【中登隊、会津山中でたまげる】


龍の山途中からの真っ白に輝く大日岳

【日 程】2008年2月10日(日)
【山 域】飯豊山川入口界隈
【山 名】龍ノ山(りゅうのやま)(858m)
【天 候】快晴
【メンバ】3人
【コース】登山口 → 龍ノ山 → 登山口
(概 略)


登山口(8:40)---(10:00)コル、山頂付近(13:37)---(13:55)登山口


3時半の目覚ましで飛び起きる。寝ている間に山形市内はおよそ15cmの新雪に覆われていた。車に載った雪を掻き落とし4時に出発、国道13号はろくに除雪されておらず長距離トラックもゆっくり運転、それでも上山を過ぎる頃には除雪車が現れる。
ハラハラと落ちてくる雪の中およそ1時間で米沢に到着、コンビニでお握りの朝食後、待ち合わせ場所へ移動する。

5時半集合と言うが相方のまるいぬ隊員はなかなか現れない。米沢市内は20センチ程の新雪があったと思われる。待ちくたびれてウトウトした頃携帯が鳴った。家の前を除雪して車の雪を掻き落としてから出発するとのこと・・・

置賜地方はさすがに雪の量が違う。道の両側は垂直な雪壁だ。それでも平年並みというのだが・・・
まだ暗い中、あちこちで除雪車がコマネズミのように動き回っている。
冬の大峠越えは初めての体験、完全に圧雪状態の路面に緊張するも登りだからまだましだ。隣のまるちゃんは朝から絶好調の饒舌ぶり、だんだん置賜訛りに脳髄が犯されていく。

トンネルをいくつか超えると格段に雪は少ない。が、路面は所々凍っているのでゆっくり下る。隊員はお気に入りのコンビニに誘導するや、こだわりの名物たまりせんべいを大量に仕込み、車に乗り込むなりすぐにグラタンをほおばる。運転手は行き先もわからないのに、食事に夢中のナビゲーターは、適当なことばかり言うもんだから迷子になってしまった。
たぶんこのヒト、食事と会話とナビゲートを同時進行することが出来ないのだろう。
グラタンをこぼしたと言ってはティッシュで合羽を一生懸命に拭いている。

あそうそう、まるちゃんは、家を出るときから合羽の上下とニット帽の完全装備で、山に行く気合いの入り方が私とは全然違うのだ。
あるいは、我がオンボロ車のすきま風が、とっても寒いと思ったのかも知れなひが・・・。

会津盆地の雪は少ないが路面は凍っている。慎重に運転し待ち合わせ場所の磐越西線山都駅に7時半に到着、されど待ち人来たらず、今回のリーダーであるhiroさんはなかなか現れない。運転手は浦島太郎状態で、どこにどう向かうのか全然わからないのだ。もちろんナビゲーターも当てにならない。
待つこと暫し、突然現れた車、噂のhiroさんと初対面の挨拶を交わすとすぐに目的地へと出発する。


   
磐越西線山都駅   と   青空に映える雪の華


一体どこをどうやって走ったのか、だんだん細くなる道に心細くなる。しかし天気は天晴れで、真っ白な雪の華をつけた木々の梢が紺碧の空に映えてとても美しい。川面から立ち上る朝霧と朝陽が幻想的な冬景色を醸し車内に歓声がこだまする。
じきに登山口に到着した。NHKの取材陣が数日前に入ったらしく、消えかけたトレースが何となくわかる。
ここには夏道は無いそうで、藪山を極めたhiroさんが同行してくれることが本当に心強い。カンジキを着け出発する。


   
急登を頑張る二人   と   山腹を覆い尽くす雪の華


のっけから急斜面、ジグを切りながらゆっくり登り始める。コースはほぼ直線的にカール状の沢筋を登り詰めコルを目指すもので、高度差およそ400mとのこと。上部は傾斜45度を遙かに超える急斜面だ。
巨大なコンダラザックを背負ったまるちゃんは少し遅れるも順調に高度を稼ぎ、乗越のコルにちょうど10時に到着、途中梢越しに見えた真っ白な大日岳が感動的に美しかった。hiroさんのお話によれば、この時期に完璧に晴れた大日岳を望めるのは本当に珍しいらしい。


   
コルからの眺め   と   雲の彼方は磐梯山か?


足音と声だけが聞こえる後続がなかなか現れないので、右側の急斜面の先にあるはずの龍ノ山に向かってみるも深いところは胸までもぐる。
時にモンキーラッセルし何とか一番高いところまで辿り着くと、視界を遮るものは何もなく純白に光り輝く飯豊の眺望が抜群に素晴らしい。歓声を上げながらカメラを向けているとhiroさんも登ってきた。

すぐ下にいるはずのまるちゃんは、なかなか姿を現さなかったが、やっとコルに到着した様子が聞こえたので下ってみたら、汗だくで雪にまみれた姿、一体どこをどうやって登ってきたのやら・・・
シャリバテと言いながらhiroさん持参の巨大なシュークリームを瞬時に平らげる。
聞けば最後の急斜面で、あと一歩と言うところで4回くらい滑落?したらしい。
このヒトは雪と一人戯れるのがとっても好きらしく、落ちるたびに「グヒグヒ」と笑い転げていたらしい。

やれやれ・・・

彼女の荒ぶる胃袋が少し落ち着いてから急斜面をかけ下る。目当てのものを探しながらかなり下ると左手にそれらしきものが見えた。
中を覗くとチッコイのが少し、違うのかなと思って外に出るとhiroさんが少し上の方を指さす。おお、なんか入口っぽい、急いで登っていくと目当てのものがありました。と同時に、そのユーモラスな姿に笑いがこみ上げてくるのを我慢できずに一人「がははは」と大笑いする。


   
神秘的な氷筍群、(誰かさんには、“にょろにょろ“のように見えたらしい)


国内では数えるほどの場所でしか目にすることが出来ないという氷筍(ひょうじゅん)群、読んで字の如く「氷の、たけのこ」に真面目にたまげた。

つららは水流が上から下に凍りながら伸びるが、氷筍はゆっくりポツンポツンとしたたり落ちる水滴が瞬時に凍り付き、下からタケノコのようにニョキニョキと長い時間をかけゆっくりと大きくなるもの、私は生まれて初めて目にする。
とてもユーモラスな感じで、かつ氷の透明感が素晴らしく、つららとは明らかに違うのがよくわかる。

こうなると三人ともカメラの虫、思い思いの構図で、ああでもない、こうでもないと必死こいて撮影に没頭する。
朝9時頃の陽光が岩窟の中に届く時が一番のシャッターチャンスらしいのだが、すでに陽は高い。
それでも大自然が創り出す氷の芸術は素晴らしく、時を忘れ溜息をつきながらうっとりと見入る三人であった。


もっと氷筍を見たい方は、ここをクリックしてください。


ふと我に返ると腹の虫が目覚ましのように鳴り響く。非現実的光景から目覚めたらこうしてなんかいられない。まるちゃんがせっかく巨大なコンダラザックで担ぎ上げたきりたんぽ鍋が・・・

荷物をデポしたコルを目指して必死ではい上がり、急いで飯豊の展望抜群の山頂に雪のテーブルとベンチを作りお湯を沸かす。
調理係を放棄した紅一点が巨大なシェラカップを片手によだれを垂らしている側でhiroさんがテキパキと調理する。
こんなスカイレストランには、山をやらない人は中々入る機会はないであろう。

一人で食材と鍋を担ぎ上げたまるちゃんに大いに感謝する。


   
覆い被さるような急斜面   と   山頂からの雄大な飯豊


じきに美味しそうな匂いが無風の山頂付近にほがほがと漂い、絶景を眺めながら熱々のきりたんぽ鍋を頂く。
陽差しがとても暖かい。こんな贅沢な食事が出来ることを飯豊の神様に感謝した。
我々の日頃の行いが良かったのかは謎であるが・・・

締めは当然「うどん」、出汁が染みこんで・・・絶品
デザートは冷たい夕張メロンのゼリー、
暖かいコーヒーを飲むと楽しいランチタイムはお終い。名残惜しいが飯豊の大展望にまたねと別れを告げると、まるちゃん先頭で急斜面を駆け?下る。
なんと下まで30分もかからなかったわい(笑)


   
スカイレストラン(hiroさん画像提供)       と          きりたんぽ鍋


いいでの湯で汗を流したら小腹が空いたので近所のそば屋に直行、
やれやれ、いったいどんな胃袋だ・・・

出てきたソバを一目見て驚く、もちろん十割蕎麦、素麺より細い感じだ。
当然喉越しも味も申し分なくペロリとやっつける。
水蕎麦というのを初めて頂いたが、蕎麦の風味がとても素晴らしく、するっと入っていくのだった。



ご機嫌の隊員・・・


ここのご主人は話し好きでなかなかおもしろい方だった。テレビの取材陣を何度も氷筍群へ案内してるらしい。山も好きで飯豊の花にもとっても詳しいご様子。
川入から飯豊を登るときには是非立ち寄りたいお勧めの蕎麦屋さんであった。


   
絶品の蕎麦(右側が水蕎麦)
水蕎麦はタレはつけないで、このまま水をタレに食べます。

超美味です


ここでお世話になったhiroさんとはお別れ、機会がありましたら是非またご一緒させてください。

時計は4時を過ぎている。
明日はお仕事、
やれやれ、我が家に帰り着くのは、いったい何時になるやら・・・

お世話になった皆さんありがとうございました。