【中年登山隊、出壺でドツボにはまる】
                                     (鳥海山中島台にて)


アガリコ大王

【日 程】2005年5月3日(火)
【山 域】鳥海山
【山 名】中島台台地(標高不明)
【天 候】晴
【メンバ】二人
【コース】中島台レクレーションの森キャンプ場から往復
(概 略)


久々の山遊びは、中年登山隊岩手支部長higurashiさんからのお誘いで鳥海中島台に遊んだ。(詳しくはhigurashiさんのサイト参照)

鶴泉荘に九時前後の集合との指示、自宅から一時間弱の距離、ゆっくり出発するが、とかく中年とはせっかちなもので、八時半前には集合していた。久々の再会である。土産に岩手葛巻町のワインを頂く。

葛巻町は行ったこともあるし最近ワインも有名ですなと言ったら、岩手県人でさえ葛巻町などどこにあるか知らない人が多いのにとびっくりされてしまった。本当は「葛巻嵐」も知っているのだが、変人扱いされると困る(周知か?)ので黙っていた。
挨拶もそこそこに目的地に出発。今日の鳥海は天晴れである。

中年登山隊隊長のA.TOMさんは、5/1から3日まで朝日の龍門小屋へ山岳会の人達と滞在らしい。きっと毎日へべれけに飲んだくれていることだろうと噂しながらアガリコ大王を目指す。私は何度か来たことがあるので先に立って案内する。遊歩道の所々がまだ雪に隠れているが、ルートは明瞭だ。それにしても久々の山歩き楽しいなあ。

ところがhigurashiさん大王と出壺を見たら帰る予定だという。せっかくこんな辺鄙なところまで来たのだからと、中島台の台地を探検することに無理矢理同意させ、出壺から急斜面に取り付くが、実のところガイドもルートは知らないのである。
無責任きわまりないとんでもないガイドであるが、そこは中年登山隊適当にルートを決め先に進むと雪が繋がりだしてきた。

人間というのは楽な方へと気持ちも足も向くもので、無意識のうちに雪の上を歩いていたら「ズボッ・・・」ゲッ!ここはエアポケットか? 視界がいきなり1.5mストンと垂直に下がった。

そう出壺、いやいやドツボにはまったのだ。これには少々焦ったがhigurashiさんの視線の方が気になり振り返ると、心配そうな言葉とは裏腹に笑いを必死にこらえているのが見て取れる。先来より厚顔な方だがガイドの立場としては赤面の至りである。


  
左、獅子ヶ鼻の出壺     右、筆者がはまったドツボ

何とか抜け出し先に進むと、すぐ後から「ズボッ」と音が・・・
本当に心の底から心配で心配で「大丈夫すか?」と声をかけたら
「ハイ、だだだいじょうぶです」と、引きつった顔でhigurashiさんは答えられた。どうやら私の本音も見破られてしまったようだ。
中年登山隊は、相棒の不幸を基本的に楽しんでいるのが本音のようだ。

最近の気温の上昇で残雪は下から溶け、いたるところ落とし穴が連続している。慎重に歩を進めるが、藪漕ぎに疲れ中年の体力不足を補おうと雪の上に乗るたび「ズボッ」と腰や胸まで何回もはまる。
中年登山隊と言うより「ツボズボ探検隊」と言った方が正しい。長靴の中もビジョビジョだ。

  
左、台地の奥に新山と七高山      右、稲倉岳への壁が高い


それでも諦めずに進むこと暫し、やっとスキーのトレース跡が見えた。あちこちある赤布を目指して進むとやっと雪も安定し、ツボ足でも楽に歩けるようになる。

足下が気にならなくなると視線は自然と上を向く。秋田のなんど師匠が絶賛しているブナ林は本当に見応えがある。これだけの規模は鳥海唯一か?

時に歩をゆるめ大樹との会話を楽しみ、春の息吹を感じながらゆっくりと散策する。樹間をそよぐ涼風が心地よく汗を吸い込み快適だ。周りには相方以外人の気配はなく、見上げると稲倉の壁が圧倒的高さでそそり立っている。

新山と七高山がその頂きを競うような景色を愛でられる場所で昼食大休憩、雪で冷やしたビールが喉にしみわたる。これぞ至福・・・
持参したフライパンでジンギスカンを肴に山談義?等、楽しい一時を過ごす。やっぱり我ら中年登山隊、山でのビールが一番の目的か、続々とザックから出てくる。隊長のことは笑えないねえ・・・



青空と宿り木?