【夢の鳥海稲倉岳】
                    感激の「福士パラダイス」へ (山スキー)


快晴の新山、七高山と稲倉岳

【日 程】2006年3月25日(土)
【山 域】鳥海山
【山 名】稲倉岳(1554mの内1220mまで)
【天 候】晴
【メンバ】9人(庄内隊3人、秋田隊6人)
【コース】林道終点→七曲→福士パラダイス→往路を戻る 
(概 略)


駐車地点270m(7:50)---林道終点秋田隊合流330m(8:25)---七曲上部(9:23)---656ピーク側(10:11)---(11:12)二つブナ1045m(11:33)---(12:02)1220m地点(12:10)---(12:16)1170m地点にてレスト(13:08)---七曲(13:53)---(14:20)駐車地点


敬愛する秋田のなんど師匠から稲倉へのお誘いをいただいた。7時半に林道終点集合との一言メール、初めての場所ゆえ判らずウロウロするが、仙台からの単独テレマーカーにお聞きし何とか入口へ到着、しかし待ち人来たらず、場所を間違え先行されたかと思い、20分遅れで後を追うも、すぐに除雪された立派な林道が現れた。

突然「お〜い」と声を掛けられたのが庄内隊のメンバーだった。何処の誰が参加かも知らずの参加ゆえ初対面の人達ばかり、今日の庄内隊はMLでおなじみのミウラさんと同行のユウさんでした。が、秋田隊は未だ到着せずとのこと、雑談を暫し楽しんでると師匠の愛車が現れた。聞けば途中でオーバーヒート修理、自分の車も相当古いが師匠のも年代モンですなあ。最近修理費がチト痛い・・・

「福士パラダイス」とは多分師匠の命名でしょうが、(まったくこの人は面白い命名をなさる)昨年初めて訪れた場所だそうで、山頂方面はガリガリのアイスバーンでも、ここだけは別天地のようなパウダー天国なのだそうで、今回は山頂を目指さず「福士パラダイス」を極めるのだ。

改めて総勢9名で出発、雪は固く締まっており、ユウさんは最後までショートスキーを背負いツボ足で登られた。日陰の七曲の急登はガリガリに凍っていたが何とか通過、さすがにショートカットを繰り返すよしふた氏は速い。
小休止後、師匠は日焼けを恐れてかダースベーダーのようなホッカムリをして登っていく。ユウさんがその後に続き、我々はゆっくり後を追う。皆速いなあ・・・


     
左、七曲の急登上から振り返る

右、七曲を過ぎればルートの全容が現れる。


なだらかな656ピークの側で皆が揃うまで休憩、でも皆が揃ったらすぐに出発の声、師匠はパワフルに先頭を行く。大分歳の差はあるのだが?(失礼)少しだけ若い私は、やっとの事で付いていく。さすがに毎週山遊びで鍛えてるからか、たいした馬力と感心する。かたや、こちとらは下界の酒場で鍛えた身、体の出来方が師匠とはまるで違っており苦しいことこのうえない。しかし師匠に遅れては弟子など務まらないと必死で後を追う。

天気は快晴ピーカン、風も殆ど無く長袖の下着一枚で登っていくも全然寒くない。汗が大量に吹き出す。高度を稼ぐごとに展望も増し、雪原がピカピカ輝く稲倉と眼下の由利高原や日本海が綺麗だ。新雪も現れ滑走の期待に胸をふくらませながらセッセと後を追う。後続を大分引き離して「二つブナ」の休憩ポイント(1045m)へ、枝振りのすこぶる宜しいブナが二本並んでいる。ここは日本海からの風が強かろうゆえ、ブナの枝も仲良くシンクロしている。  絶好の休憩ポイントですな。
福士パラダイスまでこの後30分の登りとのこと、気温は4℃、日差しが強くペットボトルの水をほぼ飲み干す。


    
巨大な稲倉岳  と  656ピークからルートを見上げる



    
見事にシンクロした「二つブナ」とタフななんど師匠
and
振り返るとユウさんが登ってきた



皆が揃うとまたまた師匠が先頭を切って出発、途中から沢筋に一人向かっていった。聞けば谷筋からの景色がお好みな様子。あまり荒らさないでとお願いし、私らは尾根筋から上を目指す。このあたりから新山が見え始める。
紺碧の空に突き上げた間近で眺める急峻な北面の山容は絶景である。いつもはなだらかな南面ばかり眺めてノホホンと暮らしているので、こういう凛々しい光景は実に新鮮に感じるのだ。稲倉の偽ピークまでもう少しというところで、先頭を行くよしふた氏が下にいる師匠と大声で、雪庇からの下降ポイントを探っている。

それにしてもここからの景色は何という絶景だろうか。雪と氷の芸術を暫し堪能、ただただ感動感動、写真を撮りまくり撮りまくり、ため息をつきながら進む。
稲倉の山頂方面はガリガリで無理との予想から福士パラダイスへの予定だったが、あまりの好天に他のパーティーは全員山頂を目指している様子。せっかくだからと、よしふた氏とユウさんの三人でもう少し登ることにした。下から師匠が「そこだ」との指示、足場の悪い斜面でシールを外し下降準備、あっと思ったが、よしふた氏のストックがスルスルと流れていった。
ユウさんはツボ足で急斜面のトラバースを試みるも無理と判断して引き返す。


    
突然ニョキッと現れた新山と七高山
and
光り輝く稲倉岳(ニセピーク?)


   
感嘆の声を上げながら撮影した新山方面
and
筆者の華麗?な斜滑降シュプールと、必死でストックを取りに行く、よしふた氏



二人でギャラリーが歓声を上げて待つ休憩地へ滑り込む。と言っても40°ほどの急斜面をかっこよく決める技術と根性は私にはないので、華麗な斜滑降とキックターンでしたがね・・・
これでは心残りと、よしふた氏は昼食もそこそこに「いつ死んでも良いように」と言い残し、オイオイ町内会の会合に間に合うのかとのヤジには見向きもせず、空身でスキーを担ぎ、一人スタコラホイサッサと急な雪庇を登り返すのだった。

皆で悪態をつきながら待つこと暫し、上部の大斜面を気持ちよさそうにテレマークターンを決めながら降りて来るのが見えた。近くまで斜滑降で降りてくると
「ホンレ、よしふた、モト曲ギリィ〜〜」(※-1)と、やんやの大歓声・・・(しっかし、オモロイ人達やなあ)
彼の「抜け駆け快感滑走」を目にした全員は、来年こそはオラも山頂からここに滑り込むぞと決意を新たにしたのである。


   
大きく張り出した雪庇

「抜け駆け快感滑走」からやんやの大歓声のを浴びながら戻るよしふた氏



昼食後はただ下るだけ、超快感の滑降である。新雪混じりの締まった雪面はスキーも気持ちよく走り、皆思い思いに歓声を上げながらかっ飛んでいく。
それにしても師匠の飛ばすこと、飛ばすこと・・・
常にTopを切り、ついていくのが容易でない。まるで二昔前の暴走スキーヤーだよ。若いなあ・・・

しかし、本音は皆に斜面を荒らされる前に良い思いをしようとしているだけなのかも知れないが、そんな失礼なこと弟子の分際で口には出せないのだ。ホントの所は謎であ〜る・・・

斜度もちょうど良く、どこまでも切れ目なく続くスロープは、あっという間の一瞬の快感である。
「ヒューヒュー」「もしぇおら〜」(※-2)と絶叫し集団で下ってくる様は、洗練されたスタイルのシティーテレマーカーとはどこから見ても明らかに差異がある。
しかし、これがホントいいんだよなあ〜

「おらもさいこもしぇけ〜〜〜」


   
快感の「福士パラダイス」を滑り終えて
and
歓声を上げながら滑走する隊員達



※蛇足ながら方言解説 (東北地方にお住いでない方向け)

 ※-1 「ほらほら、よしふたさん、折角テレマ美女軍団みんなが応援しているんだから、もう少し華麗なテレマークターンを決めて見せてよ〜」

 ※-2 「ああ、今日の稲倉岳は天気も良くって美女にとっては日焼けが心配だけど、この快適で広大な斜面をみんなで気持ちよく滑れたことは、今年最高の山遊びで、とってもおもしろかったわあ〜」

と言う意味になります。



心に残った雪の造形



次回の目標斜面
上部のポツリ黒い点がよしふた氏



いいなあ雪山は・・・