【陽春まぶしい 月山森へ】


天主森をバックにご機嫌のS藤さん

【日 程】2009年3月1日(日)
【山 域】鳥海山(三ノ俣コース)
【山 名】月山森(1650m)
【天 候】快晴
【メンバ】5人(S藤、M浦、I井、Uさん)
【コース】さんゆう → 月山森 → 天主森 → さんゆう
(概 略)


さんゆう(7:26)---(9:05)鈴木小屋---(9:32)米沢頭---(9:50)森林限界---(11:38)月山森(12:35)---(13:00)天主森---(13:39)米沢頭---(14:45)さんゆう



M浦さんから月山森へのお誘い、ちょっと早起きして出かける。
オスカーを受賞した映画「おくりびと」、大悟が鳥海をバックにチェロを弾くポスターにも月山森は写っている。
冬期の月山森へは、何度か登ったことはあるが、いつもスキーでの単独山行であった。
今回誰が来るのか現地に着くまで判らなかったが、リーダーのメールにはスノーシュー、アイゼン、必要な人はピッケルとある。かなり迷ったがスキーは持たずに出かけた。考えてみると今シーズンはまだ一度もスキーを履いていないのだ(汗)

現地に着くと三々五々メンバーが集まってきた。みんなよく知っている人ばかりで安心する(人見知りの小心者です)。
朝から抜けるような青空、放射冷却現象により雪面はバリバリに硬く、ツボ足でも全然ぬからないのでワカンをザックにくくりつける。I井さんだけスキーを背負って出発だ。Uさんはまだ来ないが、間違いなく追いつくだろうと言うことで、ほっといて出発する。
ゲレンデを抜けると天主森がオイデオイデと手招きしている。


   
早朝のゲレンデトップ   と   鈴木小屋付近から俯瞰する


夏道より断然快適な雪面にピッチも上がり順調に進む。鈴木小屋付近で休憩していると遙か下にポツンと黒い点が…
間違いなくUさんだろう。ぐずぐずしてると追いつかれるのであたふたと出発する。
前日のトレースの上をツボ足で森林限界まで上がり一服、相変わらずS藤さんの足は速くて付いていくのに大汗を掻く。
ここでアイゼンを装着していると、スキーを履いたUさんが半袖姿で登場、皆開いた口がふさがらなかったわい。(なんというスピードだ!!)

差し入れの栃餅をペロリと平らげると、そのままS藤さんと二人でどんどん先行し見えなくなる。
私より年配の青年達には、先日見た映画「ベンジャミン・バトン」の主人公の姿が重なる…。


   
鳥海と朝日の韋駄天    と    風紋がきれいだ


吸い込まれるような紺碧の空に映える真っ白な雪山の非現実的光景は、山をやる人なら誰もがあこがれる。鳥海は独立峰ゆえ踏み出す一歩毎に景色が変わり、その圧倒的高度感に酔いしれる。
1404mの天主森の頂きが真横に見える頃には、隊列がかなりばらけてしまった。しかしこの日は風も無くとても穏やかなので全然心配ない。各自の感覚で雪山を思いっきり楽しむのだ。


   
庄内平野を俯瞰する    と    氷結した硬い雪面


風の音も聞こえない静かなクラスト斜面には、先行者の歩行で砕けた小さな氷塊が、サラサラと心地よい音を立てながら転がり落ちてくる。
高度が増す毎に雪面の氷化が進みアイゼンが小気味よく効く。考えるまでもなくいまだ厳冬期、いくら暖冬とは言えここは日本海からの冷たい季節風が容赦なく当たる場所なのだ。

山頂直下まで来ると純白の衣をまとった笙ヶ岳が姿を現す。そして鍋森のユーモラスな丸みをおびた姿と、神々の楽園を想起させる千畳ヶ原のコントラストが美しい。何度来てもこの荘厳な景観には心洗われるものがある。
ここから月山森山頂までは距離は短いが完全に氷化した斜面が続く。小雪ゆえか雪面から僅かにのぞく這松の葉が、無機質な氷の中で緑鮮やかに輝いて見える。
山頂では先行していたS藤さんが絶景の中で放心したようにくつろいでいた。


   
白無垢の笙ヶ岳   と   氷の中のハイマツ


ソロバン尾根の辺りは岩が露出している。いつもの年であればどこを見ても真っ白なのだが、これも暖冬の影響なのだろう。
遠くの山並みも奇麗で、少し霞んではいるものの月山や朝日連峰もよく見えた。
東の方には屏風のように神室の峰々がどっしりと並んで見える。遠くは虎毛だろうか。
S藤さんに暖かいスープをご馳走になる。いくら好天でもじっとしていると1650mの高度は、確実に体の芯から温もりを奪い取る。

三々五々到着したメンバーと記念写真を撮り下山開始、Uさんはスキーで颯爽と下る。天主森の頂きでI井さんが待っていたので合流する。S藤さんは楽しくてたまらないのか小犬のように走って下るが、M浦さんに「ゆっくり行ご〜!」と呼び戻された。I井さんも気持ちよさそうにスキーで優雅に下っていく。
それぞれの想いが詰まった雪山…


   
神々しい千畳ヶ原方面    と    月山森山頂にて


森林限界でアイゼンをワカンに履き替える。ゆるんだ雪が柔らかく膝に優しいのが嬉しい。
鈴木小屋では鶴岡の常連スキーパーティーが休憩していた。挨拶し先行する。
山談義賑やかに後ろ髪を引かれながらゆっくり下る。早くも次回の山行案が飛び出す様は、まったく持って困った「やまいびと」なり…

やれやれ、

台地で未練気に振り返ると、また来いよと真っ白な頂が手を振っている。


   
天主森(1404m)を俯瞰する




天主森から仰ぎ見る千畳ヶ原と笙ヶ岳





追伸、

A.TOM隊長殿、鳴瀬川下り楽しめましたか?
今回お誘いしたのに残念でした。
隊長のいない山行はブリザード」の定説は、見事に覆されました(笑)
次回は是非ご一緒しましょう。

それと最近音沙汰ない北上の人へ
皆さん、山を忘れちゃったんじゃないのと心配してましたよ〜(笑)
CQもいいけど、次回は是非ご参加くださいなぁ〜