【初冬の鶴間池山歩】
                     鳥海湯の台口


晩秋から厳冬への移ろい

【日 程】2006年11月19日(日)
【山 域】鳥海山
【山 名】鶴間池(820m)
【天 候】晴
【メンバ】単独
【コース】登山口から鶴間池
(概 略)


山雪荘前(12:07)---(12:43)鶴間池小舎(13:05)---(13:57)山雪荘前


中年になると何かと野暮用が多く久しく山行してしてない。本日も家の雪囲いや車数台のタイヤ交換など野暮用が山積していたが、天晴れな鳥海を朝から眺めながら仕事をしていたら精神衛生上非常に悪く、11時頃とうとう我慢が出来なくなり仕事を放棄する。そそくさと車に適当に荷物を放り込み大急ぎで出発する。
時間も遅いので、久しく訪れていない鳥海の鶴間池へ向かってみる。

湯の台の三叉路を過ぎ雨量観測所の辺りから路面に雪が現れる。山雪荘前まで何とか無理して圧雪を進むと数台の車が停まっていた。昼食のパンを頬張りながら合羽を着込み、スパイク長靴を履き先行者のトレースを追う。踝あたりまである雪は歩くのにはそれほど苦にならない。むしろ久々の山歩きに自然と口元がほころぶ。
葉を全て落とし白い樹皮をむき出しにしたブナは寒そうだが、樹間から垣間見える真っ白な外輪が青空に映え、足取りがだんだん軽くなるような気がする。

急斜面を下る入口で先行者のトレースは消えた。何処に行ったか不思議だったが、まあいいやと斜面を駆け下る。ここから鶴間池までは穏やかな登りが続くのだが、先日の強風によるのだろう、かなりの倒木が確認できた。鶴間池小舎もその被害に遭い全壊という話を聞いたが、この目で見るまで何となく信用できなかった。が、現地に到着してみたら小舎の入口部分しか残っていなかった。
関係者のご努力である程度片付けられてはいたが、痛ましい姿に心が痛んだ。

  
ブナ林の中の鶴間池小舎

湖面に映る外輪山


  
無惨な姿の鶴間池小舎

直撃した倒木の年輪(樹齢約130年位)


静かな湖面には白く輝く鳥海が綺麗に映る。写真を少し撮り持参のコーヒーを一口飲み一息ついたらすぐに登り返す。
大勢の踏み跡が続いており助かった。そのままのぞきまで登る。途中、神室連峰や遠くに純白に輝く山並みは焼石だろうか・・・
澄み渡った綺麗な展望を楽しみながらゆっくり登る。風もなく穏やかなのだが、ゴウゴウと沢を流れる水音だろうか、月のクレーターのような湖面から真っ青な上空に向かって静寂にこだまする。

のぞきには巨大な望遠レンズを構えたカメラマン氏がどっしり構えていた。少し話をするとやっぱりイヌワシ狙いとのこと、今日は午前中に親子で優雅に飛翔する姿が見れたらしい。
ふと物音に気付いて振り向くと、単独のスキーヤーがゆっくり下っていく。一体何処まで登ったのやら・・・

  
湖畔からの外輪山  と  ズームイン

下りは雪の積もった車道を遠望を楽しみながらゆっくり下る。霊峰月山が一際白く、日本海も優雅な午後の陽差しにキラキラと輝いている。暫く天気が悪かったのもあってか、気持ちの良い晴れた午後に久々心が安らぐ。
やっぱり山は良い。これからやって来る厳しく辛い季節が幻のような穏やかで心安らぐ山歩であった。


のぞきからの鶴間池



午後の陽差しに輝く日本海