【梅雨の合間に花巡り、鳥海湯の台口


咲き始めた河原宿のニッコウキスゲ

【日 程】2007年7月16日(月)
【山 域】鳥海山(湯の台口)
【山 名】七高山(2230m)
【天 候】曇、小雨
【メンバ】単独
【コース】滝の小屋駐車場 → 七高山 → 滝の小屋駐車場
(概 略)


滝の小屋駐車場(8:37)---(9:27)河原宿---(11:00)伏拝岳---(11:40)七高山(12:10)---(13:25)河原宿---(14:40)滝の小屋駐車場



せっかくの三連休、楽しみにしていた予定はマンニィの突然の訪来を受け、根性無しの私はズルズルと自宅待機、怠惰な生活にどっぷり浸かりゴロゴロと粗大ゴミ状態の日々を送るが、せめて最終日は動かないと根っこが生えそうなので、曇天ではあったが久々に湯の台から鳥海を目指した。

帰宅してから知ったのだが、中越地方でまた大規模な地震があった模様。余震が続く中、被害にあわれた方々の心痛を察すると言葉もありません。早期の復旧を願うばかりです。

振り替え休日の割に駐車場には少ない車、今の時期に湯の台コースを上まで行くのは何年振りだろうと考えながら登ると、突然目の前に水田の緑萌える庄内平野が開けた。日本海にはポッカリ浮かぶ粟島、その右隣にはうっすらと巨大な佐渡の姿が望まれる。ここから佐渡が望めるのは珍しいことで、自身あまり経験がない。山頂方面は雲に隠れよく見えないが、目をつむってもこのコースは歩ける自信があるので躊躇なく進む。

未だ根性でスキーを楽しむ偉人を横目に、八丁坂はヨツバシオガマ、ハクサンフウロがボチボチ、豪快な水音が聞こえ傾斜が緩むと河原宿名物である一面のニッコウキスゲが目に飛び込んできた。コバイケイソウも混じりなかなかの景観である。雪解け水が流れる小屋前には数人の登山者が憩っている。心字雪渓の中程から上は雲に隠れてさっぱり見えない。

雪渓端で冷たい水を補給してから大雪渓に取り付き、お目当てのチングルマの楽園を目指すが、もう既に花の盛期は過ぎ花穂が風にたなびいている。ガスのため展望も望めないので、今が旬の花を愛でながらのスタイルに変更、カメラを小脇にゆっくりと登る。


   
ガス湧く大雪渓   と   雲上の河原宿


小雪渓を登り切り薊坂の急登に取り付くと、雪が消えたばかりなのかショウジョウバカマがちらほら、心ときめくようなサンカヨウの花姿にうっとりしながら何とか稜線に辿り着くも、視界は無く山頂小屋の発電機の音が轟いている。ここから天上の花園巡りとなる。

ペルシャ絨毯のように見事なイワベンケイとミヤマキンバイの群落の合間に、チョウカイフスマとイワブクロが咲き競い、岩壁に張り付く健気なイワウメも見事だ。アオノツガザクラの小さく可憐な花は豊作の葡萄棚のように鈴なりだ。でも何か足りない。そうイワギキョウだ。懸命に探すも未だ蕾が多い。それでも何とか数輪高貴な花を見つけることができた。時折混じるイワカガミが程よいアクセントとなる。

最近夏は朝日ばかりに通い詰め、こちらの稜線の花景色を忘れかけていた。改めて独立峰鳥海の植生の豊かさを思い知る。チョウカイフスマは特産種、近似種が北海道の雌阿寒岳にしかないし、イワブクロは本州ではここと岩手山でしか見ることが出来ないのだ。時間があればお浜方面にも足を伸ばして、ハクサンイチゲやヒナウスユキソウの群落も楽しめるのだが、今日のところは欲張るまい。

先日登った百宅からの東面の雪渓はかなり後退し、その消え際は一面のお花畑と化している。虫穴の巨岩にもイワウメが可憐な花を咲かせている。
思いの外静かな七高山でゆっくり昼食休憩、が視界は回復ぜずポツリポツリと雨が落ちてきた。半袖では少し肌寒いので早々に行動開始、暫く振りに外輪を歩いたが以前より明確な踏み跡が増えたような気がした。続々と登ってくる後続組とスライドを繰り返し外輪を後にする。


   
鳥海観音   と   緑の庄内平野


薊坂の石段をゆっくり下り、雪渓を駆け下るとやっと視界が開ける。河原宿から花を求めて月山森方面に少しの間寄り道するが、ヒナザクラに目尻を下げ引き返す。河原宿の涼しげなせせらぎで、仲良く弁当開きをしている人達に見送られ、八丁坂を駆け下りるとやはり下界は暑い。
これからお盆に掛けてこの山はお花のピークを迎える。多くの可憐な花たちに誘われる蝶のように、訪れる人たちもまた増えるのだ。



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