稲倉岳  F-PARA(福士パラダイス)滑降
                                         (山スキー)
 

   
F-PARAを滑り終えて 

【日 程】2008年3月30日(日)
【山 域】鳥海山
【山 名】稲倉岳(1554m)
【天 候】曇り時々晴れ
【メンバ】13人
【コース】横岡 → 山頂 → F-PARA滑降 → 横岡
(概 略)



林道終点(7:35)---(8:03)七曲上部---(9:58)二つブナ(10:23)---(11:35)山頂(12:51)---(13:11)F-PARAレスト地点(13:47)---(15:20)林道終点


秋田のなんど師匠から稲倉のお誘いメールが届いたのはおよそ一月前、年度末の殺人的多忙もなんのその、迷わず参加OKの返信をした。私には二年ぶりの稲倉岳となる。
メンバーは庄内からいつもお世話になっているI井さんとM浦さん、秋田からはなんど師匠のグループ5人、仙台からSONEさんグループ2人、遠路福島からはSEIさんグループの3人、結局13名の混成大パーティーと相成った。

先週はずっと天気が悪く、この日だけ狙ったように天気が良いのは、皆さん日頃の行いが非常に良いからである。今回のリーダーであるなんど師匠が参加者それぞれを紹介してくださり、この日のためにわざわざ作ってくださった記念のシール(下記)を全員に配布、撃沈ならぬ「激ちん登り隊」には思わず笑ってしまったが、師匠のこういったセンスは抜群である。


   
林道終点の大混雑   と   なんど師匠作成の記念ステッカー


ルートは一本道、今日のような天気では決して迷うような所はないので、それぞれ勝手におのおののペースでゾロゾロキャッキャと出発、皆さん良い笑顔で楽しげな歓声が谷間にこだまする。
いつもは凍っている七曲の急登も難なく通過し上部で後続を暫く待ち再度出発。秋田隊のご婦人がグングン先頭を引っ張り高度を稼ぐと霧氷を着飾ったブナが現れる。
二つブナの休憩ポイントでは気温が少し上がったのか、風にそよぐ梢から氷片がバラバラと落ちてきて当たると痛い。
しばらくゆっくり休み、この先は休憩するポイントもないので合羽の上だけ羽織る。


   
二つブナのレストポイント   と   梢から落ちてきた氷の結晶


森林限界を抜けると広大な稲倉の大斜面に圧倒される。と同時に目指す山頂方面が遥か遠くで手招きしている。時折山頂付近はガスに隠れるものの、昨日降ったと思われる新雪が凍った斜面を覆い、シールが良く効いて快適な登行が続く。
先頭を快調に突き進むI井さんが遥か遠くにポツンと見える。今日は絶好調の様子、そう言えば出がけに、職場の健康診断に備え今日で2sは痩せると宣言されていたような・・・。
果たして結果は如何に?


   
森林限界付近からの稲倉岳   と   暫く登ってから俯瞰する広大な斜面


秋田隊の二名も遥か先、私は4番手ながらこの頃には疲労困憊状態で、ヒィヒィ言いながら必死で後を追うも一向に差は縮まらない。
偽ピーク下あたりからの広大な展望は本当に素晴らしく、行ったことも見たこともないのだが、何故かニュージーランドの山(マウント・クック)のイメージが頭の中に広がった。



ニョキッと現れた七高山と新山


ガスで視界の効かぬ山頂にやっとの事で到着するも風が冷たく指がかじかみ痛い。春山と侮ったわけでもないのだが、オーバーパンツを着用していないので、容赦なく吹き付ける冷たい風に足の筋肉の体温が急激に奪われ痙攣の予兆、風下を向いてマッサージしながら後続を待つ。

福島隊の到着と時を同じくして視界が一気に広がり、鳥海本峰の展望が劇的感動を伴って現れた。
これに至っては全員歓喜の雄叫びを上げながら撮影に没頭・・・



稲倉山頂からの新山(鳥海北面)



同じく蟻の戸渡りとジャンダルム


蟻の戸渡りやジャンダルムを初めて間近に見た。I井さんにいろいろ解説していただく。考えるまでもなく私にとってここからの展望は初めての体験なのだ。感動しない方がおかしい。

恐るべし鳥海北面・・・


   
ご機嫌の庄内隊のお二人   と   F-PARA方面


秋田隊の知り合いのお二人が到着、一緒にF-PARAを下ることにする。女性の方はスノーボードだ。
山頂からコースの全容は見えないので、ドロップポイントをなんど師匠が捜す。少しだけ滑ってみたら、新雪が殊の外重くスキーがうまく曲がらず引っかかる。この日の雪は手強いぞと気合いを入れるも、ヘボには少し荷が重すぎた。いざ滑り出したら皆さんとても楽しそうに雪と戯れておりました。
斜滑降、ギルランデ、キックターンの究極の合わせ技?でなんとか誤魔化し、大汗をかきながら下って斜面をふり返る・・・

ウォ〜〜〜!!! 


絶景のF-PARA大斜面


素晴らしい絶景に言葉が出ない・・・
これだけのビッグバーンはそうそう拝めない。雪質がもう少し良ければ滑りも楽しめたのだろうが、いやはや、それは贅沢というもの、この迫力ある絶景を眺めるだけでも十分に価値があるものだと思う。

恐るべしF-para・・・ (こればっかf(^^;) )

東カールのど真ん中で昼食のため大休止、溜息をつきながら斜面を眺める。ここでは三つ星レストランなんて何の価値もない。
見渡せば極上ノントレースの美味しそうな斜面がいっぱいだぁ〜〜〜!!!
最高の御馳走をいただいた昼食であった。


   
至福の一時をふり返る・・・


二つブナまで下ると雪質も少し良くなり滑りを楽しめた。
皆さんそれぞれ実に豪快に下っていく。
見ていて改めて感じたことは、フォームやゲレンデでの技術なんて雪山ではさして重要ではないと言うこと。要は自分の力で登った場所から、楽しくケガをしないで滑り降りることが出きれば全て結果オーライだ。

額に汗々して山に登るのは「楽しみ」を追い求めるためなのだろう。
愚痴になってしまうが、下界で感じる「楽しみ」が最近はなんと少なくなったことであろうか、世の中ギスギスし過ぎて余裕が無くなっている・・・。

各人オリジナルの究極滑降技、特筆すべきは豪快な「テレスーパーパラレル」と「一文字直滑降」、誰かさんの「イナグラバウアー」と、私の「かんばるまる滑走」などか・・・f(^^;)

激ちん登り隊」の底力を見せつけられたとても楽しいツアーでした。


お世話になった皆さん、ありがとうございました。

きっとまた何処かでご一緒しましょう(^^)/~~~