【天狗小屋で小休息】


朝日で朝日が昇る

【日 程】2012年9月8〜9日(土日)
【山 域】朝日連峰
【山 名】天狗角力取山(1376m)
【天 候】晴れ
【メンバ】2人
【コース】バカ平から天狗小屋往復
(概 略)


9/8バカ平(9:50)---(11:48)焼峰分岐---(14:58)粟畑---(15:20)天狗小屋
9/9天狗小屋(9:40)---(14:00)バカ平




九月というのに異常な暑さが続いており下界は灼熱地獄だ。
田んぼの稲や畑の野菜も乾いて辛そうだが人間もとても辛いのだ。こんな時は山にでも入って涼もうと久々に天狗小屋に向かった。

龍門への登りに比べたら楽だろうという安易な気持ちがあったわけではないが、相方が行きたいというので同行した。でもよく考えてみたらバカ平と粟畑の高度差は900m程、アップダウンは少ないが泊まり装備の山行は、初心者にはちょっと厳しいかなと思ったのは出発してから大分過ぎてから、いい加減な言動は相変わらずだ…(汗)

駐車場では日差しが強く閉口したが、バカ平の樹林帯は高い梢が日差しを遮ってくれて助かる。ふと変な気配を感じて視線を上げると傍らでヤマカカシが鎌首を擡げて先が二股に割れた赤い舌を出して威嚇している。気味が悪いのでさっさと通り過ぎた。
今年から天狗小屋の管理人がY田さんからI川さんに変わったそうで、陣中見舞いも兼ねての山行、液体だけは多めに持ったつもりであったが、すごい人は世の中にいっぱいいることを改めて思ったのは後ほど…

時折そよぐ涼風に助けられながらチマチマと高度を稼ぐ、途中何組かに道を譲りながら水場に到着したのはお昼頃、ここで昼食休憩する。小沢を流れる水量が極端に少なくこの年の日照りを実感する。それでも冷たい水は美味しく生き返る感じだ。風が全然吹かないので虫がうるさく落ち着いて休めないのでそそくさと出発し登り返しに向かう。
ジグザグに切られた登山道は良く整備され不安無く歩けたが、風がない分汗が乾かず熱気が内にこもり汗が止めどなく流れる。最後の水場に辿り着いた頃にはヘロヘロ状態であった。

十分な休憩を取り水を補給し出発、稜線への急登に再度汗を絞られながら歩く様を天狗様はニタニタと笑っていたに違いない。苦労が多かった分、展望に恵まれた稜線に到達できた喜びは大きい。頑張った相棒を称えるも疲れの方が勝っている様子なので大休止とする。
無線からは稜線の管理人さん達の懐かしくも賑やかな交信が届き、ああ、朝日に帰って来たなと実感する。この場所は風も通り涼やかで気持ちが良く、また稜線の展望も得られなかなか腰が上がらない。それでも歩かないことには今宵の宿まで到達できないので、もう急登は最後の1箇所だけとなだめて出発する。

雨量ロボットまではそれほどきつくないと思っていたが、なかなかどうして…
初心者にとって先が見えない分、頼りにならないいい加減な同行者ではやはり不安が大きかったみたいで、精神的な疲れも重なりなかなか歩が進まない。それでも何とか雨量ロボット前の広場に到着したが、あとどれくらい掛かるのかと言う気持ちの方が強く、カッコイイ障子ヶ岳も目に入らぬ様子、適当な時間を言ったら目の色が変わった。


  
格好良い障子ヶ岳

粟畑への石畳の階段をゆっくり登っていたら後続が見えた。いくら疲れていても後続があるというのは不思議な安心感がある。でも抜かれてたまるかという競争心も芽生えるようだ。
粟畑のピークで小休止しようと思ったが、目前の天狗小屋では外のベンチで宴会している様子が確認できた。こうなってはたまらない、冷たい朝日ビールが目の前にぶら下がっているようなもの、先を争って邁進する。天狗の相撲取り場にも寄り道したが相方にとっては興味ない様子なので小屋へすぐに下る。

ほんの少しの下りなのだが蓄積された疲労がピークのようで辛そうだ。あとほんの少しと励ましながらゆっくり一歩一歩下ると小屋前で宴会の輪にいる管理人のI川さんの姿が見えたので手を振ると「おおお!良く来た」と笑顔と握手で迎えてもらった。
相方を紹介するとよく頑張ったと誉めて頂いた。多分終生忘れられない思い出になるであろう。ホントに良く頑張ったと思う。

    
静かな雰囲気の天狗小屋             と                    天狗の角力取場

この日の天狗小屋は静かなイメージとは違い結構な宿泊者、団体さんが入り二階は大賑わいだ。我らは階段下の特等席に案内され荷を解いて冷たい朝日ビールで乾杯。五臓六腑に染み渡る美味しさだ。後続のペアもすぐに到着した。仙台からと言う二人はテレマーク仲間と言うことだったが、女性のSさんは最近も一人でここに宿泊したらしく、管理人さんと二人深夜まで指しで呑んだと言う強者、この日はそのお礼にと大量の液体をボッカしてきた。荷物は何sあったのだろうか?… すごい。
彼女は北アルプス種池山荘のスタッフでもあるそうだ。

途中我らを軽々と抜き去った二人(CASIOの人らしい)と、仙台からの二人、それに我ら二人に管理人さんで外のベンチで宴会が始まった。途中入れ替わり立ち替わりいろんな人たちが加わったが、良く覚えてない。
相方が下界で下拵えし苦労して背負ってきて作ったパスタがとても美味しいと皆に好評であった。

オラの場合、大量に掻いた汗は冷たいビールで体内に還元する。基本的に山で呑む酒は何でも良いので、誰のものかわからないがガバガバご馳走になり気がついたらとっぷりと日が暮れていた。管理人さんは連日の激務で早々にダウンし管理人室でお休みの様子。では我々もと小屋内に場所を移すと、うれしいことに階下にはローソクとランタンで宴会場のセッティングが整っており、まだ元気な面々は延々と盛り上がる。
その後、毎度のことながら記憶は見事に飛んでしまい気がついたら朝だった。


二日酔いでぼおっとしているうちに、二階の登山者はてきぱきと出発していく。方や我々はそれを見送りながらホゲ〜っとしてまったりする。管理人さんと世間話をしながらまったりする山の朝は、下界で忙しなく迎える朝と違い人間に戻ったような気がした。じゃあ今までの自分は何だったのかと考えたら…
まあ、いっか。

三人で遅い(下界ではそうでもない)ラーメンの朝食を食べ(管理人さんの作るラーメンは一味違う)、コーヒーを飲みながらまったりしていると時間はどんどん過ぎていく。でも焦ることはないのだ。相方がどう思ったか知らないが、これがオラの山の楽しみ方なのだ。山ではゆっくりするのが一番だ。でもある意味かなり特殊な人間でもあることも間違いない。
このままずっとここにいたい誘惑から下山の時間をぎりぎりまで伸ばしても、時は天啓のひらめきのようにやってくる。
さあ、下ろう、そしてまた来よう…

お世話になった皆さんありがとうございました。またいつの日にかここで楽しく再会できる日が来ることを信じております。
いくら蚊に刺されても、山はやっぱり良いなぁ〜…

     
日の出前の竜ヶ岳            と                 無数の蚊にやられた筆者の足