【月山森、宮様コースから】
                                 (山スキー)


月山森山頂から純白の千畳ヶ原と笙ヶ岳

【日 程】2007年3月4日(日)
【山 域】鳥海山(湯の台コース)
【山 名】月山森(1650m)
【天 候】曇
【メンバ】単独
【コース】車止め → 宮様コース → 月山森 → 車止め
(概 略)


駐車場(7:35)---(8:44)宮様コース入口---(10:05)滝の小屋(10:16)---(11:10)月山森(12:30)---(13:14)駐車場


目覚ましで飛び起き急いで窓から外を眺めると曇天ながら鳥海が見えた。予報でも晴天とのこと、そそくさと準備をして飛び出したら地図を忘れたことに気付く。風もなく静かな日だ。

車止めの駐車場には誰もいない。準備をして出発、朝の内は雪も硬くシールも効いて順調に高度を稼ぐ、途中一人のおじさんが上から降りてきた。前夜何処かの小屋に泊まったようで(後で山雪荘と解る)先行者が3人いるとのこと。雪が硬いとぼやきながら「まんずのお〜」と調子よく下っていった。

宮様コースに入ると先行者のワカンの足跡を追うも全然追いつけない。見上げると遥か先の森林限界あたりに二人確認できた。今日も前回同様に風もなく気温も高いのでアンダーウエア1枚で手袋も外し腕まくりして登る。眺望は思いの外悪く月山も雲に隠れて見えない。でも、日本海側は比較的眺望が利き粟島と佐渡が海にぽっかり浮かんでいるのが何とか確認できた。

滝の小屋に着くと先行していた二人(多分御夫婦)が出発の準備、昨夜は山雪荘に泊まりここまで登って、これから車道を下るとのこと。小屋の中には先行していたワカンパーティーが休憩しているようだ。
ここでパンを一切れお腹に収め天気も良いので上を目指しそそくさと出発、前回は西側の斜面がクラストしていたので東側を大きく回って河原宿を目指す。先行者が一名確認できた。彼?はアイゼンを履きツボ足のようだ。同じようなルートを取る。

この日は雪が柔らかくアイゼンなど無くても十分ツボ足で登れた。スキーのシールも良く効き快適な登行だ。それにしても今年の雪の少なさには驚く。もう外輪のハイマツが顔を覗かせている。誰かが今年の山は一月早いと言っていたが、鳥海は去年より二月早いような気がする。5月の連休でも上の方は白一色が当たり前なのだが・・・

純白の真っ平らな雪原と化した河原宿は、それでも小屋は完全に雪の下でどこにあるかわからない。小屋の上にあるトイレの屋根がほんの少しだけ出ていた。と言うことはこの辺で10m位の積雪はあるのだろうか?
時折シュカブラが荒波のように行く手を邪魔するが、歩行は快適で月山森がグングン近づく。ふと考えると、冬にこっちから月山森に登るのは初めてなんだった。

少しだけ日射しが増し明るく感じ始めたらヒョッコリ山頂に到着、ハイマツがかなり出ていてびっくりする。冬季二度目の登頂だが前回はホワイトアウトの中・・・改めて景色を堪能、ここからの千畳ヶ原と笙ヶ岳方面の雪景色はいつ見ても神々しい美しさだ。早速麦茶で喉を潤す。


   
月山森山頂から外輪方面    と    三ノ俣方面
いかに雪が少ないか理解できるのでは?


突然静寂を破る耳障りなエンジン音が山全体にこだました。お浜の方から聞こえる。多分スノーモービルだろうが、その便利さは理解できるが、彼らと我々山屋は永遠に解り合えない人種なのだろう。以前は湯の台からもかなり上まで入っていて、スキーウエアに身を包み後ろに綺麗な女性を乗せ、ろくな装備も持たないで轟音と共に走り去っていったのに出くわした記憶がある。イヌワシの生態に影響が出るとかで禁止になったと風の噂で聞いたことがあるのだが・・・

気を取り直して雪景色を楽しむ。ふと三ノ俣方面に目をやると単独の男性が登ってきた。挨拶すると、ここが月山森かと聞くのでそうだと答える。ワカンを背負い長靴で登ってきた様子にびっくりする。登路の様子を聞くとスキーは到底無理だとのことで予想はしていたがショックだった。


   
真っ白な世界にピョコンと鍋森      と    月山森の融け始めたシュカブラ群


あまりにゆっくりしすぎたので、一人だけの山頂を彼に明け渡し下る。途中シュカブラに突っ込み大転倒、しっかり見られた。
滝の小屋を目指し優雅に下っていくと誰かが登ってきた。立ち止まり挨拶するとあれ・・・
何と去年稲倉をご一緒したユウさんだった。10時頃から横堂を通って来たらしい。相変わらずの健脚だ。Mさんの話をしたら今日は品倉山に行ってるとのこと、今期月山森へは3回登ったそうだ。またご一緒しましょうと別れ快適な斜面に後ろ髪を引かれながら下る。

宮様コースに入ると雪は腐れ、曲がらない、滑らない、止まらない、で雪との格闘が下まで続いた。それでも何とか到着し何気なしに振り返る。
おおお・・・ 何とそこにはユウさんがいるではないか。
目が点になった。彼はやっぱり超人だ。

今年はもう春スキーのようで上に行かないと滑りは楽しめないねと共通の意見、スキーの楽しみは滝の小屋から上だけ、もちろんパウダーはもう終わりでザラメの滑りを楽しむほかない。ユウさんを車のデポ地まで送り、後はひたすら温泉を目指したのであった。