【のんびりと快晴の障子ヶ岳周回】


粟畑付近からの障子ヶ岳

【日 程】2007年6月3日(日)
【山 域】朝日連峰
【山 名】障子ヶ岳(1481m)
【天 候】晴れ
【メンバ】単独
【コース】バカ平→紫ナデ→障子ヶ岳→粟畑→バカ平
(概 略)


バカ平(6:50)---(9:14)紫ナデ(9:22)---(10:15)障子ヶ岳(11:00)---(11:47)粟畑---(13:57)バカ平


週末の天気予報を見ていたら晴れ、何となくソワソワし仕事は上の空、残念ながら土曜日は休みじゃなかったので、日曜は何処に行くか結構真剣に悩んだのだが、久々に障子ヶ岳周回を試みた。

駐車場には数台の車、暫く林道を歩くと山菜採りの車があちこちに停めてある。登山道に入り出谷吹沢を渡渉すると急登の始まり、相変わらずの亀足でそろりそろりと登る。登山道には下の方ではオオイワカガミが多く咲いている。ふと視線を上げると大蛇が行く手にごろり、ギャッと悲鳴を上げ飛び退く。
下の方の樹林帯は鬱蒼としすっかり夏山の雰囲気、急登でぐっしょり汗を絞られる。

この日の展望は抜群で、駐車場からも障子のエグイ絶壁が綺麗に望めたが、高度を稼ぐに従い朝日主脈が刻々と姿を現す様は、このコースの大きな魅力というか醍醐味だ。
1100m位に結構の残雪、ほてった体には丁度良い。それにしても暑い日だ。
ここは登りも辛いが下りはもっと辛い。これを障子マジック【?】と言う。
周回で回る殆どの人は地形図を読むと粟畑を目指して登り、紫ナデを目指して下ると思われるが、我が中登隊の隊長の一言で私の認識も変わったのである。

夏色から一汗で緑眩しく萌えるブナの葉に景色が変わると、残雪も混じり一年で一番綺麗な表情を見せてくれる朝日の峰々は、その場に身を置くだけで心の底まで癒される。
稜線の心地良い涼風に身を任せていると、ぐっしょり絞られた汗もサラッと瞬時に乾き心地良い。こんなに心から登山者を歓迎するような機嫌の良い顔を見せてくれることはめったにないので、ゆっくり歩を進め紫ナデに到着し暫しの休息、道端にはカタクリが群生し、反り返った花弁の艶姿は、喩えは変だが三つ指をついたきれい所のよう。
ミネザクラも咲き始め、いよいよ天上の花々がその美しさを競い合う季節が始まった。


   
出迎えのカタクリ      と      1200m付近からの障子ヶ岳

穏やかな起伏で片側が鋭く切れ落ちた登山道は、スリルと共に素晴らしい展望を併せ持つ。
この日の展望は特に素晴らしく、立ち止まってぐるっと見回しても遮る雲一つない。
右に名峰月山、左手には朝日の主脈の、ため息が出るほどたおやかな展望、正面には迫力ある一枚岩のような障子の絶壁が迫り、振り返ると葉山から蔵王の峰々、船形山の遠望が楽しい。庄内側は今冬登った摩耶山も、湯ノ沢岳や母狩山共々クリアに見渡せる。
日差しは強いものの、稜線にそよぐ風は非常に穏やかで涼しく心地良い、こんな日は下界で溜まったストレスをそっと山の風に流してみる。山の大きな懐は全てを優しく包み込み、汚れ傷ついた心や体をきれいに癒してくれる。人間なんていくら威張っていようがちっぽけなもの、少しも偉くなんてないのだ。


   
紫ナデからの主脈展望    と    直下からの障子ヶ岳

途中天狗小屋管理人のY田さんとスライド、暫く立ち話をする。今度いっぱいお酒を持って遊びに行こう。朝日の小屋番さん達は、この週末から殆ど管理業務に入ったようで、大朝日のO場さんも張り切っているらしい。
その後10数人のエコプロの団体さんとスライドし、頂上への最後の急登は日頃の不摂生が祟りとても辛かったが、頂上では拾った雪でキンキンに冷やした麦茶が、何はともあれ生きていることの幸せを教えてくれた。

遮るもののない頂上での展望は比類無く素晴らしい。時を忘れて過ごす。
残雪が心地良いアクセントを付け、連峰の山肌は360度どちらを向いても見飽きることがない。特にここからの以東岳は非の打ち所がないほど完璧な展望だ。傍らの無線機からは、遠く焼石岳から夏山開きの声や、秋田男鹿半島の寒風山からのクリアな声が届いた。
本当はここにテントを張って泊まりたい気持ちなのだが、後ろ髪を引かれながら出発、障子池は未だ深い残雪に覆われていた。いつものビューポイントで新緑に彩られた障子を撮影、再度粟畑への急登に喘ぎ、連峰の展望に別れを告げ、天狗小屋には寄らずに下山する。


   
完璧な以東岳           と        紫ナデから月山へと連なる嶺々

雨量観測所の上は残雪が多くガスった日には注意が必要だろう。靴スキーで快適に下る。考えてみたらこの道を下るのは何年振りだろう。こちら側から眺める障子はピラミダルでまた違った雰囲気、なだらかな月山と並んだ姿がまた面白いのだ。
夏道が殆ど出ていたが、数カ所残雪で切れていた。竜ヶ岳下の水場付近の残雪が一番嫌らしかったが、少し注意すれば問題ない。後はグングン下るだけ、それにしても下界は暑い。辿り着いた駐車場には何処かで見た顔が・・・
何と西川山岳会の会長が巨大なザックを車に積んでいた。中身が何だったかは、ご想像にお任せする。
頂上直下でスライドした団体さんもほぼ同時に到着、やあやあどうもと笑顔の再会、私は荷物を車に放り込むやスタコラサッサと逃げるように、一人大急ぎで大井沢温泉を目指したことは言うまでもない。

下界では山と違って迅速な行動をモットーに暮らしているのだ・・・(冷汗)


   
障子三山?    と    障子池からの定番風景