【朝日鉱泉から大朝日岳周回】
                              朝日鉱泉からナカツル尾根、御影森山周回日帰り山行


平岩山付近からの大朝日岳

【日 程】2007年9月9日(日)
【山 域】朝日連峰
【山 名】大朝日岳(1870m)
【天 候】晴
【メンバ】3人
【コース】朝日鉱泉→ナカツル尾根→大朝日岳→御影森山→朝日鉱泉
(概 略)


朝日鉱泉(6:02)---(7:21)出合---(8:26)長命水---(10:40)大朝日岳(11:11)---(12:04)平岩山(12:15)---(13:52)御影森山(14:06)---(15:25)上倉山---(16:43)分岐---(17:02)朝日鉱泉


台風一過、予報は晴、某MLでは高名なM浦さんからナカツル周回のお誘いがあり参加した。メンバーは鳥海の韋駄天ことユウさんと3人だ。
案内では朝日鉱泉5時半出発だったが、私は早起きするのが嫌で登山口付近で前夜車泊し朝日鉱泉へ向かった。ここを訪れるのは十何年振りか?

恥ずかしながら朝日鉱泉からの登山道を登ったことは一度もない。しかし興味はずっと持っていたので、お誘いが掛かるとすぐに乗ってしまった。 もっとも、女性からのせっかくのお誘いを断るなんてことは、絶対にあり得ないことではあるが…。
急登で有名なナカツル尾根を登り、御影森山を回り日帰り周回とは、中登隊名誉顧問Sさんのお得意コース、果たして私のような鈍足亀足に歩けるのかという一抹の不安は正直のところあった。


   
朝日を浴びた小朝日が高い   と   吊り橋を何度も渡りながら進む


取水口に掛かる朝日川の吊り橋を渡り暫く沢沿いに遡る、M浦さんとおしゃべりしながらのんびり歩いていたら、先頭を行くユウさんの姿がたちまち見えなくなった。先が長い分平坦な出合までの間に時間を詰めようと言うことらしい。実はユウさんは最近同じコースを歩いていると言う。その時は9時間掛かったそうだ。

渓谷美を楽しみながらも、ガンガン飛ばす先頭に必死で付いていくともう汗だくだ。方やユウさんは汗一つかいていない。唖然としているとM浦さんが
「枯れ木にだって水分はあるよね」…???
途中の沢で水を拾い私は2Lと少し持ち出合からの急登へ向かう。のっけからすごい、ユウさんは鼻歌を歌いながらすいすい登っていくが、私は必死である。体調がイマイチのM浦さんは少し遅れるも、先頭は構わずグングン高度を稼ぐ。

途中後続が見えないので少し不安だったが、トップは気にする様子も無い。ハハ〜ん、これはいつものパターンなんだなと感じた。
時折背後から意味不明の元気な叫び声が山々にこだまするので、彼女も順調に登っていることがわかる。(それにしても良く通る声だなぁ…)

出合からの高度差は1190m、水平距離が3500m、平均斜度18°46′と言うことになる。案内看板では出合付近が朝日鉱泉と大朝日岳の中間(4q+4q)となっている。
進行方向右手には小朝日の頂が断然高い。ユウさんがあれを見下ろす高さまで
登るんだという。
やれやれである・・・。

途中2名の単独行とスライド、昨夜の大朝日小屋は20名ほどの宿泊者だったとのこと、昨日はガスの中何も見えなかったそうだが、今朝は抜群の展望だったらしく皆満足した表情である。長命水で後続を待つ間ユウさんはキクラゲを少しお土産に採る。キノコのシーズンにはまだちょっと早いようで、気の早いツキヨダケがちらほらと。
長命水の水場へはここから結構下る様子に皆諦めそのまま下っていった。

出合の急登の入口に2合目の看板、時折現れる○合目の看板に慰められながら必死で高度を稼ぐも、私の足はだんだん上がらなくなってくる。完全無風状態で、大量の汗は滝のように頭頂部から吹き出し、汗止めの鉢巻きはすぐに飽和状態、もう土砂降りの雨に打たれたかのように全身濡れ鼠だ。登るに連れ次第に上空を覆っていく雲が展望の期待を奪って行く。反面、暑い陽差しを遮り助かるも、神様もう少しだけ風を下さいと祈りながら登る。

若い長靴姿の単独行がすごいスピードで駆け上がるのを見送り、バテた私にユウさんがペースを合わせてくれ、ゆっくりゆっくり立派な偽ピークまで来るともう先が見えた。残念ながら展望は無い。
本当に久しぶりに大朝日の山頂へ到着、新設なった石の立派な標柱を初めて自分の目で見た。ここに来たのは何年振りかと暫く考える。


      
急登途中から見えたニセピーク      と      大朝日岳山頂でご機嫌のメンバー


先行していた長靴のお兄さんに話しかけると朝日鉱泉からおよそ3時間とのこと、以前来たときは2時間くらいで来たこともあるらしい。聞けば長井葉山から泡滝までの一日縦走を目指しているという。もちろん今日も日帰りで、これから西朝日まで行ってくると、ガバガバのミツウマの長靴を履いて彼は颯爽と走り去っていった。いやはや若いと言うことは何とも素晴らしい。

しばらくして後続のM浦さんが木の実を一杯摘んで到着すると、雲がスウッと消え中岳と西朝日が悠然と姿を現す。これには一同歓声を上げ喜ぶ。
ここで下山ルートの協議、御影森経由だとユウさんの記録では朝日鉱泉まで5時間、私の気持ちの中では少し無理があるかなと思っていたのが正直のところ、それに結構バテていて眺望も期待出来ないので早く帰りたい気持ちの方が大きかったのだ。

んが、M浦さんがポジティブに当然御影森経由と話をまとめる。そうだ、山はポジティブに向かわないと楽しくないのだと思い直し反省。その間にユウさんの身支度はもう整っている。いやはやこのコンビは素晴らしい。阿吽の呼吸というか、相手の考えてることは言葉にしなくても瞬時に理解し合えるようだ。
ただユウさんがぽつりと一言 「長んげぞ・・・
本荘からという単独者に証拠の集合写真を撮って貰うと、ユウさんは平岩山への急坂をすぐに雲の中へ駆け下っていった。


   
急坂を駆け下り見上げる山頂方面   と   雲に続く平岩山方面


私はここも初めてのルート、いつも頂上から祝瓶への長大なルートを眺めるたび溜息をついていたのだ。一気に高度を下げるとだんだん視界が回復してくる。と同時に強烈な陽差しも復活し平岩山への登りでは皆大汗をかく。
M浦さんが歓声を上げながら西朝日から続く長大な尾根を褒めまくる。こんな景色を目の当たりにすると、病気がうずき帰りたくなくなるのだ。平岩山に登り返し休憩、振り返るとピラミダルで端正な大朝日が雲の切れ間にその雄大な姿を現し暫し呆然と見入る。こちらからの眺望はもちろん初めてで、中岳が一際目を引く。



西朝日から続く長大な尾根


方や祝瓶方面も初めて間近に、
大玉山が大きい。いつかは歩いてみたいコースだが、アップダウンがことのほか大きく見え腰が引ける。それにしても朝日はでっかいなあ〜。
そして御影森山方面に視線を移動する。
・・・・・・・」(汗)
んごっ、遠いなあ〜〜!


   
平岩山から祝瓶方面(大玉山が大きい)

振り返って大朝日岳と左に中岳


   

数カ所のピークの彼方に霞んで見える。ユウさんの記録では1時間半掛かったとのこと、竜門〜大朝日間に等しいではないか…
中間付近に水場の表示があったが100mくらい下らないと取れない。疲れた体には辛いので今回はパスする。

アップダウンがことのほか辛く、途中何度も休憩を入れ御影森山に辿り着いた時には熱中症寸前で精も根も尽き果てた。2Lの水はもう残り少ないが我慢できずにガバガバ飲む。傍らをトンボが群れになって舞っている。ここで長井葉山への道を分けるが刈り払いはされてない様子だ。


   
大沢峰付近からの御影森山   と   振り返って平岩山


ここからはもう一気に下降の連続で滑りやすい道も所々にあり気が抜けない。暫く下って振り返ると先程までいた御影森山が遙かに高い。下るのは一時だねと皆の意見、道はブナの美林に入り陽差しだけは遮ってくれるも気温は相変わらず高い。上倉山に少し登り返し休憩、ここからは一気の下降で飯豊の梶川尾根の下りと同じような傾斜が続いた。このコースを登りに使うのは大変だろうなとは皆の総意であった。

上倉の水場は登山道のすぐ側に湧いていた。冷たい水を汲みペットボトル一本を一気飲みする。山のお土産に少し汲んでいく。
これでもかの激しい下りが終わると吊り橋の手前に墓標がポツンとある。手を合わせ無事の山行を感謝し暮れ始めた道を朝日鉱泉めがけて急ぐ。
駐車場にはもう我らの車だけ、ヤブ蚊の襲撃に耐え靴を脱ぐとすぐに出発、遠くに雷鳴が聞こえたがすぐに雨が落ちてきて山毛欅峠から古寺までは土砂降りであった。

大井沢温泉で一旦停車し、お世話になったお礼と次回の山行を約束し、後はビール恋しさに自宅へと車を飛ばした。
初めてのコースで辛かったが、雄大な朝日の顔をいつもとは違う角度で楽しめ、改めてその雄大さに魅せられた山行であった。
お世話になったM浦さんとユウさんの、果てることなく湧き出すパワーには恐れ入りました。また機会がございましたら是非ご一緒させてください。ありがとうございました。



最後に華の競演
(ご本人の掲載許可を得てませんがお許しを<(_ _)>)



追伸、
帰宅後自室への階段を上ろうとしたら、足が上がらずつんのめり・・・
筋肉痛より痛いです(大笑)