【静寂の鶴間池】


鶴間池からの稜線

【日 程】2004年12月12日(日)
【山 域】鳥海山
【山 名】鶴間池(820m)
【天 候】晴
【メンバ】単独
【コース】登山口から鶴間池
(概 略)

山雪荘前(11:00)---(11:30)鶴間池小舎(12:38)---車道(12:58)---(13:07)山雪荘前


12月にしてはあまりにも良い天気、家でぐずぐずしているにはもったいないので、行き先を決めずに出発、とりあえず鳥海方面へ向かう。麓まで雪がまだ届かないのを遠目に確認して湯の台へと向かう。ノーマルタイヤでも山雪荘まではOK、無理すればもう少し行けたがここから鶴間池を目指す。

暖かい布団から抜け出すのが容易ではないこの季節、しやみな私はかなり遅い出発となってしまった。暖冬の影響か例年より少ないとはいえ道には雪が付いているが、ゴツゴツした夏道より格段に歩きやすい。とは言っても風邪が完全に抜けないことを口実にして不摂生を重ねた報いがじきに現れる。

足下はスパイク付き長靴、雪道を歩くにはもってこいなのだが少し重い。けれどもグリップは非常に良く、急な下りも難なく通過できた。道端には真新しいカモシカの足跡が続いている。いくら緩くても不摂生の祟り、久々の登りは辛く、すぐに汗が吹き出し心臓の鼓動が辺りに響き渡るようだ。この季節、天気が良くても誰もいるまいと思って歩いていたら、ちょうど鶴間池小舎前で、のぞきから降りてきた方とばったりと出くわし驚いた。

久々の鶴間池の静寂は変わらない。毎年一度は来るように心がけているのだが、本山とは一味違う異次元の静謐な雰囲気がとても気に入っている。
この日は風もなく、穏やかな湖面に、雪に覆われた稜線と葉を落としたブナの真っ白な樹景を映し、心の垢が洗われたような気がしてとても落ち着く。とても12月の景色とは思えない雰囲気だ。けれども稜線を仰ぎ見ると時折青空に雪煙が舞い上がり別世界の様子。
空腹を感じ小舎に入る。お湯を沸かして食事を取っていると先程の人が去り、また別の人が来た気配、雑記帳を覗くと遠来のリピーターも結構いるようである。

食後また外に出て景色を眺めていると一人のご婦人が写真を撮っておられた。、Nさんと言う酒田の方で色々お話を伺った。鳥海山に関する著書もお持ちとか、数多く登られた山の中でも地元の鳥海が一番良いとおっしゃられていた。還暦を過ぎたなどと謙遜しておられたが、若々しさは未だ健在、ヴァイタリティー溢れるお話に引き込まれました。

帰りはここから息を切らして梯子を急登し車道に出て、穏やかな日差しの元ゆっくり景色を愛でながら車まで歩く。雪を被った月山が思いの外近く見え、その彼方に以東岳が微かに望まれた。朝日はもう深い雪に埋もれてしまったことだろう。
時間もまだ早いので少し寄り道をすることにした。


湖畔にひっそり立つ鶴間池小舎


古い鳥海の地図には三ノ俣口と言うルートが載っている。月山森まで抜けるルートで、春のスキーツアーで知ってる人は使っているようだが、夏道は現在、荒廃してひどい藪こぎを強いられるようであるが、途中に鈴木小屋と言う山小屋があり、そこまでは何とか行けるような話を聞いたことがあるので様子見に向かってみることにした。

「さんゆう」と言う立派な建物が建つ側には湧水が引かれ、それを汲みに来る人達で休日ともなれば行列が出来るほど賑わう。同じ町内の胴腹の滝と味を二分すると言われるが、どっちが美味いかなんて私には判らない。それよりも、ここの蕎麦が穴場的超美味で湧水より私にとっては魅力的だ。久々に味わってから探検に出発。

杉林の中を歩き暫くすると背丈を有に超える竹藪の中に道は続く。初めての道なので不安だが、最近刈り払いされた様子に安堵し先を急ぐと、雰囲気がガラッと変わるブナ林に出た。ここのブナは根本から枝分かれした巨木が結構あり面白い。黄色いペンキマークがあちこちにあり、忠実にそれを辿るとひょっこりと鈴木小屋が現れた。道はまだ上に続いていたが、日暮れも早いこの時期今日はここまでとする。

だいぶ古い小屋だが、ここからの庄内平野の眺望は素晴らしい。日本海が間近に見え天気の良い日は、夕日や夜景が素晴らしいことは容易に想像できる。いつの日にか泊まって見たいが、果たして可能か? 鈴木小屋と言うからには、多分個人の所有物なんだろうなあ・・・

登山口(14:15)---(15:00)鈴木小屋(15:10)---(15:37)登山口


鈴木小屋から夕暮れ迫る日本海の眺望