【湯殿山南斜面】 
                      (山スキー)


1365ピークからの湯殿山山頂

【日 程】2007年3月24日(土)
【山 域】霊峰出羽三山
【山 名】湯殿山(1500m)
【天 候】曇
【メンバ】5人
【コース】志津 → ネイチャーセンター → 湯殿山 → 志津
(概 略)


志津(9:00)---(12:07)湯殿山(12:25)---(14:50)志津



いつも朝日で大変お世話になっている西川山岳会のE藤さんから湯殿山へのお誘いを頂いた。山行後に山岳会の「大井沢湯豆腐を食べる会」にもとのこと、参加の場合は「大量」のアルコールを持参とある。大量とは一体どの程度なのか、かなり真剣に悩んだ。

今日は山岳会のT彦さんと亀ちゃんも一緒、隊長や色々な人達から数々の有名な武勇伝?を散々聞かされていて、私にとっては何年も前からの知り合いのような感覚なのだが、何故か不思議なことにT彦さんとは初対面である。
彼の代名詞でもある所謂「たっちゃん状態」は全国的に通じる形容詞だそうな。

車止めにはもう既に数台の車があった。山岳会のY中さんの車もあり、多分単独で早朝に行ったのだろうと噂する。
共に地元では有名人、会う人達は皆知り合いの様子で盛んに声を掛けられる。
T彦さんがトップで標識下の雪だるまに見送られシールで出発、気温が高く私などは初めから下着のシャツ一枚に捻り鉢巻きで登る。五分も歩くと皆暑くてたまらず上着を脱ぐ。

雪で埋まった石跳川沿いに暫く進むとネイチャーセンターの建物が現れた。3月に降っ雪が思いの外多く、暖冬と言われる今年も、ここではこの時期去年以上のの積雪量があるとのこと、太いブナの林を気持ちよく進む道中は、馬鹿話に花が咲き賑やかだ。目指す湯殿山の頂は溜息が出るほど高く純白に光輝いて誘惑している。


石跳川から目指す湯殿山を見上げる

途中E藤さんが、いつもこの辺から右岸側の尾根に取り付くんだと説明してくださったが、先頭を行くT彦さんは、たまには違うルートで行くのもいいんではないかいと構わず沢沿いにずんずん進む。要はラッセルが嫌で先行者のトレースを追っていただけなのだが、さすがにかなりの回り道だと気付いて急登に取り付く。

かなりの急斜面を斜登行を繰り返し一気に高度を稼ぐ、名コンビ”タツ&ヒロ”の火花を散らす心理戦は絶妙の阿吽の掛け合いで、下手な漫才を聞くより断然面白い。大受けしながら1350ピークを目指し尾根を登行する。
登行に際して発生した雪片が転がり、俵雪のようにバームクーヘン状になっているのを見たらお腹が鳴った。

   
急斜面の登行      と   美味しそうなバームクーヘン


森林限界を抜けると雄大な朝日連峰のパノラマがドッカンと目に飛び込んで来た。あいにくの曇天で視界はあまり良くなかったが、主峰の大朝日も何とか望め暫く撮影に没頭する。

   
純白の世界への誘い    と    仲良く登行する二人

1350m地点で大休止、目の前に迫る山頂の巨大な雪庇を目指し、純白の稜線上を登行する先行者の姿が絵になり格好いい。さすがに稜線上は風が冷たく皆アウターを着用、ここから一登りで山頂だ。
途中巨大な雪庇のビューポイントで、またまた撮影に没頭、先頭を行くE藤さんは振り向きもせず凄いスピードで突き進み見えなくなった。去年エベレストでこんな雪の光景なんて嫌になるほど見てきたのだろうと思った。

   
すんごいスピードで先行者に追いつくE藤氏        と        大きく張り出した山頂の雪庇

山頂部には二人の先行者、月山の山頂もすぐ手が届きそうなほど近い。北東に伸びる真っ白な稜線には二人の先行者が張り付いている。西側に見える仙人岳のピークが思いの外良い姿だ。湯殿山参籠所の赤い大鳥居が見える場所で、T彦さんに色々解説していただく。


   
山頂からの月山   と   仙人岳


すぐにシールを外し5人で記念撮影後、T彦さんが絶賛する南斜面に向かう。
取り付きは小心者の私など、はっきり言ってびびる急斜面、そこからカール状に長大な斜面が続いている。暫く眺めていると圧倒的高度感に気持ちが引き締まる。
こんな垂涎の美しい斜面に何故かトレースはない。喜び勇んでT彦さんが急斜面に飛び込む。彼はプラブーツに山スキー、何であんな綺麗なターンで滑れるのか世界の七不思議だ。

下部は完全な腐れ雪、これには皆転倒を繰り返す。名人T彦さんも頭から突っ込んでいた。亀ちゃんがまだ来ないついでに、腹も減ってきたので皆で馬鹿話をしながら食事。改めて下から見上げていると斜面の雄大さに溜息が出る。こんな感動的な大斜面を見たことがない。もう少し雪質が良かったらどんなに楽しめたやら…
後はザラメになるのを待つしかないか・・・


下降途中、湯殿山南斜面を振り返る

そうこうしているうちに亀ちゃんも到着、驚いたことに誰も成し得なかった悪雪でのターンを見事に決めて降りて来た。皆その急激な上達に舌を巻く。

ここからは先行者のトレースを拾い平坦なブナ林をゆっくりと下る。途中兎が飛び出し文字通り脱兎の如く駆け抜けていった。
ネイチャーセンターの建物が現れると、楽しかったこの日の山行ももうすぐお終い。
姥沢への道路の除雪も大方完了の様子、今年も雪の回廊が楽しめそうだ。

志津温泉では道路沿いに「雪旅籠の灯り」のイベントの為、芸工大の学生さん達が、積み上げた雪でアート製作の真っ最中、夜はライトアップされとても綺麗だとのこと。機会があったら一度見てみたい。
しかし我々は大井沢温泉へと脇目もふらず車を飛ばしたのは言うまでもない。

御一緒した皆さん本当に楽しい山行でした。心から感謝申し上げます。
また機会がありましたら是非御一緒させてください。



もしかして、大井沢豆腐の会の様子を見たいという奇特な方は、ここをクリックしてみて下さい。