【中年登山隊、コマクサに胸キュン】
                                   岩手山に遊ぶ


通常のコマクサ(山頂部)
マウスポインタを置くと焼走のコマクサが出ます。

【日 程】2006年7月9日(日)
【山 域】岩手山
【山 名】岩手山(2038m)
【天 候】晴
【メンバ】2人
【コース】焼走 → 山頂 → 馬返
(概 略)


焼走(5:44)---(8:07)ツルハシ分レ---(9:10)平笠不動小屋---(10:22)山頂(お鉢一周)山頂(11:38)---(12:15)八合目小屋---(14:40)馬返


昨年話題になったA.TOM隊長のコマクサ情報を確認すべく、岩手支部のhigurashi隊員に、おんぶにだっこの岩手山コマクサ鑑賞登山、定宿の花巻パーキングホテル泊にて行って来た。
ホテルエントランスに午前4時集合との指示、前日20時過ぎにチェックイン、ビールを大量に飲み干し就寝、翌朝定刻通りにhigurashi隊員は現れた。少々早い気もしたがそのまま滝沢インターまで進み、馬返に車1台をデポ、焼走に向かう。懐かしい岩手山温泉の建物はいまだ健在だった。

広い駐車場に登山者がポツポツと、今にも降り出しそうな分厚い雲に覆われた上空を恨めしげに見上げ出発、焼走溶岩流を左に眺め鬱蒼とした樹林帯をほぼ直線的に進む。なだらかな傾斜は朝の準備運動にちょうど良いが、体調整備不良の隊員がいつの間にか姿を消す。

相変わらずのおしゃべり山行、ペラペラとなめらかな会話が弾む。途中単独の女性がすざまじいスピードで駆け上がっていく。山岳マラソンの練習だろうか。
単調な道を1時間半も登ると視界が開けポツリポツリとコマクサが姿を現す。イワブクロも見える。そして暫くすると本格的に焼走名物、日本一のコマクサが姿を現した。

初めて目にするその姿は、はっきり言って驚異だ。すごい、すごすぎる・・・この世の奇蹟としか思えない。登山道の両側にビッシリ生えたコマクサ、コマクサ、コマクサ・・・
私が今まで生きてきて見たコマクサは何だったんだろう?
白馬、蔵王、秋田駒と・・・
信じられない光景が延々続く。
荒涼たる火山岩の砂礫地に根性の根を張り、他の植物が存在し得ない場所に一人気高く孤高の美を誇る。高山植物の女王と呼ばれひっそり咲くイメージは残念ながらここにはない。
一株に咲く花の数が尋常ではないのだ。50個も花を付けている株が珍しくもない。一面ピンクの花園は、極楽浄土に迷い込んだ気さえする。

中年登山隊は、綺麗な花を目の前にすると、山登りなんて放棄する集団のようだ。
勝手気ままに、あちこちの被写体を執拗に狙うその姿を、行き交う登山者達は呆れ顔で見つめている。


迷カメラマンの涙ぐましい撮影風景
higurashi隊員の力作は、このようにして生まれるのだ。


長いようで短いコマクサ群落を抜けると登山道はまた樹林帯に入る。ここからはシラネアオイが多い。途中higurashi隊員の知り合いと偶然遭遇、暫く談笑する。某山岳会と行動を共にする人で、信じられないくらいの量のビールを背負い上げたらしい。がっしりしたその体躯は山男そのものだ。方や我々はポッコリお腹の中年登山隊、ビールは好きだが足も遅い・・・

平笠不動の避難小屋では、どこからか抜かりなく仕入れた雪でキンキンに冷やしたビールで乾杯、山頂までもう一登りあるのだがまずは乾杯なのだ。
中年登山隊からビールを取ったら何も残らない。ビールこそ命なのだ。

突然物陰から何か飛び出した。素速い動きであっちに行ったりこっちに来たり、よく見るとオコジョだった。愛くるしい姿に、だらしなく目尻を下げ微笑む缶ビールをしっかり握った中年二人、オコジョにとってその姿はさぞかし不気味だったのだろう、さっさと茂みに引っ込むともう出てこなかった。
赤ら顔の中年登山隊は最後の急登に向かうが、当然の如く荒い息づかいの割にチイトモ進まない。苦しさのあまりよそ見ばかりしているので珍しい花を見つける確率も高いのだ。(カメラを取り出し休憩するのが主目的か?)

お鉢までの急登は良い花がたくさんだ。コマクサは小ぶりでこちらの方が趣があるような気がしたのは贅沢というものだろう。
イワウメやイワヒゲ等の可憐な花に助けられやっとお鉢に到着した頃にはさっきまで晴れていた山頂付近はガスに覆われた後だった。


   
山頂にて

山頂で記念撮影の後お鉢を回って途中から不動平に下るつもりが、アレッ! 何故か苦しい登りが続く。突然ガスの中に白い可憐なお花畑が姿を現す。近寄るとイワヒゲの大群落だ。イワヒゲがこんなに一杯咲いてるところを見つけたのは初めてだ。二人でまたまたカメラの虫・・・

さらに進むとピークが見えた。すごい人混みにあれは何処だろうとhigurashi隊員に聞くと曖昧な答え、スライドしたパーティーに聞いたら何と山頂だという。???????
つまり、お鉢をぐるっと一周して山頂に再度登頂と言うことなのだ。
無駄な労力を費やしたことにガイドを責めると、イワヒゲの群落を見せたかったのだとうそぶく迷ガイドにあいた口が塞がらない・・・

残るは馬返に駆け下るのみ、登りと違い下りの足取りは共に軽快だ。八合目避難小屋でビールを冷やして再度乾杯して昼食休憩、風が少し強く肌寒いがビールはとても美味しかった。
岩手山の山小屋も殆ど改築され、トイレも水洗で快適な様子に時の流れを感じた。

馬返に下山後デポした車で焼走に戻り焼走の湯(500円)で一日の汗を流す。お土産に南部煎餅を買い。噂の盛岡冷麺を食べに向かう。冷麺にあまり良い印象がない私にhigurashi隊員はひたすら熱心に解説する。あまりの熱弁に恐怖を感じとにかく食べてみることにする。
「ぴょんぴょん舎」とは全国的に有名なお店らしい。辛み調節のカクテキは別皿で頼むのが通らしい。


高名な「ぴょんぴょん舎」の盛岡冷麺

スープを一口啜る。ウ〜ム、案外さっぱりしていて美味しい。正直もっとコッテリしたものかと思ったのだが、麺もシコシコして妙な食感なれどすんなり食べれた。食べ進むうちにだんだん癖になるような麻薬的味である。
最後の難題、赤いスイカに違和感を感じ最後まで残していたのだが(あまりスイカは得意でない)一切れ試しに少しだけ口に入れる。
オオッ!この甘みが何と心地よいことか。これは合う。絶妙なハーモニーだ。後は一気にスープまで啜り完食!!! 盛岡冷麺恐るべし。

日帰り速攻登山だったが、higurashi隊員のお陰でとても印象に残る岩手山であった。深く感謝である。


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