【春間近な湯ノ沢岳】


月山をバックに登行するM浦さん  (photo by S藤さん)

【日 程】2009年3月22日(日)
【山 域】摩耶連峰
【山 名】湯ノ沢岳(964m)
【天 候】曇りのち雨
【メンバ】4人(S藤、I井、M浦)
【コース】本郷登山口 → 山頂 → 本郷登山口
(概 略)


本郷登山口(6:32)---(10:00)山頂(10:50)---(13:17)本郷登山口


今期3度目?の庄内隊での山行、当初は湯ノ沢から金峰縦走の予定であったが、雨の予報が早まりピストンとなる。
ちょうど一週間前から風邪気味で内心ホッとする。この日の早朝の気温は低く、路側の温度表示は1℃、登り始めは雪も硬くワカンを背にツボ足で登り始める。三月の湯ノ沢岳は私は初めての経験、ハイキング程度と思って安易に参加したが、S藤さんがニヤニヤ笑いながら先頭をグイグイ引っ張って行く。

暫く登ると楢枯れの被害に腰を抜かす。ほとんど全ての楢の木がボロボロの全滅である。庄内では高舘山もひどいらしく、危ないので行政で切り倒していたニュースをいつだったか見た記憶がある。なんとかならないのかなと思うが、悲しいかな個人の力ではどうにもならない…
そのうち天然マイタケなんて、本当の幻のキノコになってしまうのだろうか(泣)


   
湯ノ沢岳遠景  と  山頂北面


ふうふう言いながら登ると2合目の表示、ずいぶん登ったような気がしてたのだが…
んでも、すぐに3合目の表示が現れる。鳥にでもなったような不思議な気がした。
この辺から立派なブナが現れる。沢を隔てた湯ノ沢本峰から派生する尾根筋は雪崩の巣、時折ガラガラと音を立てて雪と岩が滑り落ちている。登路にはマンサクの黄色い花が見事で心が和む。

休憩地点では真っ白に光り輝く遠方の鋭鋒は何処だろうと議論、視線を転ずると鳥海が親方のようにどっしり構えている。遠くの山並みはなんだろうとまたまた議論…
最近遠望に凝っている病人達は各人勝手なことを言っている。
丁岳、甑山、加無山と県北の特徴ある頂は確認できた。白く連なるのは神室だろう。近くに見える虚空蔵が実に魅力的だ。
それよりも、ここはなんと言っても横長の月山が実にたおやかで良い。
朝の冷たい風は温風に変わった。

それにしても暖冬、稜線の雪も消え夏道を歩く箇所が結構ある。途中のピークで前方を確認すると、痩せ尾根の登路に嫌らしい雪の残り方…
時に谷側にエスケープしてトップのS藤さんがルートを切り開く。根性無しの私は厚顔にも最後尾で楽ちん登行に徹する。
いやはや残雪期のこの山が、こんなに大変な所だったとは考えてもみなかった。先日の弁慶山が楽ちんに思えてくる。


       
登路に嫌らしく残った雪   と   通過風景(photo by M浦さん)


時折吹く風に乗って小雨がパラパラと落ちてきた。ここで合羽の上だけ皆さん羽織るが、それぞれカラフルで個性的な色合いの上着に苦笑する。
鎖場を何とか通過して急峻な雪稜を超えると八合目、この辺から核心部だ。所々クラックでルートが寸断されている。結局大きく谷側に迂回し最後は40°は優に超える斜面を直登する。
こんな所に来るのは病人だけ…」と誰かが自嘲気味にポツリとつぶやく(笑)


   
急登を頑張るI井さん   と   登行ルート(尾根)


急登を終えると9合目、稜線にポンと飛び出す。ここが縦走路の交点で右に行けば母狩山方面、左は湯ノ沢岳山頂、残雪豊富なブナ林を雪庇の踏み抜きに注意しながら一汗、思いの外広い山頂は抜群の展望台、以東岳から続く朝日連峰は手が届くような近さを感じる。一際目立つ鋭峰は大朝日岳、こんなクリアな展望は初めてと皆さん大いに喜ぶ。今冬登った摩耶山がすぐ近くに見える。


   
山頂へもう一頑張り   と   母狩山と我らが鳥海


M浦さんに雨告山の位置を教えて貰うと何故かメラメラと燃えるものが…(笑)
豪雪で名高い月山も雪の消え際が顕著だ。湯殿山や仙人岳も黒い部分が多い。
今年の春スキーはシーズン短いだろうなぁ〜(笑)
風の当たらない展望の良い場所でゆっくりとランチタイム、携帯が通じたので皆でセカセカとメールを打つ。


   
月山   と   朝日連峰


下りはI井さんがトップでガンガン下る。途中で雨が本降りの様相を呈し雨具を着用する。
雪が腐った痩せ尾根をヒヤヒヤしながら慎重に通過し一安心、振り返ると無雪期とは違う感覚の高度感にびっくりする。S藤さんが、登ったら下りたくない山と言っていた意味をやっと理解する。
さほど雨足が強くならないうちに下山できた。これも皆さんの日頃の善行のおかげ、ここで解散となる。私とI井さんだけ、かたくり温泉で汗を流す。



山頂にて


同行の皆様お世話になりました。晩秋の計画、気が早いですが今から楽しみです。


帰路ふと思い立ち酒屋に寄る。下戸の酒好きとは良く言ったもので、大して呑めないのだが季節限定の地酒(槽前酒)を仕入れる。品質保持の為、気温が高くなる前に売れ残りは全て造り酒屋が引き取るという代物である。(ぎりぎりセーフ)
たいへん口当たりの良いお酒で、ついつい調子に乗ってやりすぎると次の日が超大変…



んでも、♪わかっちゃいるけどやめられない♪
だれかさんやったら、縦走を5時間で完遂なんてとんでもない馬力が付くに違いない、非常にアブナイ液体なのだ。
私の密かなこの時期の楽しみの一つである。

お陰様で次の日の体調は絶好調であったとさ(笑)