【中年登山隊 裏?朝日縦走す】
                               Chapter-1


龍門山からの寒江山と以東岳

【日 程】2006年8月12〜14日(土〜月)
【山 域】朝日連峰
【山 名】竜門山(1687m)寒江山(1695m)障子ヶ岳(1481m)
【天 候】8/12晴れ後雷雨後晴れ 8/13晴れ後雨後晴れ 8/14晴れ
【メンバ】中登隊4人+ゲスト1人
【コース】8/12 日暮沢→龍門小屋泊
(概 略) 8/13 龍門小屋→寒江山→三方境→二ツ石山→天狗小屋泊
     8/14 天狗小屋→障子ヶ岳→紫ナデ→バカ平


☆第1日目 雲上の楽園、龍門小屋へ

8/12 日暮沢小屋(7:50)---(11:30)清太岩山---(12:08)ユウフン山---(13:19)龍門小屋


中年登山隊夏休みの山行は、朝日連峰二ツ石コース。今回のメンバーの内四人は、ほんの二週間前にも朝日の以東岳や龍門に遊んでいる。はっきり言ってまったくもっての朝日キチガイである。

今回のメンバーは、いつものA.TOM隊長、higurashi隊員、私とは何故か初対面のI籐隊員、彼は隊長と同郷である。それに紅一点でわざわざ大阪から参加のS田さん、彼女は隊長の趣味仲間でもあり山歩きでなく道歩きの達人、うら若き乙女である。

大井沢温泉に7時集合と言う指令、ここからバカ平に車をデポし一台に乗り合わせで日暮沢に向かう。バカ平では強烈なアブの襲撃を受ける。
日暮沢には夏休みだというのにほとんど車がない。天気は晴天、風も弱く熱中症が心配される。水をたっぷり汲みゆっくりと出発、私のザックには朝日ビールが1ダース入っている。こんなに背負って登るのは初めての経験だが、何しろ二泊もしなければいけないので当然皆さん同じくらい持ってるだろうと思ったが甘かった。

急登に向かうとすぐに大量の汗が噴き出す。風もなく暑い、絶対日焼けすると言いながら登るが、だんだん雲行きが怪しくなり、真っ黒な雲が頭上に広がりだしたかと思うとポツリポツリと雨が落ちてきた。ゴロビツの水場を過ぎたあたりで仕方なく合羽を着る。とすぐに本降り、ゴロゴロと遠くで雷鳴も聞こえる始末、晴れ男の隊長と私が参加なので雨なんて全然予想してなかったのだ。互いに責任をなすり合う。

すぐに強烈な雨足となり登山道は濁流の沢と化す。大シンバルを耳の側で鳴らされたような強烈な雷鳴も近い。隊長命令で荷物を放置し少し離れて身を低くして待避である。頭上で何度もけたたましく雷鳴が響き、稲妻が目の前で光る。およそ40分身を低くして停滞、しかし隊長は一人立ち上がり雷見物、何でも稲妻を見るのが大好きなんだそうだ。やれやれ、まったくもって困った人である。

目の前で稲妻が大轟音と共に残像を残してバリバリ光る、こっちはヒヤヒヤしているのに、一人ニヤニヤと笑顔で立ち上がってはそれを楽しんでいる。他の隊員は寡黙に身を低くし、雷様が通り過ぎるのを祈るような気持ちで待っているのだが、この人は本当に正常な神経を持っているのだろうかと、皆少し遠巻きに関わり合わないように知らんぷりしていたのは言うまでもない。

お盆だというのに墓参りもせず、山で遊び呆けている中年登山隊に、ご先祖様が怒髪天を突くで怒っているのかも知れない。それが証拠にさっきまで茹だるようだった熱風が気味が悪いほど冷たい。汗で濡れた体が急激に冷え寒いと感じた隊員も多かったことだろう。私は密かに心の中でラーメンと十字を切って唱えていた。

祈りが通じたのか雷様(ご先祖様か?)はじきに通り過ぎたので先に進む。すぐに下山者とスライド、中にさっき我々をパスしていったMさんが雷にビビって戻ってきた。前夜龍門に泊まっていた西川山岳会の二人ともスライド、驚いたことに二人はあの雷の中稜線を歩いてきたという。もっともあまりにも突然だったので稜線じゃ逃げようがないのも事実だが・・・
隊長がつぶやく「雷女はS嬢だな・・・」
一応断って置くが、西川山岳会のS嬢はとても清楚な美人である。あくまでもA.TOM隊長が個人的に言っていたのだ、誤解無きようお願いする。

未だ少しゴロゴロする清太岩山のピークを通り過ぎユウフンとのコルでレスト、龍門管理人のE藤さんに無線で現在地を伝える。ユウフンへの急登を登り返すと雨も上がりマツムシソウが歓迎してくれた。視界はどんどん良くなり雄大な主稜線が姿を現す。雨上がりのこともあり、とてもクリアな朝日である。小屋の近くまで来たら懐かしいE藤さんの顔が見えた。およそ一年振りの再会である。

   
龍門小屋前での宴会

熊肉の御馳走


とりあえず中に入り朝日ビールで速攻の乾杯である。外の方が陽差しもあり気持ちよいので小屋の前に銀マットを敷き、車座になって景色を眺めながら朝日ビールを呑み始めたら恐ろしきは中年登山隊、あっという間に苦労して背負ってきた1ダースを飲み干す。
その後小屋の中に場所を移し本格的な酒宴に突入、各自持ち込みの食材や酒が豪快に乱れ飛ぶ。

I籐さん持ち込みのステーキや、E藤さんの好意でいただいた熊肉等、下界ではお目にかかれない御馳走に皆舌鼓を打つ。2日間何とか保つかと思った朝日ビールは全て飲み干し、E藤さんのお世話になってしまい非常に申し訳なかったが、8時消灯まで怒濤の宴会が続いた。
中でもこの春にエベレストの登頂に成功したE藤さんのお話は、多くの労苦と感激がリアルで涙が出そうであった。人間、夢は見るものでなく叶えるものであるという彼の人生訓に隊員達は目を輝かせて聞き入っていた。
この日の龍門小屋宿泊者は我々5人の他、単独の方が3人と例年になく少なく他の小屋も同じような混み具合とのこと。まあ今年は天気が悪いので仕方ないのだろう。

消灯後、未だ呑み足りない隊長と私は外に出る。遠い街の灯りが綺麗だった。稜線の黒いシルエットも味があり良いものである。水割りとヘッドランプを持参し何やかやと話し込んだのだが、内容は残念ながら失念してしまった。
以後就寝時間不明 zzz


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