【突発性山行病 その2 「小又山」 


ムラサキヤシオと小又山

【日 程】2008年6月1日(日)
【山 域】神室連峰
【山 名】小又山(1367m)
【天 候】曇時々晴れ
【メンバ】単独
【コース】根ノ先口 → 小又山 → 根ノ先口
(概 略)



根ノ先口(9:35)---(11:25)六合目西の又口分岐(11:28)---(12:17)小又山(12:55)---(14:38)根ノ先口


冒頭にて、
先日火打岳顛末をアップ後、ルートマップも持たずに歩く不届き者の為に、わざわざ神室連峰の案内図をお送り下さった、心優しき先輩に感謝申し上げます。
お陰様で色々ルートを研究(?)させていただいております。<(_ _)>

最近ずっと天気が悪い。気温も上がらず強い東風(だし)が連日吹きまくっている。田んぼの稲も辛そうだ。もっとも人間もかなり辛いのだが・・・
庄内に長く暮らしているが、こんなに長く続いた東風は最近記憶にない。当然体調も思わしくなく(庄内人は生理的にこの風が合わない)偏頭痛がする。

思えば今年は変な年だ。私事ではあるが昨秋から今春にかけて同級生が3人旅立った。最後に会ったのがいつだったか記憶にない旧友もいるが、山から帰り日焼けした赤ら顔でそのままお通夜に出席したこともある。この悪友は、たとえ殺しても決して死ぬことのないようなタフな奴だったが、人の命とは無常なものである。
最近続く悪天は、山で遊び呆けている私を奴が本気で怒っているのかも知れない。

予報では何とか晴れそうだったのでウキウキ顔で帰宅、よこしまな考えが顔に出ていたのだろうか、翌日早朝からの用事を言い渡された。日頃の悪行の報いと諦め、やけ酒をあおり早々に就寝する。
翌朝目覚めると寝ている間に雨がかなり降った様子で幸か不幸か用事は一時中止、喜び勇んで突発性山行の準備を整える。喜々とした表情を悟られぬように慌てて出発する様は、誰が見ても明らかに常軌を逸し病んでいる。早い時間の帰宅を厳命されるも・・・

自宅から登山口までおよそ1.5時間、その気になれば近いのだがこの山はなかなか遠い山になっていた。本日より燃料費がまた上がり170円代に突入、金欠病の病をも併せ持つ身には、そのうち自転車が登山口までの足になりそうな予感がする。
登山口付近では地元の方達が大勢で登山道の整備に汗を流されていた。ご苦労様と言いながら道を空けて貰うが、のっけから急登である。


   
緑濃い尾根道   と   変な形のブナ


いつの間にかブナの葉も緑濃くなりもう夏山の雰囲気だ。二合目の標柱付近までかなりの急登で大汗をかくも、下界での汚れもさっぱりと一緒に流れ出ていく気がした。
太いブナの根本にはギンリョウソウも顔を出し始めている。五合目付近からツバメオモトとオサバグサが歓迎してくれた。
ブヨも大歓迎してくれたがあまり嬉しくはない。

山形県の山ではオサバグサを初めて見たような気がする。


   
ツバメオモト   と   オサバグサ


谷を挟んだ向こうには神室山がひときわ高く望まれ、少し下に避難小屋がポツンと見える。今回は周回コースの下見も兼ねており、ゆっくり観察しながら登る。と言うよりも体が鈍りすぎて速く歩けないのが本当のところだ。
六合目の越途(こえと)で西の又口からの道と合流するのだが、残雪が残っておりトラバース気味に登るのが嫌らしい。
合流したらとても広くて立派な道が現れびっくり、目指す小又山が樹間から現れるが、まだまだ結構の距離が残っている。
道は少し下ってから平坦に伸びているが、残雪で歩きにくい。


   
樹間から仰ぎ見る小又山    と    登路を振り返る


最後の登りに掛かると山頂部に人影が見えた。樹林帯の登りでは暑くてまいったが、稜線に出ると冷たい風が心地よく生き返る。一登りで憧れの小又山山頂に到着する。お疲れさんと迎えてくれた二人は地元の山岳愛好会の方だった。
「東法田山愛好会」と言う名刺を頂戴した方がリーダーで、次週の山開きの下見に来たと言っておられた。
いろいろ地元の情報をお聞きしたら、来年から二年計画で老朽化した山頂小屋を解体し建て替えるとのこと。

でもねぇ・・・


   
山頂から火打岳方面   と   神室山方面の稜線


ここ小又山は連峰最高峰、眺める景色は少し霞んではいるものの、遮るもののないパノラマはまた格別の趣がある。天狗森から神室山に続く稜線へ、恒例のよこしまな思いが沸き上がるも、いくら何でも今回は・・・(汗)
展望を楽しみながらゆっくり昼食をと目論んでいたが、ブヨが「はよ帰れ!」と追い立てるので、パンを空っぽの胃袋に急いで詰め込むやいな這々の体で駆け下る。

途中で目を付けていたコシアブラを夕餉のお土産に頂き、ブヨとのデッドヒートを繰り返し登山口に辿り着くとあれほどあった車は皆無、狐につままれたような気がした。
出発が遅かったので温泉にも寄らず急いで帰宅、野良着に着替えると牛馬のように田んぼに追い立てられた。

やれやれ、朝日は遠い・・・