【山形交響楽団 庄内定期演奏会 第4回酒田公演】

アクシオーチス 黄昏
シベリウス ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47

  ---- 休 憩 ---

チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調作品36
2007.03.25(日) 酒田市民会館「希望ホール」
指 揮:バイロン・フィデチス
ヴァイオリン:滝 千春
コンサートマスター:執行恒宏


およそ二月振りの山響公演は酒田の希望ホールで、
指揮者のバイロン・フィデチス氏は遠路遥々ギリシャからおいで下さった。公演前のプレトークでは通訳の方を通して、1曲目のギリシャの作曲者であるアクシオーチスの解説を丁寧にお話された。その真摯な話し方に好感を持った聴衆も多いと思う。

アクシオーチスは1875年にロシアで生まれ育ち、後に両親の故郷であるギリシャに両親と共に戻る。ナポリのサンピエトロ音楽院で学び、時は19世紀の末期でプッチーニ等の影響を受ける。学後ギリシャに戻り、ミコノス島で生活されたそうである。
1920年頃狂犬病が元で亡くなり、没後作品が紹介され始め、ギリシャの民族音楽的要素が強い作曲家とのこと。

「黄昏」はエーゲ海の島々に太陽が沈んでいく様子を現した作品で、今日選曲したのは、ある日本人画家の作品からのインスピレーションによるものらしい。

この日のコンマスは執行さん、私を含めてこの曲を聴く人のほとんどが初めてと思われた。
演奏時間は短かったが、非常に美しい曲で、エーゲ海の夕日風景を上手く表現しておりとても楽しめた。


二曲目はシベリウスの名曲、ヴァイオリニストの滝千春さんが万雷の拍手の中登場、1987年生まれと言うから現在二十歳か?現在海外留学中でチューリッヒ音楽大学に学んでいるとのこと。
まだ幼さが残る容姿からは想像も出来ないパワフルな演奏を楽しませていただいた。

出だしは最弱音の弦楽器から、こんなきれいな弱音を聴いたのは渋谷のNHKホールでの「人魚姫」以来か?
改めて希望ホールの響きの良さに驚いた。前日の県民会館では???だったはず・・・
多分、オケとの音合わせは短期間で十分できなかったと思うのだが、そんなことは微塵も感じさせない素晴らしい演奏であった。滝さんのソロも十分聴き応えがあり素晴らしい演奏だった。今後の活躍がとても楽しみな若手だと思う。
シベリウスは山響とは縁が深く、創立名誉指揮者、村川千秋氏の十八番である。滝さんの独奏は素晴らしい音の広がりで、ヴァイオリンがむせび泣くようであった。

ギリシャはとても貧しい国だとフィデチス氏は仰っておられたが、県都からの移動はタクシーだった様子、東京のような都会と比べれば山形は田舎である。飛行機や電車と違い車窓の景色を十分堪能され、豊かな自然に心癒されたとのこと、希望ホールの響きも非常に気に入ったらしく、お褒めの言葉も頂いた。


休憩後本日のメイン、チャイコフスキーの4番、正直に申し上げれば音楽素人の私はあまり真面目に聴いたことがない作品だ。
本当は事前に少し勉強したかったのだが、年度末の多忙に追われ時間の余裕が無かったのが残念であった。
が、演奏が始まると同時に、チャイコフスキー独特の不思議な世界に引き込まれて行ったのは言うまでもない。

初めは抵抗してその世界に入るのを躊躇っていたのだが、段々頭の中が真っ白になり、音の魔力に引きつけられ、目を閉じて何というか無我の境地・・・
気が付いたら終曲と同時にブラボーと叫んでいた。
聴衆のカーテンコールは暫く鳴りやまず、何回もフィデチス氏が拍手に応えていた。
彼の指揮は、何というか不思議な暖かさを感じさせてくれた。

同じオケでも振る人が違うと、見事なまでに雰囲気が全然違うものである。

次回の山響は、5/11同じ希望ホールで音楽監督の飯森さん指揮の予定。