【夏、大朝日岳再訪】


清太岩山で満足の両先輩

【日 程】2005年7月23日(土)〜24日(日)
【山 域】朝日連峰
【山 名】大朝日岳(1870m)
【天 候】曇時々晴
【メンバ】3人
【コース】7/23 日暮沢 → 清太岩山 → 龍門山 →龍門小屋(同泊)
(概 略) 7/24 龍門小屋 → 大朝日岳 → 小朝日巻道 → 日暮沢


7/23 日暮沢(5:55)---(8:41)清太岩山(9:17)---(9:49)ユウフン山(10:16)---(11:10)龍門山---(11:27)龍門小屋

7/24 龍門小屋(6:05)---(7:20)西朝日岳(7:30)---(9:16)大朝日小屋(山頂往復)(10:05)---(10:30)銀玉水---(11:08)小朝日巻道分岐---(11:32)小朝日分岐(11:59)---(12:17)古寺山---(12:38)三沢清水---(13:06)古寺鉱泉分岐---(14:16)登り口---(14:55)日暮沢車


およそ1ヶ月ぶりの朝日、今回は日暮沢からの周回コースを先輩二人の案内役として初日は龍門小屋を目指す。
予定通り6時少し前に登り始める。天気は曇っているが日差しがない分登るには快適だ。S氏は御寿65歳、私の母校の大先輩であり公私ともに大変お世話になっている方である。0氏は57歳こちらも普段から大変お世話になっている方である。共に朝日は初めてで泊まりの山行も初めてという方達である。
ひょんなことから朝日の案内人を引き受ける羽目になり、今回の山行と相成った。

S氏は数年前鳥海にて生まれて初めての山登りを経験された。その際十数歩、歩くと心臓が高鳴りとても歩けなかったという話をお聞きした。それから一念奮起しトレーニングを重ね今日に至った訳である。
案内人の立場では早めに体調を判断すべく日暮の急登をルートに選んだ。もし初めの急登を登れなかったら早々に中止の目論見であったことを告白する。

0氏は年齢からは想像できないバイタリティーあふれる方で、山行経験は少ないものの、夏山を登る分には若輩者の私より数段上の体力を有する方で、少しの心配も持っていなかった。
龍門の小屋まで6時間半を見込んでの出発、途中数度の休憩を挟んだものの清太岩山までは息も乱さぬ余裕の登りであった。ここで今回の山行の成功を密かに確信した。

清太岩山で大休止中に龍門小屋の管理人であるE氏が軽快な足取りで現れた。今回は2人の見習いと称する新人を引き連れての山行、いや帰宅とのこと。
A氏はこの日から一週間の上界滞在という話し、羨ましくもありご苦労なことでもあり複雑な気持ちで見送る。

  
コバイケイソウ と タテヤマリンドウ

こちらはここからペースを落とし、この日の宿である龍門小屋までゆっくり雲上の散歩を楽しみながら進む。春の花は終わり、夏の花はまだ咲かない様子に少しがっかりしながら進む。マツムシソウも未だ蕾でもう一週間かなという感じである。
ユウフン山から龍門山間は、時折雲の中から現れる主稜線や龍門小屋を眺めながら朝日に来たぞと心の中で叫びながら歩け、いつ来ても楽しいワクワクする時間である。同行の諸氏も初めて間近に望む圧倒的景色に息を呑んで見入ること暫し、いっこうに歩が進まない。
最後の龍門山への登りで、とうとうS氏が根を上げへたり込んでしまった。振り返ると後続のご夫妻もここで夫君がダウン、お互い顔を見合わせ苦笑する。龍門山分岐までほんの一登りだが、ここが一番体力的にきつかったのかもしれない。暫しの休憩後気を取り直して再度登り始めるとほどなく主稜線分岐へ到着、後は小屋まで下るだけ、がっちり握手し健闘を称え合う。小屋まで5時間半で到着したことになる。

小屋では先行したE氏達が昼食の真っ最中、隅に陣取りこちらも0氏持参のうどんと素麺の昼食を頂く。上山からのご夫妻はここから日帰りとのこと、せっかくここまで来たのに、泊まらず帰るのがひどくもったいなく思う。差し入れにチョコレートを頂く。私達は日もまだ高いので南寒江山までマツムシソウ目当てに散歩しに行くことにした。

いつもなら目に眩しいマツムシソウの群落が素晴らしいのに今年は未だ蕾である。やっとの事で見つけた一輪のマツムシソウを初めて目にした諸氏は、いたく感動なされている。ハクサンシャジンも未だ蕾で残念ながら夏の花には少し早すぎたようである。この辺で歩を返して小屋に戻る。

  
タカネマツムシソウ と トキソウ

後は担ぎ上げた缶ビール(アサヒだけ)で乾杯し、素麺をゆでて皆に振る舞い、夜遅くまで酒宴が続いたことは言うまでもない。



明けて24日は早朝から濃霧、3時半頃からポツポツと出発する人がいた。我々は二日酔いの頭を叩きながらカップ麺の朝食を手早く済ませ6時に出発した。
龍門の分岐で左に行けば地獄?、まっすぐ行けば天国?、どちらにするかよく考えてくださいと念を押し、当然西朝日を目指す。(案内人の責任転嫁の意味合いもある)

上界の極楽散歩道はあいにく視界はゼロ、それでも雰囲気だけは楽しめると皆私を慰めてくれた。時折現れる可憐な花々に慰められ西朝日へたどり着き休憩、相前後して龍門を発った他のパーティーもここで多くが休憩している。
いくら待っても視界は回復しないので出発、急坂を下る。途中の斜面にガスの中ニッコウキスゲの群落が姿を現す。条件は悪いがS氏は写真撮影に忙しい。

中岳の登りを過ぎ大朝日の展望が一番良いあたりに差し掛かると、なんと運の良いことか徐々に雲が切れていくではないか。暫くするとピラミダルな大朝日の山容がゆっくりと姿を現した。これには皆歓声を上げて喜んだ。案内人の面目躍如である。

  
イワカガミの白花 と やっと姿を現した大朝日岳

金玉水で喉を潤し最後の坂を登り切ると大朝日小屋に到着、およそ3時間と少しを要した。まずまずであろう。小屋前に荷物を置き大朝日山頂へ空身で往復、あいにく展望はあまり良くなかったが、遠く飯豊連峰や以東岳も少し見えた。

ここから後は下るだけ、と言いながら銀玉水へ下る。途中、東北の山MLのネームプレートを帽子に付けた方がハアハア言いながら登ってくる。思わず嬉しくなって声をお掛けした。突然のことでビックリしたのか「おぉ!・・・」とお互い声にならない会話をしスライド、後でメールをいただいた。感謝である。

熊越のコルにて小朝日をどうするか協議、急登を目の前にして皆躊躇している。時間的には大差ないので行こうと言ったら即座に却下された。仕方なく巻き道を進む。
分岐付近でラーメンにて昼食休憩、後は古寺山で最後の展望を望むが連峰はすでにぶ厚い雲に覆われている。ここからは下りオンリー、長く辛い急な下りが待っている。皆疲れてきたのか極端に口数が少なくなってきたので時折休憩を交え3時前に車に到着、9時間弱のの行程を無事終えた。

最後は大井沢温泉で汗を流し帰路につく。帰りの車中はさすがに疲れたのか鼾が響いていた。

         
中岳と西朝日     と     万歳の0氏