【奇蹟の摩耶山登行】


気持ちの良いブナ林の登行

【日 程】2009年2月15日(日)
【山 域】摩耶連峰
【山 名】摩耶山(1020m)
【天 候】曇り
【メンバ】5人(S藤、M浦、エンタシス、A.TOM)
【コース】関川登山口 → 山頂 → 関川登山口
(概 略)


関川登山口(6:55)---(11:05)山頂---(11:46)避難小屋(12:10)---(14:01)関川登山口


今年も摩耶山の季節がやってきた。厳冬期に登り初めて今年で3年目、その年ごとの表情にワクワクするとっても楽しいお山参りである。
また、山行に至るまでのメンバー間の心理戦とも言える微妙な駆け引きは、毎年の楽しみだ。(今年は遠路組の作線勝ちだろうか(^_-))

今回は宮城からエンタシスさんとA.TOM隊長が、遠路にもかかわらずご参加いただいた。毎回リーダーをお願いしているS藤さんには、何から何までご配慮いただき冒頭にて感謝申し上げます。

天気予報とにらめっこの日々は、期待と裏腹に淡々と決行予定日の降水確率が高くなっていく。皆さんに「いっぱい呑んで日和上げして!」とメールを送信したが、どこの誰かは申し上げられないが、鶴岡に前泊した若干一名、かなりやばいほどにやりすぎたらしい。(これが奇蹟を呼んだとの声も…)
早朝五時過ぎに外で空を見上げたら、驚いたことに星が煌めいていた。
しめしめ…

集合場所には相変わらずのしんがり到着で恐縮する。すぐに二台に分乗し出発、いつもの年なら雪深いこの地も田んぼが露出している。これだけでも今年の少雪のすさまじさが理解できる。
越沢に曲がるT字路では先頭車が何故か直進、早朝からおおぼけをかましてくれる(笑)。
いつも登るのに苦労する道路脇の雪壁は、小柄な誰かさんでも簡単に越えられた。


   
登山口にて真剣に装備チェック    と    見事なブナ林の中を登行す


新雪ラッセルは望むべくもない。ワカンでも全然沈まない4月の残雪期のような雪面を登り始める。時折パラパラと落ちてくる小雨は風流でかえって気持ちがよい。2月中旬の厳冬期であることが信じられないくらい暖かいのだ。S藤さんもこんな摩耶山は初めてだという。

歩き始めて間もなく、皆さん暑すぎると言って上着や中間着を脱ぐ。晴れ男の奇蹟がちょっと効きすぎの感も否めない。
数日前に歩いたと思われるワカンの跡が残っていて、どこまで続いているか皆興味津々であったが、途中606ピークの辺りで途切れる。

この日はラッセルの必要が無い分、順調に距離を稼ぎ、606ピークまでは特に問題なし、歩き始めに降っていた小雨も上がり、展望も比較的良好でA・TOM隊長とエンタシスさんの面目躍如、晴れ男伝説健在と得意満面の様子、なるほど廻りを見渡すと、ここを中心にコンパスで円を描いたように視界良好である。
こ、これは…
まさしく神通力だぁ〜!!

気分を良くし痩せ尾根へと駆け下るも、ゆるゆるの雪で転倒者続出、賑やかな歓声が林間にこだまする。それにしても2月の厳冬期、いつもの年ならぶ厚い純白の雪で覆われてる景色が、ビ割や雪崩で見るも無惨な姿、雲の上にいるような快適至極の尾根ルートは一部夏道も露出し、ワカンで土の上を歩く始末である。
それでも高度が700mを超えると雪の白さも幾分回復し、見事な枝振りのブナも現れ気分の良い登行となる。


   
今年の避難小屋の様子   と   雪崩とビ割の景観


避難小屋に到着するやいな皆一様に目を丸くする。例年ならば厚く降り積もった雪であらかた隠れているのだが、屋根が完全に露出している。入口付近を少し掘れば容易に中に入れそうな感じだ。
しかしながら幽玄なブナの森は独特かつ不思議な雰囲気で、名手エンタシスさんにとっては魅惑的な光景、あちこちにカメラを向けている。
ここで暫しの休憩を取る。

一登りで展望の良い一本杉の812ピークへ、見上げる山頂方面はいつの間にやら真っ白なガスに覆われている。いつもは雪庇の踏み抜きが怖い尾根筋も難なく通過し、最後の難所であるザンゲ坂の急斜面が現れる。
今年は雪が比較的柔らかく、快適にキックステップが効き登行も容易であった。


   
登行風景


高度が増す毎にガスが濃くなり周りは真っ白、何も見えない。
稜線付近のブナの回廊は、梢から落ちた無数の霧氷片が敷き詰められ、まるで羽毛の海を泳いでるような幻想的雰囲気であった。
程なくいつものレストポイントへ到着、山頂がうっすら視認できた。


   
山頂直下の羽毛の海   と   アップ (写真下手でゴメンなさい)


視界もあまり良くない上に風も強く、ナイフリッジの稜線を進むには度胸がいる。ピッケルを抜いて空身で向かってみるが、根性なしの私はすぐにギブアップ、S藤さんを先頭に皆さん果敢に挑まれていたが、心中は如何に…
回れ右するのにかなり難儀していたように見えたが…(笑)



今年の摩耶山(視界不良)


今年は雪庇の成長が雪不足と暖冬の影響か異常に小さくちょっと残念…
しかし、これが今年の摩耶山であり、二度と見ることの出来ない唯一無二の光景なのだ。しっかりと心の目に焼き付ける。
天気が良ければ山頂でゆっくりランチとしゃれ込むのだが、冷たい風を避ける場所も無いので、避難小屋まで戻って昼食とすることに決定、そうと決まれば皆逃げ足は速い、蝶のように舞いながら駆け下る。

小屋陰に陣取り楽しいランチタイム、冷たい麦茶でささやかに乾杯、「カァ〜〜!!」っと豪快に喉を鳴らす(笑)
M浦さん持参の美味しい手料理に舌鼓を打ちながら、ワイのワイのと賑やかな時が過ぎて行く。おばあさん手作りの甘酒の熱燗はホッカホカに暖まり、とても美味かったです。(昔はオラ家でも甘酒作ってたなぁ〜(*^_^*))

携帯が繋がり超沢の蕎麦屋さんに二時間後の予約をすることが出来た。ゆえに定番のカップ麺には手をつけず。
いくら暖冬とは言えそこは冬山、じっとしているとだんだん冷えてきて膝が震えてきた。

ここからの下りは雪質と緊張感がゆるみっぱなし、足元を見ながら歩いていたのだが、視線を上げるたびに誰かが見事に転んでいる。そのたびに皆爆笑の渦…

韋駄天の名を馳せる誰かさんは、実に絵になる転倒を繰り返し、貴重な話題提供を…(笑)



それぞれの思いを込め雪山を楽しむヽ (´ー`)┌


イナグラバウワーの名手もまた健在、かんばるまる、かんばるまる。

ビ割にとっつかまり、もがき苦しむオラの姿も…

実に楽しく賑やかな下山に皆の頬はゆるみっぱなし、腹を抱えての爆笑場面も数知れず…
最後の急斜面では皆さん童心に返ってシリセード大会、名残惜しくもあるが実に楽しい雪山遊びは無事終了。超沢の摩耶のやかたに向かう。

摩耶のやかたでは、おばちゃん二人に山行をねぎらわれ歓迎される。実はここの蕎麦、私は以前から存じ上げており何度もいただいたことがある。
喉越しさわやかな実に美味しい蕎麦で私のお気に入りの一店でもある。常時営業しているわけではなく、普段は予約しないといただけない。

営業終了時間はとうに過ぎていたのだが、ご厚意で我々の貸し切りとなったこの日は、いろいろサービスしていただき、おみやげまでいただいた。
この日のメンバーも皆大の蕎麦好き、一部椎茸を除いた大量のご馳走をペロリと平らげ大満足の散会となった。

ご同行の皆様ご苦労様でした。翌日の庄内は終日猛吹雪の大寒波襲来、改めて考えてみると我々の山行は実に良いタイミングでした。一日ずれていたら間違いなく中止となっていたでしょう。
本当に「奇蹟的な登行」と言っても、決して過大な表現ではないと今現在感じています。

強運の皆さん、きっとまたどこかのお山でご一緒しましょう。
次回は朝日で宴会という案もあるようですよ(笑)