【晩秋の以東岳周遊】



タキタロウ伝説の紺碧に輝く大鳥池

【日 程】2005年11月3日(木)
【山 域】朝日連峰
【山 名】以東岳(1771m)
【天 候】曇
【メンバ】単独
【コース】
(概 略) 泡滝ダム → 大鳥池 →以東岳 → 三角峰 → 泡滝ダム


泡滝ダム(6:30)---冷水沢吊橋(7:12)---七ツ滝吊橋(7:30)---(8:20)大鳥小屋(8:35)---(10:38)以東小屋(11:42)---オツボ峰分岐(12:40)---(14:08)大鳥小屋(14:13)---(16:02)泡滝ダム


久々のお天気マークの休日はおよそ二ヶ月ぶり、どこに行こうか悩んだがこれも久々に朝日連峰南端の大鳥に遊んでみた。
日照時間の短い今は、真っ暗な中をソロリソロリと出発、途中荒沢ダムの辺りではトンネル工事中の様子、直に広く新しいトンネルができるのか?泡滝ダムには結構広い駐車場までできている。そういえばこっちにはずいぶん来てないんだと改めて思う。

林道周辺は紅葉の真っ盛り、うっすら明るくなった山肌は燃えるように鮮やかだ。今年は紅葉なんて見れないと思っていたのだが嬉しくなる。
駐車場には県外ナンバーの車が数台、皆出発の準備に忙しい、こちらは日帰り軽装のためパパッと準備しお先にと出発、東大鳥川沿いの長い登山道沿いは錦秋鮮やかだ。しょっちゅう立ち止まりカメラを出してはパチリとやっているもんだからいっこうに進まない。冷水沢、七ツ滝の吊橋を渡り大鳥池へのつづら折りの急登をショートカットして登っていったらあらら道がない。かまわず藪こぎしながら直登したら湖畔が遙か下に見えた。ちょっと登りすぎたみたいなので湖畔めがけて下ると道跡に出た。ここから暫く戻ると滝太郎山荘がひょっこり現れる。中を覗くが誰もいない。

        
燃えるような錦秋の登山道

双子ブナ


外の水場の蛇口を捻ると勢いよく水が出たので少し補給する。湖面は至って静かで朝日に周囲の山々の紅葉が映えとてもきれいだ。目指す以東小屋がとても高く感じる。すぐに直登コースを目指し湖面沿いの道を急ぐ。化穴山の前衛が朝日を浴びきれいだ。

以前来たときは、三角峰コースを登り狐穴小屋に一泊し直登コースを下った。その途中ハット目を疑うような美女とスライド、その後にどこぞで見たようなチンチクリンなオッサンとスライド、首をかしげながら下ると、また変なオッサンがゼエゼエ言いながら登ってきた。挨拶するとこれも見たことがある顔、なんと椎名誠氏の怪しい探検隊のメンバーの「ワニ目画伯」こと沢野ひとし氏であった。
先ほどの人たちは、ウリ坊(名前は忘れた)と山渓の狂眼三島氏等々、山渓の取材の山行だったようだ。(山渓1996年7月号参照)沢野氏の「きついねえ・・・飯豊とどっちが急だろう」の言葉が昨日のように想い出される。
当時のことを思い出しながら急登を登るが、久々の山行ゆえ足が全然上がらない。

  
きらめく湖面に映える紅葉

登行意欲をそそられた化穴山


途中暑くてたまらずTシャツ一枚になる。前方で人の声が聞こえた。よく見ると巨大なザックを背負った単独行者、聞けば縦走ではなくこの辺で3泊の予定とか、地元の利の日帰り以東岳を羨ましがられる。パスし先を急ぐ。振り返ると朝日を浴びた大鳥池と化穴山が美しい。あまりに綺麗だったのでいつか登ってみたくなった。
この辺から景色が気になり始めカメラを構えため息をつきながらの登りとなりペースがガクンと落ちる。久々に見た大鳥池といつもは反対側から眺める以東岳が新鮮だ。

やっとの思いでたどり着いた以東小屋は当然誰もいない。綺麗に掃除され気持ちの良い小屋だ。定番メニュウで昼食大休止とする。壁に碧玉水(へきぎょくすい)の由来が書いてある。以前、以東小屋には水場はないと言われていたのだが何年か前に見つかったと言う話を聞いた。でも小屋から急登を結構下らないと行けないのでさらさら行ってみる気はなかったが、今回は時間もあるので行ってみることにした。
朝日には金玉水、銀玉水などの名水があるが、この水も名水に値する旨い水であった。おみやげにボトル一本持ち帰る。

少しゆっくりしすぎたので慌てて出発、以東岳の三角点まで来たら後続が見えた。そして雄大な連峰の山並みが曇天ながらクリアに見渡せ暫く動けなかった。やっぱり朝日はいいねえ。
先日、桃パパさんや蒲生さんの記録で読んだ天狗小屋からのコースは改めて眺めるとすごい。二ツ石コースもきれいに見渡せ是非歩いてみたくなる。それにしても障子ヶ岳はこちらから見ると迫力無いなあ・・・

時計を見ると暗くなる前に車まで行けるかギリギリの時間、先を急ぐ、オツボ峰では天狗方面を眺めもう一度ため息、一度挑戦してみたい気もあるが、やっぱ無理かなあ・・・


以東直登コースからの三角峰方面


三角峰付近からのどっしりとした以東山塊


三角峰過ぎのピークで最後の眺望、改めて巨大な山塊の迫力に息を呑む。雨がパラパラと落ちて来た。枯れ葉に当たると思いの外大きな音がする。本降りになる前に下ろうと急ぐが、この辺りから左足の膝の外側が痛くて曲がらない。久しぶりの山歩きに足が付いていかないのか自分の体が歯がゆい。

大鳥山荘では泊まりの人たちなのか、ビールを呑みながらゆっくり食事をしていた。挨拶して先を急ぐ。
ここからの下りはまたまた紅葉が素晴らしくため息をつきながら下る。日中のトップライトではさぞかし映えることだろうが、もう日暮れも近いこの時間でも十分きれいだ。久々の山歩きは案外充実した一日だった。
帰路突然無性に旨い日本酒が呑みたくなって酒屋に寄ったがお目当てのものはなかった。


  
葉の落ちたブナ林の中の大鳥小屋

ため息の出た紅葉