【2006始動 天主森】
                     鳥海三ノ俣口(山スキー)


森林限界からの天主森

【日 程】2006年1月29日(日)
【山 域】鳥海山
【山 名】天主森(1404m)
【天 候】曇
【メンバ】単独
【コース】さんゆうから天主森往復
(概 略)


さんゆう(8:35)---(10:20)鈴木小屋(10:30)---(12:33)天主森(13:05)---(14:00)さんゆう


遅まきながら2006年の始動である。
一月以上山とはご無沙汰の怠惰な生活に慣れた身にとって、辛い登りは覚悟の上であったが、足慣らし程度に鈴木小屋まででもとゆっくり自宅を出た。
さんゆうの駐車場は何故か満車、地元小学生のスキー大会のようだ。何とか車を押し込み、子供達が鈴生りのTバーリフト沿いにシール登行の開始、いきなり汗が噴き出す。子供達の不思議そうな視線に晒されながらゲレンデトップでアウターを脱ぐ、月山森は雲の中、天主森も雲でよく見えないが、風もなく穏やかな陽差しが時折差しスキー日和の一日となることを確信する。

先行者のスノーシューのトレースをありがたく使わせて貰い高度を稼ぐ。雪はかなり積もっているが、去年の3月頃から比べれば少し少ない気がする。下りに邪魔そうな木の枝がぴょんぴょん出ている。久々の足かせを付けた登りは辛くせめてもの救いは静かすぎる天気と葉を落とした見事なブナ林、見てるだけで心が落ち着く。
途中先行者が米沢頭付近に三人見えたが「よし追いつくぞ」と言う気力がどうしても起きない。数日前から両足に痺れのような感覚が残り時折ビリビリし疲れが抜けない感じだ。自分の中で目標がだんだん下がっていくのがわかる。

鈴木小屋は一階部分がほぼ雪に埋まっている。ここでカップ麺の誘惑(貧乏くさい誘惑だなあ)に駆られるがあまりに穏やかな天気に励まされ森林限界あたりまで登ってみることにする。
ここからも先行者のトレースをありがたく利用させて貰う。
米沢頭で来たコースを振り返ると白く染まった庄内平野が綺麗に見渡せ気持ちが和んだ。ここから楽しいブナ林の登りだ。
それにしてもトレースとはありがたいものだ。去年のラッセルと比べると登りは非常に楽で木々を愛でる余裕さえ生まれる。やっぱり山は良いなあ・・・


  
快適なブナ林  と  遙かなる月山森

休み休み何とか森林限界まで上がった。時間は11時半、先行者3人がバラバラに登っているのが見えた。一つのパーティーではなさそうだ。
ここで軽く食事をして帰るか、もう少し上まで頑張るか結構真剣に悩んだが、こんな穏やかな天気はこの先望めそうもなく良いチャンスなので天主森まで頑張ることにする。その上の月山森は遥か遥か高く望まれ、行きたい気持ちとは裏腹に気持ちが萎えるのが自覚できる。

振り返ると後続の山スキーヤーがぐんぐん迫ってくる。体の出来てない自分は30歩進んでは休むを繰り返しヒーヒー言いながら登る。風邪が少し出てきた。雪面は所々ウインドクラストしておりガリガリに凍っているが、シールがかろうじて効く。もう少し気温が下がれば確実にアイゼン登行の世界だろう。
傍らのダケカンバの枝は霧氷に覆われている。ここは風の名所なのだ。日本海からの冷たい風が四六時中通り抜け雪も飛ばされてしまい着かないのだろう。

後続の単独スキーヤーは天主森に真っ直ぐ向かっていく模様、こちらはゆっくり大きく回り込む。辺り一面純白な雪に覆われた斜面は不思議な感覚だ。登っているのか下っているのかわからない。フワフワな雪の布団にくるまれ、ゆりかごの中にでもいるみたいな感覚で水中にでもいるみたいだ。


  
ダケカンバと庄内平野   と   純白の天主森


天主森の稜線に飛び出すと広大な千畳ヶ原がいきなり目に飛び込んできた。陽差しを浴びた銀色に輝く雪原はあまりにも美しすぎる。神の気配を感じる。
そのまま誰もいないピークまで行き風が冷たすぎるので引き返し少し下って昼食休憩、さんゆう(225m)からここ天主森(1404m)までおよそ四時間掛かった。まあ今期初登にしてはこんなモンだろう。ここまで来れたのも好天のお陰と改めて山に感謝する。

久々のスキーは足に来た。本当に休み休み下る。三回もターンすると息が上がる。何とも情けない話だ。足もパンパンに張り靴の中で悲鳴を上げている。しかし久々のパウダーの感触はとても楽しく気持ちよい。去年は苦労したツリーランも今年は結構楽しめた。米沢頭からの激パウダーはここのウリ、これがあるから山はやめれないのだ。

帰路新しくできた温泉施設(350円)で暖まる。



神々しい千畳ヶ原

今回のコース