【響おしゃべりクラシックVol-4 
     The Bass Gang(オクトバス4)〜コントラバスはうたう〜】


 2007.11.01(木) 響ホール
 


 Contrabasses:アントニオ・シアンカレポーレ
          アメリゴ・ベルナルディ
          アンドレア・ピーギ
          アルベルト・ボチーニ




オーケストラにおけるコントラバスは縁の下の力持ちと良く表現される。と言うよりも、ある意味オケではヴァイオリンと相対を成す主要パートだと思う。
高音域の華やかさはないが、魂の奥底に響く迫力ある音に親しみを持つ聴衆は少なくない筈だ。有名なブラームスの3番では印象深いピチカートが聴ける。

コンサートの本番前のステージでは、楽器の大きさゆえもあるのだろうが、奏者の方が一人真剣に音を確認している光景を良く目にする。
個人的には大好きな楽器で、ジャズのセッションでもウッドベースの音が特に好きだ。大御所ロン・カーターのソロCDも棚の片隅にあったような気がする。

今回のステージは、イタリアからコントラバスだけの4人編成というちょっと変わった演奏会である。街角でポスターを目にした瞬間に聴きたいと思った。が、会場は贔屓目に見ても2/3も入っているかと言った感じ、メンバーはこの日羽田に着き庄内入り、手違いで衣装が届いておらずメンバー全員が私服にグループのロゴが入った赤のTシャツを着てステージに登場するも・・・。

演奏曲目は事前に用意されて無く、パンフレットには多くのレパートリーが記されている。つまりその日その時の気分でチョイスして演奏するというスタイルのようだ。メンバーの一人が英語で(私は半分も理解できなかったが)ジョークを交えて解説してくれた。当初はコミックバンドかと思ったが、演奏が始まった途端「ウ〜ム」と唸る。

はっきり言って何の予備知識も持たず会場に入ったのだが、音楽性の高さは半端じゃない。それもその筈、メンバー全員ヨーロッパの名門オケの主席奏者クラスの実力者なのだそうだ。曲目も実に多彩で、クラシック、ジャズ、ラテン、ロック、日本の童謡や誰でも知っている歌謡曲(マツケンサンバには笑ったが)など、実にバラエティーに富んでいた。

面白かったのは、普通ジャズのセッションでは奏者はスコアなんてあまり見ないのだが、演奏が始まるや彼らの視線は全てスコアに集中していた点である。陽気なイタリア人の笑顔も演奏中はガラリと表情が変わる点はさすがにプロだなと思った。
おしゃべりクラシックシリーズは、今までクラシック音楽にあまりなじみの無かった人達に門戸を広げる意味合いが強いものであり、今回の選曲のように、誰でも何処かで耳にしたことのあるメロディーを選曲するのはある意味当然なのだろう。
また、コントラバスという楽器の音色を理解する上でも有意義な企画であったと思う。
それにしてもこれだけの実力者が揃っているのに、もっとどっしりと構えた演奏があっても良いような気がしたのは贅沢というものか。
いやいや、決して軽薄な演奏だったと言っている訳ではないですよ。f(^^;)