【山形交響楽団 庄内定期演奏会 第6回酒田公演】

エルガー:セレナード ホ短調作品20
黛 敏郎:シロフォンのためのコンチェルティーノ
《アンコール マリンバソロ》
エンリコ・モルコーニ:ラ・カリファ
-----(休憩)-----
ショスタコーヴィチ:バレエ組曲第1番
ショスタコーヴィチ:交響曲第9番変ホ長調作品70

2007.12.16(日) 希望ホール

指揮:藤岡幸夫
マリンバ:三村奈々恵
コンサートミストレス:犬伏亜里


今年最後の酒田定期、指揮者の藤岡氏は山響音楽監督の飯森氏と親友で「サッチー」、「ノリチカ」と呼び合う仲だそうだ。
今回のプログラムは米沢と県民会館でも演奏されておりこの日が最終日、二階席に陣取る。観客は2/3程か?

山響の演奏会では恒例となった指揮者のプレトークでは、ホールとオケをべた褒めであった。多少のリップサービスを含むと思われるが聞いていて悪い気はしない。
今回のコンミスは亜里さん、特別主席コンマスの高木さんの奥様が1stvlnに客演していたことを後で知る。二階席から奏者の顔はよく見えないのだ。

1曲目のエルガーは弦だけの編成、エルガーが結婚前の奥様に送った曲だそうだ。
それにしても山響は素晴らしい仕上がりで希望ホールにやって来た。冒頭の美しい弦楽器が放つ音の広がりに自然と涙があふれてくる。昔の山響を知っている人達にとっては驚嘆に値する演奏だ。同行の友人も目を白黒させている。

2曲目の黛敏郎の作品ではマリンバの三村奈々恵さんが颯爽と登場、とても目鼻立ちのすっきりした美女である。中央に据えられたマリンバはよく見ると案外大きいものだった。作品は初めて聴いたのだが、日本的要素も多く楽しい曲だった。オケとの息もぴったりと合い良い演奏だった。
終演後鳴りやまない拍手にアンコールを一曲、

マリンバという楽器のソロを生で初めて聴いたが、彼女の演奏や音楽性もあるのだろうが、ホールに響くその独特の音は、とても一台の楽器で演奏されていることが信じられないほどの音の広がりであった。私は鳥肌が立ち涙がこみ上げウルウルしながら聴いていた。当然盛大なカーテンコールが巻き起こり何度もステージを往復。

尚、終演後の交流会で、来年の5月に隣町の響ホールで彼女の演奏会が決定してると発表された。これには何をさておいても駆けつけねば・・・


休憩後に本日のメイン、ショスタコーヴィチの曲を2曲、これは指揮者の藤岡氏の希望による選曲だそうだ。
これらの曲は恥ずかしながら初めて聴くもの、ショスタコーヴィチは第2次大戦後のソビエト連邦で政治的弾圧と闘いながら音楽活動を行ったという。今回の9番などは彼が命がけで作曲し当時の共産党幹部の前で初演したという作品である。

藤岡氏は山響メンバーに、客席にスターリンがいると思って演奏してくださいと指示したそうです。もちろん私は初めて聴く。

解説にもあったが、当時スターリンを筆頭としたソビエト共産党幹部連は、ベートーベンの9番のような壮大な曲をイメージして演奏会に望んだらしい。
が、ショスタコーヴィチは20分そこそこの短い交響曲に、当時の体制に思いっきりの皮肉を込め、命がけで初演した。
当然の如く当時の共産党の機関誌には酷評で賑わったと言う。

演奏を聴いていて正直、美しい響きの曲とは到底思えなかった。
この曲を理解するには作曲当時の時代背景や作曲者の思想、その他諸々を勉強しないと難しいのかも知れない。