【療養の鷹尾山】


鷹尾山山頂からの鳥海の雄姿

【日 程】2010年03月12(金)
【山 域】弁慶山地
【山 名】鷹尾山(352m)
【天 候】快晴
【メンバ】2人
【コース】大平から山頂往復
(概 略)



快晴の平日の朝、こんな日は仕事をするのがつくづく嫌になる。しかしそんなことも言ってられないので出勤する。
が、なぜか予定していた仕事がドタキャンになり、空っぽの頭の中の血が音を立てて沸騰してきた。オーバーヒートした頭は、しばらく冷ますしかないので、仕事の相棒を無理矢理誘って鷹尾山に行ってみる。
そうです。私は年度末のこのくそ忙しい時期に仕事をサボりました。でも反省なんてしていません。
 だって… 病気なんだから(言い訳)

鷹尾山なんて言っても地元では誰も知らない。もちろん相棒も「何処だ?」と…
酒田カントリークラブと言ったら分かって貰えたが、今の時期ゴルフ場は積雪のためクローズ、大平から延びる道の途中にチェーンが張ってある。自分はゴルフなんてやらない人種なので初めて見る景色だ。
車を適当に置くと長靴に履き替え、防寒着を持ってトボトボと舗装された道を登っていく。日差しが強いのですぐに汗が噴き出し日頃の運動不足を嘆き合う。

30分は登ったろうか(普段は時計を持たないので)巨大な無人のクラブハウスが現れた。と同時に弁慶山地の山並みが蒼く輝きながら目に飛び込んできた。ここには地元民であるが初めて訪れた。弁慶の山並みを眺めるには完璧な展望台だ。中でも去年登った主峰が一際輝いて見えたのは欲目なのだろう。

  
酒田市街 と 弁慶山地の展望

「鷹尾山拂下紀念碑」と刻まれた石碑が入り口に建っている。よく見ると明治四三年三月十五日拂下許可と、それから東平田、中平田、北平田、一條各村長の名前も刻まれている。これの意味することは一目瞭然だが…
左隣には小さな祠があった。軽く手を合わせ残雪に覆われた坂を登って行くと突然目の前に純白の鳥海が現れた。絶景である。しばし二人とも呆然と眺める。(冒頭写真)

   
意味深な石碑  詳細は後で調べてみよう    山頂の三角点

近くに在るはずの三角点を探すと舗装された歩道のすぐ側にポツンと標石が露出していた。角は欠けておりこの山の歴史に思いをはせる。ゴルフ場なので藪はない(当たり前だ)ので残雪の上をずんずん進んで三千坊谷地と思われる場所まで進むが、純白に輝く残雪以外当然何もない。

しかし想像していたよりずっと展望の素晴らしい場所だ。中でも鳥海の展望は、ずば抜けている。そのまま視線を南の方に転ずると、丁と萱森の姿が確認でき、弁慶山地の八森からの稜線伝いには主峰の弁慶山とチンネ、手前には経ヶ蔵の長い尾根と太平山の円錐形の姿、そして憧れの猪ノ鼻岳が俯瞰できる。さらに南にはどっしりとした胎蔵山が実に良い。背後の小桝田山も魅力的だ。傍らの相棒は熱心に展望を説明する私に冷たい視線を投げかけている。まあ彼の気持ちも分からないではないが…

  
三千坊谷地付近からの展望
左は弁慶山方向  右は丁山地の遠望

少しだけ頭の温度も下がったので急いで駆け下り素知らぬ顔で職場に帰った。

不景気の世の中、我々の善行がボスの耳に入らぬ事を切に願う。


※鷹尾山信仰についてまとめた物はこちらから → 「山いびとのもうそう」