主席の神田さんも最近愛用してますね。

ナチュラルホルンとバロックトランペットもバルブやピストンは無く、独特の奏法があり優しく解説してくださいました。おそらく日本のオケでは実際の演奏会で古楽器を使っているのは山響しかないであろうとのことでした。
バロックトランペットは現代のトロンボーンとほぼ同じ管の長さがあり、トロンボーンの高音域を演奏している感じだそうです。ピストンが無い分、管に穴が開いており、指で空気を逃がしながら音程を調整しているんだそうです。
実際かなり難しそうでした。

井上さんと八木さんが古楽器で実演されたファンファーレは、現代のものとは少し違いとても柔和な感じがしました。
こういった解説が毎回あることは、私のような音楽素人にとっては大変有意義でありがたいことだとおもいます。
やっぱり音楽は生が一番です。

今回も女性団員はカラフルなドレス姿、コンマスの高木さんが登場すると拍手が大きくなります。2ndの主席は客演のヤンネ舘野氏、ドイツスタイルの配置です。会場はほぼ満員、当日券を求める行列が出来ていましたが、チケットは完売で果たして並んでた人の内一体何人入れたのでしょうか?


さて一曲目の交響曲第5番、アマデウスが9歳の時の作曲だそうで、ほんの10分弱の交響曲です。私は初めて聴く曲で実に新鮮でした。
それにしても9歳でとはねぇ・・・
いくら短くとも演奏する側は大変らしく、何度何度もも練習したそうです。
団員曰く、「日本でこれほど練習するオケは無いんじゃないか」(笑)

続いて交響曲26番、クリスチャン・バッハ(大バッハの息子さん)の影響で全3楽章の作品です。イタリア序曲の雰囲気がその頃の特徴とのこと、私は文句なしに好きですね。この曲・・・
ちなみに22番から30番のの9曲は1773〜74年の二年の間に作曲されたそうです。

前半最後にファゴット協奏曲、山響団員の高橋あけみさんが盛大な拍手に迎えられ、すみれ色のドレスで登場、髪型がいつもと違ってふっくらしています。
ファゴットは木管の中でも低いパートの楽器で、オケの中では聴き取りにくい音のように言われていますが、私はどちらかと言えばオーボエよりも音色的には好きな楽器です。
カデンツァではサキソフォンのような音色で驚きました。
素晴らしい演奏でカーテンコールの拍手がやまず、何度もステージを往復しておられました。

休憩後に本日のメインである交響曲第29番、この頃の作品はハイドンの影響で4楽章の形式が多くなります。
この頃にウィーン旅行をしイタリア序曲スタイルから脱皮した頃の作品だそうで、アマデウスは晩年(30歳以降)ワインを相当飲んだらしく、良く目にする肖像画とは比較にならないほど酒太りしていたらしいです。
29番は後期の作品群の中であまり目立たない作品ですが(私も初めて聴きました)初期、中期の作品とは明らかに作曲意図が異なるのは良く理解できました。
25番のようなインパクトはありませんが、良い曲だと思います。

終演後には恒例のホワイエで交流会、飯森さんとファゴット独奏の高橋さんがマイクを持ってインタビューに答えてました。高橋さんのお話を聞いていて、とてもしっかりした信念を持っている方だというのが良くわかりました。さすがに魔法のストラップの話には苦笑しましたが、団員の隠れた一面を垣間見させて頂き楽しかったです。
今後も団員の中からの独奏演奏があるとのこと、とても楽しみです。


   
インタビューに答える飯森氏と高橋あけみさん


休憩時に買ったブルー4のCDに、帰り際、飯森さんから直接サインをして頂きました。その後わざわざ立ち上がって握手して頂き恐縮しました。
いつの間に降ったのか外は雪で真っ白、次シーズンの演奏を心待ちにして会場を後にしました。
次に会えるのは春の希望ホールかな?(ラフマニノフ楽しみです)