【天主森再訪】
                  (山スキー)


天主森からの笙ヶ岳と千畳ヶ原

【日 程】2005年3月20日(日)
【山 域】鳥海山
【山 名】天主森(1404m)
【天 候】晴
【メンバ】単独
【コース】さんゆうから天主森往復
(概 略)


さんゆう(8:35)---(9:59)鈴木小屋(10:06)---(11:33)天主森(12:15)---(12:35)鈴木小屋(13:48)---(14:00)さんゆう


朝日にびっくりして飛び起き、今日は彼岸の中日だという家族の言葉に、こんな天気の良い日に山に行かないと、悔しくて気が狂うと言い残し、家を全速力で飛び出す。そのうちご先祖様の罰が当たるやも・・・

さんゆう前は相も変わらず早朝から水汲みの行列、ご苦労なことである。ご年輩の単独スキーヤーとほぼ同時に出発、先行者はショートスキーを背負った若い人、その他一台車があり、スノーボーダーも後続の様子。今日は朝から展望も良く風もない絶好のスキー日和である。先日の下見もあって順調に鈴木小屋まで進む。途中3人くらいのパーティーを休憩しているうちにパス、雪は前日少し降ったのか早朝に何人か滑り降りた跡がある。多分鈴木小屋泊まりなのだろう。

前日のトレースが明瞭で利用させて貰う。ブナの林間に、それはそれは見事な小回りのシュプールが残っていた。これぞ達人の滑りと見た。いつかはこんな滑りをしたいのだが中年には無理かなあ・・・
先行者のツボ足君がワカンを装着し天主森の急登に向かうのが確認できた。3月6日の私が目指したコースだ。あのときに比べると、だいぶ雪が溶け柔らかくなっているようでアイゼンは不要のようだ。

この辺から天候が陰り始め風も出てきて嫌な予感、でも下見も済ませたコースなので迷わず上を目指す。とにかく天主森までは行かなくっちゃ・・・
誰の踏み跡もない純白の雪原を登る。これはこれでとても気持ちの良いものだ。さすがにここまで来ると未だパウダーだ。前日少し新雪があったようで、新芽の大きくなったブナの枝に霧氷が付き美しい。かなり湿った風が吹き付けたのだろう、5pぐらいに成長したのもある。一欠片取り口の中に入れる。喉が渇いているのだ。

  
霧氷が綺麗だ。

森林限界から上は、シュカブラが様々な紋様で疲れた体を慰めてくれる。ろくに休憩も取らずに登ってきたので、もう息も絶え絶えである。
先行者が天主森の山頂からこっちを見ているのが見えた。案外近いようでまだまだ結構先のような気もする。先日の失敗からピークをぐるりと巻き込むようにルートを設定し予定通り山頂へ、先行者が下った直後の登頂である。しかし視界はあまり良くない。おにぎりを取り出し、シャリバテ気味の体にはちょうど良いタイミングだ。

  
左、この日の天主森  右、月山森へのルート

欲を出して月山森まで行こうかと一瞬迷ったが、時間もちょうどお昼時、これまでとしゆっくり展望を待つ事にすると、願いが通じたのかだんだん晴れてきた。
笙ヶ岳への長い稜線が、緞帳が開くようにゆっくり姿を現すと、雪に埋もれた千畳ヶ原の全容が見えてきた。積雪期の景色をこんなに間近に見るのは生まれて初めてなので暫し呆然とする。何と美しいのだろうか・・・

目を凝らすと万助コースにトレースが見えた。目で追うと扇子森の下に二人の人影が、満足そうな表情がありありと見える。中年は遠目が効くのだ。
うう羨ましい・・・

景色に飽きることがない。いつまでも、いつまでもこの場所に居たい。
笙ヶ岳の東面が、射し込んだ陽光を返し純白に光り輝いている。あそこを滑るのも面白そうだなあと溜息をつく。いつもは真っ黒な鍋森も鍋底の煤を軽石で磨いた後のように輝いている(変な喩えですいません)

  
左、エビの尻尾?が長く伸びていた  右は、笙ヶ岳東面の美味しそうな斜面

登り始め、長坂道のルートが手招きしているような錯覚を覚えたのだが、あの場所にこの身を置くことが出来るなら、多少の労苦は惜しまないだろうとつくづく思う。
後ろ髪を引かれる思いで山頂を後にする。でもやっぱりスキーはパウダーだよなあ・・・下手は下手なりに楽しめるのだ。森林限界の辺りで若いボーダー二人が休んでいた。共にこれから月山森を目指すという。若い体力が羨ましい。

パウダーの滑降は多分今年は今回が最後となろう。中年は何かと巷間では忙しいのだ。山は意地悪だ。もう少しの体力と技術と運があればもっと雪山を楽しめるのになあ・・・



おまけ
(ひぐらしさんに教わりました(^^;))