【小市民、三ノ俣へ行く】
                                (山スキー)



コラボレーション

【日 程】2008年3月2日(日)
【山 域】鳥海山
【山 名】三ノ俣(1150m地点まで)
【天 候】曇り時々晴れ
【メンバ】単独
【コース】さんゆう → 鈴木小屋 → 森林限界 → さんゆう
(概 略)


さんゆう(7:41)---(9:12)鈴木小屋---(10:00)森林限界(10:30)---(10:47)鈴木小屋(11:13)---(11:57)森林限界(12:12)---(13:02)さんゆう


今シーズン初めての三ノ俣へ。
相も変わらず、さんゆうには早朝から水汲みの人がいる。昨日少しだけ雪が降ったようで、うっすらと新雪が積もっている。早朝の青空を庄内では「朝てっかり」と言う。(オラ方だけか?)
朝だけ陽が差して後は一日天気が悪いの意味があるのだが・・・

今シーズンはずっと雪不足との情報があったので、なかなかここに足が向かなかったのだが、最近の降雪で下界から眺めても藪は埋まったようなので、最初で最後になるだろうが向かって見ることにした。(たぶんラストパウダー)

まだ誰の踏み跡もない中シールを着けスキー場を登り始める。ゲレンデトップでは天主森が朝日に輝き手招きしてるようだ。積雪は例年並みにあるようだが、旧造林小屋から上の藪がスゴイ、これじゃスキーなんて出来ないよ。
樹木は毎年、実に堅実に成長している。それに比べたらオラは・・・
まあ愚痴になるので余計な話はよそう。

それでも登る分には不都合はなく順調に高度を稼ぐ、でもなんか今年の雪の付き方、変な気がするのはオラだけだろうか?
まだ動物達の足跡もまばらで少し寂しい気がしたが、たおやかなブナ林の中を一人きりでゆっくり歩くのは実に気分が良い。
じきに鈴木小屋に到着、一階部分は完全に雪に埋まっている。二階の窓から中を覗くと当然無人、上の方でオラを呼ぶ声が聞こえた気がしたのですぐ出発、小屋からすぐ上のブナ林に取り付き、米沢頭のオープンバーンをショートカット、手つかずの新雪を残しておきたいのが本音か・・・(笑)


   
真っ白な雪原と庄内平野    と    すっぽりと埋まった鈴木小屋

高度が上がるに従いブナの梢が雪の衣をまとったようで、時折差し込む陽差しに照らされるととても美しい。
森林限界まで上がると雪に覆われている庄内平野の展望が良い。月山森は見えたり隠れたりで上空は風が強く寒そうだ。考えながら暫く登るもやっぱり止〜めたと回れ右、こんな日は、ここから上の相性が何故か自分にとってすごく悪いのだ。時間的にはゆっくり月山森まで行けるのだが気が乗らない・・・。
まあ、弱気とはちょっと違う感覚なのだが上手く説明できない。(軟弱者です(汗))


   
着飾ったブナ   と   眼下の日本海


風の当たらぬ場所までシールを付けたまま下りレスト、上を眺めながらパンを一切れかじり、シールを外したらGO〜!
気持ちの良いパウダーとツリーランで一気に米沢頭まで下る。ヘボでも雪質が良いとターンが気持ちいい。
ここで暫く息を整え、お待ちかねのオープンバーンにこの日一番でシュプールを刻む、

完全に自己満足の世界だねぇ(笑)


   
輝く月山森方面       と    ヘボでも気持ちいいターン


途中に単独行の姿が見えたので暫く立ち話、後続3人が小屋で休んでるらしい。彼は和カンジキで登って来られた。下の方がぬかって酷かったとくどかれたが、彼の背後にはまっすぐに伸びた芸術的な踏み跡が延々と続いている。
す、素晴らしい。(少し下って撮ったのが表題の写真)

小屋は無人で後続の3人はすでにオラのトレースを拾って出発した様子、二階の窓から入り定番のカップ麺を大急ぎでかき込むと、すぐにシールを付け直し登り返す。せっかく付けたトレースを1回で放棄するのがもったいないと思ったのは、ケチで貧乏性の証であろう (せこいなぁ)

あるいは小市民と昔のヒトは言ったが・・・(汗)

途中から細雪が風に乗ってハラハラと落ちてきた。当然視界も悪くなる。こうなると上に行っても何も楽しくない。完全にホワイトアウトだ。

森林限界まで上がると、まっすぐ天主森に向かっている先行者三人の姿が見えた。さっきシールを外した場所で暫く眺めていたが、結構難儀している様子が見て取れる。
月山森はもう完全に見えない。
くわばらくわばら・・・



真っ新な雪面が続く米沢頭からの眺め


さすがに最初より雪は重くなっていたが、再度の快感パウダーとツリーランを楽しみ鈴木小屋へ到着、さっきお会いした人が大きなスコップで1階入口の雪掻きをしていた。二週間前はここから入れたんだよとおっしゃった。
暇なので手伝いますか?と聞いたら丁重なるお断り、お昼を過ぎていたので、ではではお元気でと下る。
が、雪は腐り全然滑らない、両腕で必死に漕ぐ推進滑降が続き、疲れと共にだんだん藪の中へ・・・
後は一体どうやって下ったのか、試しにスキーを外してみたら腰まで沈む始末・・・(泣)

大難儀の下りが終わり緊張感がぷっつりと途切れたまま、圧雪されたゲレンデを無意識に降りていったら、ゲレンデサイドの重い雪に片足が引っかかり、オットットットっと片足を浮かせたままゴール前でアクロバット滑走を数秒間・・・

舞台袖から登場の助六のようだったとは誰かさんの弁、観客の目の前でドッカーンと大転倒、首からヴァキィッ!!と拍子木を割ったような音がした。

こんな所で骨折なんかしたらホントの大馬鹿ヤローで洒落にもならない。雪洞があったらすぐさま隠れたいほど恥ずかしかった。

翌朝に首が回らなかったのは、借金と道楽のせいばかりではあるまい。


もう春がそこまで来ているように感じた三ノ俣、先週の猛吹雪だったら下まで滑りも楽しめたのかなあ・・・