【久し振りの宮様コース】
                                    (山スキー)


滝の小屋上部から
遠方は神室連峰


【日 程】2007年2月18日(日)
【山 域】鳥海山(湯の台コース)
【山 名】宮様コース(1360mまで)
【天 候】晴れ
【メンバ】単独
【コース】車止め → 滝の小屋上 → 車止め
(概 略)


駐車場(7:56)---(9:04)宮様コース入口---(10:33)滝の小屋(10:49)---(11:10)1360m(11:40)---(13:00)駐車場


久々の宮様コース、前回は今のスキーを買ったときに来たのだからおよそ二年振りになるだろうか、前回は最初から最後まで激ラッセルで精根尽きた記憶がある。もっともその頃は山スキーを始めたばかりで、トレースの後を歩くのがいかに楽かなんて知る由もなかったが・・・

正月休みに様子見に来たときに偶然御一緒した方から仕入れた情報で今回はちょっとルート変更、かなりの時間短縮になることを実感する。まあ、知らないと言うことは恐ろしいことで、今まで歩いてきた道程は何なんだったんだという感じがする。

今年は暖冬の影響で鳥海も雪が去年の1/3と言った感じ、いつもの三ノ俣は下から双眼鏡で覗くとブッシュが見えたので今年はもう諦めた。ここのところの陽気で融雪が始まり山菜もじきに芽を出すんじゃないかという陽気だ、ラッセルなんて全然しないで宮様コースの入口まで到着、ここからブナの樹林帯の登りになる。トレースは昨日のものか?今日は私が一番乗りのようだ。さっき下に一人見えたような気がしたが、風もなく怖いぐらい静かで穏やかな天気だ。当然暑いのでアンダー一枚で登る。まったく2月の厳冬期だというのが信じられない。

   
達人の見事なシュプール   と   滝の小屋と外輪


途中第4斜面の辺り迄来たら、西側の尾根筋からの綺麗なトレースが目に飛び込んできた。かなりの達人だろう。
1000m付近からやっとパウダー、でも気温の上昇は間違いないのでこれも時間の問題、とにかく暑い、ほとんど休憩無しで来たものの喉は渇くのでザックから水を出してはとにかく飲む、およそ一月ぶりの山歩は鈍った体には思いの外効く。

森林限界を過ぎると所々クラストしシール登行が厳しい、ストックも刺さらない場所もある。残念ながらスキーアイゼンを持っていない、と言うか去年から行方不明なのだ。いったい何処に置いたのだろうか? 中年の健忘である。困ったなあ・・・

秋田の師匠の影響で基本的にピッケルやアイゼンなんて持たない事にしている。と言うか、そう言う場所には行かない山スキーをしているので、この日のように天気が良く、登行の条件が揃った場合は後悔することもある。でも良く考えてみると私は雪山素人な訳で、調子に乗って登ると高所恐怖症の身で、あらら降りられないなんて事も十分考えられるのである。
まあ装備を持たなければ無理もしないし、案外自己防衛の観点からも有効なのかなと一人変に納得する。(かなり変な理屈のような気もするが・・・)

ブナの林を上り詰めると視界が開け曇天なりに視界が開ける。正面の月山がすごく近く見える。その隣は村山葉山か?蔵王や朝日の峰は残念ながら見えない。
その代わり東方の名だたる峰々はクリアーだ。北から焼石、栗駒、虎毛、神室、峻とした火打の頂が一際目を引く。真っ白に雪化粧した銀嶺が鉛色の雲にぽっかり浮かび、こんな景色も長く鳥海に登っていながら初めて目にしたような気がする。下界には雪が全くないので雪の着いた高峰が一際目立つのだろう。改めてモノトーンの雪山の魅力に強く心を揺さぶられた。

滝の小屋まで這々の体で何とか到達、小屋前のベンチが露出していたので荷物を下ろし小屋の中を覗くが中には誰もいない。外の方が暖かいのは明白なのでベンチで日向ぼっこレスト・・・
実は中登隊のグッチさんからこの土日に鳥海アタックを誘われていて、E藤さんを筆頭に某山岳会との邂逅を密かに期待していたのだが、予定変更だったのかな?

時間も早いのでもう少し上まで山歩することにした。少し登ると後続が見えた。5人位か?
調子よく登っていたのだが途中から完全に斜面は氷となる。そのまま西側にエスケープし露出した岩の上で少し早いが昼食とする。アイゼンを持参してたら月山森や、上手くいけば外輪まで届きそうな条件だったが、まあ諦めるより外無かった。

        
森林限界からのモノトーン出羽山地         と    相変わらずの下手なシュプール

小屋までの滑走は良い感じ、そこから下はクラストした斜面で手入れを怠った私のスキーでは歯が立たない。横滑りで慎重に安全地帯まで下りレスト、ザックから麦茶を出して喉を潤す。累々と連なる出羽山地の豊かな自然に改めて目を見張る。
そこから暫くはパウダーのツリーランが快適に楽しめたが、標高が下がるに従い雪が重くなりすぐに息が上がる。

天気がよいので後続が続々上がってくる。登るのも下るのも一番乗りのこの日、このころには、既に温泉に浸かっている自分を強くイメージしていた。