【厳冬、摩耶山】


山頂付近にての筆者 (S藤さん提供画像)

【日 程】2008年2月17日(日)
【山 域】摩耶連峰
【山 名】摩耶山(1020m)
【天 候】晴れ時々風雪
【メンバ】4人
【コース】関川登山口 → 山頂 → 関川登山口
(概 略)


関川登山口(7:05)---(11:15)山頂(12:00)---(14:08)関川登山口


庄内地方はこの一週間厳しい地吹雪が続き、この地域独特の「雪が下から降ってくる状態」が続いている。雪掻きはもうホントうんざりだ。

15日に摩耶山の主であるS藤さんからお誘いのメールを頂戴した。しかし天候次第で中止もあるような文面、まあこの天気では仕方ないのかとは思ったが、せっかくのチャンスを逃す手はない。僭越ながら「決行と理解し段取りします」と超強気に速攻で返信した。

S藤さんはとても心優しいお人柄なので、悪天の恐れがあれば 軟弱者の私を気遣って中止なさるだろうと言う心配(ん、違うな心遣いだ(汗))を予測し、失礼ながら先手を打った次第であるが・・・
幸い今回同行のI井さんやM浦さんも、行く気満々のご返事をなされた様子で、前日に「どうであろうと決行宣言」メールが届いた\(@^o^)/ <キャッホー!!

ちなみに、去年同行した中登隊のA.TOM隊長にもお誘いのメールを送ったのだが、最近海外旅行にはまっているらしく、中国とかドンガンとか香港とか大崎とか訳のわからんことを言っていて今回は不参加とのこと。残念である。
(隊長は山の病が進行中の模様・・・)

17日の4時半過ぎ目覚ましに飛び起き窓から外を覗くと、積雪も風も大したことはないようだ。それっと速攻で飛び出し車に荷物を積み込む。
15年も苦楽を共にした愛車は、アホな所有者に愛想が尽きたのか最近機嫌が悪い。特に冬季の寒い朝は寝起きが悪くなかなか目を覚ましてくれないのだ。
そう言えば最近、洗車やワックス掛けなんてご無沙汰してるなぁ〜f(^^;)

何とか出発したのはいいが突然の猛吹雪、前方視認不能状態走行が続く。気が付くと道路の反対車線を走っていた(汗)
普段は30分もあれば到着する湯田川温泉駐車場も1時間近く掛かってしまったが、何とか約束の時間に到着出来た。良く考えてみると、I井さん、S藤さんともにおよそ一年振りの再会である。なぜかいつも会っているような気がするんだけど・・・

すぐに車二台に分乗し出発、時に激しく降る雪の中、道路表示の寒暖計は-3℃であった。いつもの場所に車を置いて準備している間に、道路除雪で垂直に削られた雪壁にS藤さんがスコップでステップを刻んでおられた。頭が下がる。

私だけがざるカンジキを装着、他の人達は全員スノーシュー、皆さんに「小国マタギそのものじゃん」と言ってからかわれる。
一番の若輩者である私が先頭切ってラッセルするもすぐに敢えなく撃沈、S藤さんにトップを変わって貰う。相変わらずまったくもって情けない話だ。
でも、去年履いていた普通のカンジキは最後尾で歩いても結構もぐって辛かったのだが、今回の代物はモノが違う。全然もぐらない ルンルン♪~♪ d(⌒o⌒)b ♪~♪ルンルン
不足しているのは自身の体力だけだ(汗)

一時間ほど登ると青空が広がり陽光が眩しい。目指す摩耶山山頂がよく見え手招きしているかのようだ。M浦さんが賑やかに歓声を上げる。
606ピークから新雪をかき分け痩せ尾根へと急登を駆け下るのがとても楽しく童心に返る。積雪は去年より少し多い程度か?
M浦さんやI井さんがトップをやりたくてウズウズしている様子が後から見ていて良くわかる。皆さん新雪の雪山が楽しくて楽しくてしょうがないのだろう。
雪山は一度ハマるとやめられない」と誰かが言ったのは、もちろん誰もが思うところ(笑)

   
登路途中からの山頂方面   と   軽快に痩せ尾根を下る


トップを交代しながら順調に進んで、山頂が大きく見え始めた頃に不穏な雲行きが・・・、
北の方から真っ白な雪雲が山頂方面を覆い始めたかと思うと、じきに冷たい風に乗って雪が吹き付ける。視界も悪くなってとにかく寒い。しかし誰一人として悲痛な表情を見せる者はなく、逆に嬉しそうな笑顔だ。

軟弱者の私はフードを被った合羽の中で「一人だったら撤退だなぁ」と一人ごちる。
途中汗をかいたので合羽の下はアンダー1枚だけ、休憩していると寒いを通り越して痛くなってくる。でもこんな状況の中でザックを開いて中間着を取り出すのも億劫だ。手や足の指も寒さでジンジンするが、それらを差し引いても雪山を歩くことはとてもとても楽しいのだ。

突然すぐ前を歩いていたS藤さんの足下がぱっくりと開き、スローモーションのように雪塊が崩れ落ちて行った。とっさに横っ飛びしたS藤さんは幸いにも無事であったが、すぐ後ろでこの光景を目の当たりにした私は、瞬間、何が起こったか理解できず、アワワワと固まってしまい全く身動きできなかった。雪山の恐ろしさを改めて思い知り、また直に感じた一瞬であった。
しかしながら当人はいたってケロッとしている。ウ〜〜ム・・・ スゴイ |||||/( ̄ロ ̄;)\||||||| まじ〜〜?

高度が上がるに従い、吹き付ける風雪がフード越しにも痛いくらいに強くなってきた。
最後の急登であるザンゲ坂は風の通り道で、時には凍り付いてアイゼンを着けないと登行困難になるとS藤さんがおっしゃっていた。今回は幸い新雪が柔らかくキックステップが効いて登れたが、♪ブリザード、ブリザード♪と歌いたくなるような横風が辛いと思ったら、I井さんやM浦さんは楽しげに歓声を上げている。やっと辿り着いた稜線部は霧氷が梢に咲く白く幻想的な世界だ。視界は20m程か?
雪庇の付き方が去年とかなり違う気がした。慎重に稜線を進みレストポイントを目指す。


       
今年の避難小屋の様子   と   山頂付近の稜線


  

一カ所だけ雪庇が切れた場所がありホッとっする。目指す山頂方面は視界が悪く見えない。そのままもう少し進むと突然視界が開け、天を突く山頂が我々を待っていたかのように、ほんのわずかに降り注いだ陽光に照らされ、ほんのり白く輝き姿を現した。
どっと皆の歓声が上がる。
視界の悪い中、暫く撮影に皆没頭するが、ベストショット賞は誰の手に? ( ̄ー ̄)ニヤリ( ̄ ̄ー ̄ ̄)ニヤリ( ̄ ̄ ̄ー ̄ ̄ ̄)ニヤリ



うっすらと陽光に輝く山頂部


今回は視界が悪く雪庇の状態が確認できないため無理をせず、後50歩ほどで三角点なのだがここで引き返すことにした。レストポイントまで戻ったら風を避けるため少しだけ倉沢側に下り、雪を踏み固めてベンチを作る。
まずは何はともあれ、麦茶で意地の乾杯である。

「カァ〜〜〜!!」 う、うまい♪♪

が、すぐにカップの中は凍り付いてシャーベット状態になる。(冷汗)
体感温度は-10℃以下か?


   
山頂部を倉沢側から   と   ランチタイムの準備


降り続く雪の中、皆真っ白になりながらランチタイム、去年の天気は良かったねぇと懐かしむが、これが今年の摩耶山であり、厳冬期らしくて良いと笑顔で語り合う楽しい時間であった。
それにしても、じっとしてると寒いの何のって、膝がガタガタと震える。食事のため手袋を外した手が真っ赤になって痛い。それでも時々視界が少しだけ良くなることもあり、山頂方面や鑓矛の急峻な姿が真っ白な空間にぽっかりと幻想的に浮かび上がる。

急いで食事を終えると、皆でしっかりと神々しい景色をまぶたに焼き付け、寒気が一段と増したように感じる厳冬の山頂を後にした。



雪の造形 (何に見えるかな?)


お世話になった皆さん、条件の厳しかった今回、登頂出来たのも皆さんのおかげです。ありがとうございました。
きっとまたどこかでご一緒しましょう<(_ _)>