【肘折から念仏ヶ原】


小岳付近から鳥海山遠望

【日 程】2005年11月6日(日)
【山 域】月山
【山 名】念仏ヶ原(1090m)
【天 候】晴
【メンバ】単独
【コース】肘折 → 念仏ヶ原 → 肘折
(概 略)


登山口(6:25)---大森山(6:48)---猫又沢(7:34)---赤砂山(8:00)---赤砂沢(8:20)---小岳(9:13)---(9:48)念仏ヶ原避難小屋(11:25)---小岳(12:00)---(12:38)赤砂沢(12:45)---赤砂山(12:59)---(14:47)登山口


秋期集中登山の第二弾は月山の肘折から念仏ヶ原まで往復、以前からの念願エリアであったが今回叶った。去年の秋に近くで仕事をしていた関係で登山口の偵察は仕事中隠密里に済ませていた。今年の秋に肘折から月山山頂、湯殿山への縦走を密かに計画していたのだが計画倒れに終わってしまったのだ。

ここは超ロングルート故、静寂を求める人達には人気があるようだが、健脚者による月山山頂日帰りという記録もある。早春の残雪期にはスキーツアーのコースで筋者には知られている。近くに住んではいるものの案外遠いコースとなっていたのである。

月山は百名山にも名を連ねる名山なれどアプローチが楽な分、山頂はシーズン中は人であふれかえっている。正直、登行意欲のない山でもあったが古来よりの信仰の山、小生の住んでる所でも以前は鳥海と月山は「山参り」と称して五穀豊穣を願い毎年参拝登山をしていたことは先輩諸氏より聞かされていた。中でも月山はそのアプローチの長さが鳥海と比して長大であったため皆辟易していたと言う話を何度もうかがった。

  
村山羽山  と 今年最後の紅葉か?

確かに今回のルートを見ても月山のアプローチは当時にしてみたらとんでもない長さだったと思う。鳥海のパイオニア、故、斎藤清吉氏の記録を見ても想像に難くない。
古来よりの聖域は東普陀落、西普陀落等々聞き及んでいるが、この肘折ルートにも必ずやあるのではなかろうか。そんな事も踏まえ今回の山行には厳粛かつ真摯な気持ちで臨んだつもりである。
が、結果はキノコ三昧の山行と相成った。未だ煩悩の未練断ち切れぬ未熟者の記録である。

山中登路に至っては、厳粛なる聖域への入山を路傍の石碑に頭を垂れ、ヒシヒシと伝わる霊気に身の引き締まる思いであった。が、かたや路傍の滑子を視界に捕らえた頃より煩悩に拍車が掛かり、あろう事か神聖なる登路を外してまで煩悩の虜となりし事は紅顔の至り、深く自戒の念に頭を垂れる現在である。


      
ブナの落葉で覆われた登山道

憧れの念仏ヶ原避難小屋


念仏ヶ原までは然したる急登は無い。ブナの原生林もほとんど葉を落とし視界は効くのだが目指す念仏ヶ原も月山の頂も小岳を過ぎるあたりまで見ることは出来ない。小さなアップダウンを繰り返しトラバース気味の登山道が延々と続くのだ。
訪れる人が少ない分道が荒れていると思ったが、思いの外綺麗に刈り払われている。関係者のご努力に感謝である。

単調な登りに飽きてくると目は自然とキノコ目、倒木を見つけては獲物を探す事を繰り返していると、ヘボなりに見えてくるから不思議なものである。結果、登りより下りの方が荷物が重くなる。一体今日の目的はなんなのかわからなくなる。
ふと視線を上げると山頂付近が白く染まった鳥海が綺麗に見えた。山全体が唸るような突風が吹き抜け、誰もいない登路は寂しさを増し、一人大声で歌を歌いながら進むと小鳥たちの群れが竹藪から勢いよく飛び立つ。猫又沢や赤砂沢では熊五郎と鉢合わせしないかとヒヤヒヤした。


   
小岳 と 月山

小岳の手前に環境省が立てた巨大な看板、どうやらここから国立公園区域に入るらしい。朽ちた階段を一登りすると本日の最高地点か?やっと月山が見える。いつも見慣れた北面と間近に見る東面は、同じ山かと目を疑う。ここから一下りで念仏ヶ原の避難小屋に到着する。
冬支度の終えた小屋の中はすぐにはよく見えない。中に入り二階に上がると単独の方がシュラフにくるまってくつろいでいた。まさか今日人とあうとはとびっくりされた。と同時にまさか中に人がいるとは思わなかったこちらもびっくりする。

山形市からいらしたH氏に初めてここに来たと言ったら色々教えていただいた。昨日入山し明日下山とのこと、ゆっくり気ままにここの景色と静寂を独り占めできるのが羨ましい。綺麗に管理され布団があるのが良い。出来たら一泊したい小屋だった。
さてこちらは日の高いうちに下山したいのでひとっ走り木道敷かれた念仏ヶ原を谷まで往復、間近に見る月山は山と言うより巨大な岩が横たわっている気がした。広大な念仏ヶ原も季節を変えてまた訪れたい。今はもう雪に覆われるのをゆっくり待っているだけ、確実に冬はそこまで来ている。


  
滑子  と  ブナハリタケ

  
クリタケ  と  ムキタケ
※私はキノコ博士ではないのであまり信用しないで下さい(^_^;)