【中登隊、鳥海東面を駆け登る】


虫穴岩目指して雪渓を直登する

【日 程】2007年6月24日(日)
【山 域】鳥海山(百宅口)
【山 名】七高山(2230m)
【天 候】晴
【メンバ】3人
【コース】大清水山荘 → 七高山 → 大清水山荘
(概 略)


大清水山荘(6:43)---(9:15)唐獅子平---(11:06)虫穴岩(七高山往復)(12:23)---(12:47)唐獅子平---(14:28)大清水山荘


羽後朝日岳から這々の体で逃げるように転がり落ち、何とか携帯の通話エリアに辿り着く。さっそくA.TOM隊長に電話すると今新庄にいるとのこと。不思議に思いながらも無事の下山を知らせ集合場所の鳥海百宅口の大清水山荘を目指す。緊張から解かれたら空腹を感じ適当なラーメン店に入るも待てど暮らせど注文の品が出てこない。苦情を発する直前に出てきて速攻で胃袋に収める。国道13号を南下、横手の辺りから適当にショートカットを目論むが敢えなく迷子に、結局かなりの遠回りをしたらしい。

それでも5時半過ぎに百宅登山口に到着、駐車場で赤ら顔の隊長が一人出来上がって待っていてくれた。見上げると鳥海東面が夕日に染まり覆い被さるようにそびえ立っていた。そそくさと準備をし小屋になだれ込み、そのまま我々二人きりの前夜祭となる。
隊長の好意による有り余る酒食にありつき、むさぼるように呑み語りあうこと数時間、いつの間にやら寝たのか、うっすらと明るくなる頃、いつもは子守歌代わりに聞こえる隊長の盛大な鼾が聞こえず、まして寝息も聞こえない。もしかして死んじゃったのかな?という不安で目が覚めた。

と同時に「っっぷ、フガッ、フガ〜、フガ〜〜」と苦しそうな鼾が再開した。まあ生きていることは確かなようなので再度惰眠を貪る。
隊長は、中高年の敵である無呼吸症候群になりつつあるのかも知れなひ・・・
それでも5時前には起きだし、モーニングコーヒーを煎れながら、higurashi隊員の到着を待つ。美しい奥様の機嫌を損ねたのかと心配して噂してると、やわら人影が小屋の窓を通りすぎた。


   
覆い被さるような鳥海東面   と   広い登山道を進む隊員

久々の再会を祝し麦茶で乾杯、朝食後昨夜の残骸を片付ける。小屋側の水場に帰りのための小玉スイカを浮かべていざ出発。見上げると遙か彼方に虫穴岩がポツンと小さく見えた。ブナの巨木が気持ちよい広々とした登山道をゆっくり登る。当然おしゃべり三人組の四方山話は尽きることがない。ここは静かで眺望も良い割に登山者は我々のみ、その他タケノコ採りの人が2人ほど、静かすぎてゴロちゃんが出てきそうだが、我らの会話のやかましさはトランペット以上、誰もそんな心配などしてないのだった。


   
緑溢れる大倉滝      と    屏風岩に残った残雪に驚く

雪が消えたばかりの路傍に可憐に咲く花を愛でながら、唐獅子平まで上がると鳥海の雄姿も迫力が増す。考えてみると筆者が最後にこのコースを登ったのは、今の小屋が出来る前だから相当昔になる。早速小屋の中を覗くとなかなか綺麗に整理され、寝具やストーブもあり快適な一夜が過ごせそうだ。
外に出ると、ここのシンボル唐獅子岩と隊員達が無邪気にじゃれ合っていた。なんともまあ不気味な光景ではあるが・・・


   
可憐なサンカヨウ    と    唐獅子とじゃれ合う隊員

ここから外輪まではほぼ直登、未だ広大な残雪があり十分スキーも楽しめる。でも、ここまでスキーを担ぎ上げることを考えたら気が滅入った。
もう先が見えたので、ここから各自のペースで勝手に登り始める。外輪上は登山者がひっきりなしに通る。我ら3人が必死に登って来る姿が珍しいのか、歩を止めて変な動物でも観察するかのような視線が悲しい。
それでも何とか稜線に到着し振り返ると、遙か彼方に大清水の小屋や駐車場が小さくポツンと望める。下から仰ぎ見るよりは遙かに距離感があり遠い感じ、標高差1400mのすごさを改めて感じた。


   
外輪から俯瞰する見事なゲレンデ     と    ギャラリーの注目を集めた雪渓登行

外輪上は団体も混じり結構な人だかり、最後の隊員の到着を待って冷えた麦茶で改めて乾杯、新山なんてわざわざ行くところではないとは誰かの弁・・・
結局虫穴岩の陰で風を避けゆっくり昼食休憩する。
稜線の花はミヤマキンバイが眩しく、ツガザクラの小さく可憐な花がとても可愛い。イワウメはまだまだこれから、誰かさんお目当てのチョウカイフスマはまだ葉も出ていない。七高山に行ったらまたまた大にぎわい、新山の上にも結構の人がいた。改めて考えたら今の時期にこの場に立ったのは何年振りだろうか・・・?


   
七高山2230m    と    新山2236m

気が付くとあまりにゆっくりしすぎていた。急いで下山の準備をし稜線から雪渓に駆け下る。稜線直下の雪渓トップから歓声を上げ各自駆け下る様は、靴スキーやグリセードもどき、果てはカッパをわざわざザックから取り出しての尻セードまで様々、下界ではそれなりに大人の顔をして慎ましく生活する中年登山隊、しかし山での行動は幼少期に退行した悪ガキそのものである。
唐獅子平からの登りに1時間半ほど費やしたコースを、僅か24分で駆け下っていた。


   
輝くミヤマキンバイ     と     尻セードで豪快に下る隊員

唐獅子平では誰もいない筈なのに女性の歌声が聞こえ皆で?????
気味が悪いので、傍らのタケノコに目もくれず振り向くことなく我先に駆け下る。
最後の休憩ポイントの大倉では、大倉滝を隔てた先の雪渓に黒い点をめざとく見つける。これも遠目が利く中年ならではか・・・
当然近くは見えないのだが、よく見るとゆっくり動いている。さらにズームアップして虚ろな焦点を合わせると、間違いなくゴロちゃんであった。

幸いにも相手は滝を隔てた対岸、常日頃の不満を、ああでもない、こうでもないと、まくし立てるが、誰も口には出さなくとも内心胸をなで下ろしていたのは言うまでもない。その後少々引きつった顔で辺りを気にしながら先を急ぐのであった。

下山後、小屋前の水場に浮かべたスイカに、幼子のように無心でむしゃぶりつく快感・・・
その後駐車場で解散となったが、人気の鳥海にあって山頂付近の喧噪が嘘のように静かな、ここ百宅口の良さを改めて認識した中登隊の山行であった。

隊員の皆様、遠路ご苦労様でした。また次回も何処かでよろしくお願い致します。
お互いゴロちゃんと遭遇しないよう注意して山遊びしましょう。(^.^/)))~~~bye!!