【天満敦子コンサート】

ロンドンデリーの歌:アイルランド民謡/和田薫編
グリーンスリーヴズ:イギリス民謡/和田薫編
ニグン(バール・シェム組曲より):ブロッホ
ホーム・スウィート・ホームの主題による変奏曲:ファーマー
ハンガリー舞曲 第1番 ト短調:ブラームス/ヨアヒム編
ツィゴイネルワイゼン:サラサーテ
------- 休  憩 -------
ヴァイオリンソナタ 第3番 ニ短調:ブラームス
スケルツォ(「F.A.Eソナタ」第3楽章):ブラームス
望郷のバラード:ポルムベスク
2007.12.12(水) 希望ホール

ヴァイオリン:天満敦子
ピアノ:吉武雅



いつもの如く何の予備知識もなく発作的に会場に足を運ぶ。
希望ホールの二階席最前列で初めて聴く。
このホールは上の席の方が音がいい気がする。バルコニー席もいい。

天満敦子氏は1955年生まれ、現在東邦音楽大学大学院教授の肩書きがある。使用のヴァイオリンはアントニオ・ストラディヴァリウス晩年の名作。弓は伝説の巨匠ウージェーヌ・イザイ遺愛の名弓とのこと。
望郷のバラードは彼女の代名詞的作品とのことであり、この日もプログラムの最後に演奏された。この作品が縁で毎年ルーマニアを訪れているそうだが、体制の崩壊から復興していく街並みが、最近特にきれいになってきたと話されていた。


前半は有名な曲が続く。1,2曲目はソロで、3曲目からピアノ伴奏者の吉武さんが入った。もう二十年来の伴奏者と言うから息はぴったりだ。

演奏はとても女性的であたたかなものであった。希望ホールは個人的にドライな響きのホールと思っていたのだが、非常に量感豊かなあたたかい響きに聞こえたのには、何というか思いがけない新鮮な驚きであった。

彼女の弁によれば山形の酒田、鶴岡共に何度も演奏に訪れたそうで、近年ここで演奏した際に、ホールの響きに魅了され是非もう一度と思っていたとのことである。
誰かが言っていたが、生演奏ではホール自体も楽器の一つであり、素晴らしい響きを持つホールでは演奏者の乗りも全然違うらしい。

前半終了時には一度引っ込んでからマイクを手にステージに現れ挨拶、なかなか雄弁な方のようで楽しかった。

後半のブラームスは彼女の本領発揮、素晴らしい叙情的な演奏であった。
ソロの演奏では、時に音の強さが前面に出てしまうこともあるが、何とも言えない優しい音が心地よかった。
聴衆の盛大なカーテンコールに2曲のアンコール、愛の賛歌ともう一曲は???
それでも鳴りやまない拍手に最後は両手を大きく降ってステージを去っていった。