【手強いぞ、加無山】




【日 程】2004年10月24日(日)
【山 域】丁山地
【山 名】加無山(997m)
【天 候】晴
【メンバ】単独
【コース】登山口から山頂往復
(概 略)


林道終点登山口(8:45)---挽割のコル(10:50)---男加無山三角点(12:02)---挽割(12:50)---(14:15)登山口


山形・秋田県境付近に連なる丁山地の山々はどれも個性的だ。昨年の丁山(ひのとさん)、今年の甑山(こしきやま)に続いて最後に残ったのが加無山(かぶやま)である。この山も甑山同様男と女の名を持つ双子の山である。丁山地の最後に残っただけあって相当に手強い山であった。

この山の登山口は、国道13号、及位から入り、山形県最上郡真室川町大滝集落の大滝小学校側から大滝林道をひたすら登る。途中甑峠への道を分けるが、道標に従い車を進めると三階滝を過ぎ左手に登山口の標識がある。駐車スペースは路肩に数台置くことが出来る。尚、道標はこれ以降無くペンキマークが所々ある。

この日は加無山登山の日とかで、地元の人達が七八人集合していた。私の車のナンバーを見てわざわざご苦労と言うことで御神酒を早速御馳走になった。ほとんどが茸採りが目的のようで、一人酒田から公益大学の先生がお見えになっていた。数年前に一度講演を拝聴した記憶がある。一緒について来いと言うのでお言葉に甘えて付いていった。皆さん山慣れしているらしく足が速い。

登山口の標高は320m、出発してすぐに吊り橋を渡り、八敷代川(はつしきだいかわ)沿いに広い道を登っていく。途中二度ほど渡渉箇所があるが増水していなければ問題ない。登山隊は途中から茸採りモードに変わった。皆、自分の庭のような山なのだろう、茸の生えている木を知っているらしくブナ林の中に散っていく。時折ハッと思うような巨木が現れる。倒木も多く、新しいのは先日の台風によるものらしい。私も色々教えて貰いながら少しお土産に採った。

先日食用にあまり適さない(毒茸ではない)茸を口にして以来敬遠していたのだが、茸というのは地元の人に聞いた方が手っ取り早い、一番先頭に立った人の後を厚顔にも付いて行き、色々教えて貰った。種類はサワモダシ、ムキタケ、ナメコ、ブナハリタケ等々、中でも珍しかったのが地元でミミタケと言う物、サルノコシカケのような茸の縁だけ切り取って食べるらしい。美味だという。藪の中をピンポイントに天然ナメコの群落に進むのはやっぱり地元の人の特権だろう。ムキタケとツキヨタケの見分け方を教えて貰ったのはありがたかった。ムキタケは付け根が黄色、ツキヨタケは赤色、これは小さいときも変わらないと言う。

さてさて私は山登りに来たのだ。茸の先生がブナ林の中に消えてから一人先を急ぐ、途中から挽割のコルまでは道が悪い急登が続く、艶やかに色付いた木々に励まされながら、女加無山東面の絶壁の下をへつるように進む。急斜面にトラバースぎみに造られた道は途中、胎内くぐりと言うトンネルを抜け急になる。最後は木の枝につかまりながら直登して、ふっと挽割のコルに到着、ここで標高770m程、男加無山は右方向、山頂までの標高差は230m、女加無山方向には道は無いと言うがわずかな踏み跡が確認できた。水を一口飲み男加無山の急登に向かう。右手側(東面)には9月に登った甑山が紅葉の中に綺麗に見える。

標高900mぐらいまでは、道の刈り払いがされ明瞭なのだが、大きな岩室のあるところから先は刈り払いされてない。人が通った跡があったので先に進むが、途中で無理と判断し戻る。道形を探すが一向に判らない。暫くウロウロしていると茸の先生が登ってきた。話によると、ここから上は登る人も少ないので刈り払いしてないと言うことだ。藪がひどく多分歩けないのではないかという。せっかく来たのにここで帰るというのも辛いので、そこらをウロウロしていると、急斜面にかすかな踏み跡を発見した。

倒木があり道を完全にふさいでいて全然判らなかったのだ。やっとの事で通過すると、竹藪の中にかすかな踏み跡が急斜面に続いている。両手両足を駆使し道を探しながらよじ登る。すごく滑りやすい。何とか最初のピークに辿り着くと単独の男性がいた。やはり私と同じように散々迷いながら登ってきたそうだ。途中時計を落とされたらしく探しながら下るという。ここから尾根沿いに両側が切れ落ちた道を藪漕ぎしながら慎重に進む。暑くてTシャツ一枚なので両腕が傷だらけだ。一旦大きく下って登り返すと本当に宙に浮くような岩嶺がポンと現れる。ここの景色は本当によい。

景色は後の楽しみとしとにかく山頂へと急ぐ。また大きく下り登り返す。竹藪の中のかすかな踏み跡を探しながら登り詰めると、ポンと三角点の標注があった。展望は藪に阻まれ何も得られず写真撮影後すぐに下山、先程の展望の良い岩嶺で景色を楽しみながら食事をとった。覚悟はしていたが最近こんな藪山は登ってないので堪えた。登りの嫌らしい山は下りも嫌らしい、登山靴のソールも磨り減りとても滑る。そろそろ更新時期か。

途中、茸の先生達に道を譲って貰い、後は一気に下山した。帰路、真室川温泉梅里庵で汗を流すが、腕の擦り傷に湯がしみた。

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