【バレンタインジャズコンサート木住野佳子with白鳥英美子】

2006.02.14(火) 響ホールにて
member : 木住野佳子(P) 鳥越啓介(B) 藤井学(Ds) 竹中俊二(G) 
仙道さおり(Ps) 白鳥英美子(Vo)


久々の響ホールでのジャズライブ、先日の山響の強烈な余韻がまだ残っていてボサノバ調の温和しすぎる前半の演奏にはなかなか気持ちが乗っていかなかった。
近年ジャズにはとんとご無沙汰しており、予備知識ゼロで公演に望んだ。
最近のジャズピアニストは小曽根真さんにしてもクラッシックとの融合を図ったり、あまりジャンルにこだわらないというか、「ジャズだそ〜!」と言う頑固なこだわりが希薄になる風潮にあるように感じるのは私だけだろうか。

普段はベースとドラムのトリオでの演奏が多いらしいが、この日はギターとパーカッションが加わり音の幅に広がりを感じた。女性のジャズピアニストは自身あまり聴いたことはないが、ソフトで繊細な感じのオープニングだった。
そしてスタインウェイをこれだけ優雅に鳴らすジャズピアニストに驚嘆した。

この日は2部構成、前半は彼女のオリジナルを中心に、後半は白鳥さんのボーカルが入るとのこと。
私のジャズのイメージはもっとワイルドなもので、はじめ物足りなさを感じていたのだが、だんだんこの人は、たぶんクラッシックもかなりやっていたんだなと思うようになった。後で調べたら桐朋学園大学音楽部の出身で、在学中からあらゆるジャンルのバンド活動をしていたらしい。納得・・・

その後だんだんジャズライブらしくなり、スウィング感あふれる演奏にこちらの気持ちも体も乗ってきた。それにしてもなんという綺麗な音の出るピアニストであろうか、ホールの音が良いのも彼らを乗せているんだろうが、笑顔での演奏が無意識にアドリブを長くしているのだろう。時間がどんどん過ぎていく。
その筋には名が通っているらしいパーカッションの仙道さんが刻むリズムで演奏にすごい幅が出ている。

後半は木住野さんオリジナルの「シエスタ」というボサノバ調の曲に白鳥さんのボーカルで始まった。歌詞が日本語というのも木住野さんのこだわりらしい。
白鳥さんの天使のように透明な声がホールに響く。有名な「アメージング・グレース」はアカペラで、これはサービスか? 二人の絶妙の掛け合いで会場を沸かせ、「雪の降る街を」では不安の中、会場全員で唱和、これがジャズライブかなと、でもこれも愛嬌、圧巻はトリノオリンピックの最中と言うことで、大昔の「虹と雪のバラード」には苦笑した。

それからピアノトリオでの演奏には、う〜んと唸るものがあった。この辺がこの人の真骨頂だろう。自身ライブの方が絶対楽しいと言っておられた。
アンコールに白鳥さんをもう一度迎えスタンダードの「マイ・ファニー・バレンタイン」で終了、とても楽しい夜であった。